1984年~1990年のAOR名盤
AORの代表的なアルバムのうち、1984年~1990年に発売された29作品(Michael Ruff, Peter Cetera, Richard Marxなど)について、アーティスト名とタイトル、CDの再発状況などをまとめています。アルバムの内容については、管理人のレビュー記事を参考にしてください。
なお、廃盤や未CD化のため入手困難な場合はその旨を示しました。また、メジャーなアーティストに関して複数のアルバムを紹介する場合は、1つ目を●、残りを○で区別しています。
AORの名盤 (1984年)
12作品の紹介です。エレクトロニクスを取り入れたポップな80年代サウンドが流行する中で、AORの人気には翳りが見られますが、Michael Ruffの『シティ・ウォーキン』やPaul Clarkの『Out Of The Shadow』などの力作が生まれています。
- 303: Michael Ruff / Once In A Lifetime (シティ・ウォーキン)
- 304: Michael Ruff / Michael Ruff Band (1992年, 現在入手困難)
※『シティ・ウォーキン』はセッション・キーボード奏者として、またソングライター/プロデューサーとして様々なアーティストの活動を支えるMichael Ruffのソロ・デビュー作。打ち込み系主流の80年代には珍しく、演奏は生楽器中心。プロデュースはTommy LiPumaです。ワーナーの「AOR BEST SELECTION 1300」シリーズから2016年9月に高品質CDで再発されました。
- 305: Jack Wagner / All I Need
アメリカの人気TVドラマ『General Hospital』のFrisco Jones役で知られるようになった俳優、Jack Wagnerのシンガーとしてのデビュー・アルバム。甘いバラードの「All I Need」が全米チャートの2位となる大ヒットを記録します。
- 306: Jay Gruska / Which One Of Us Is Me (カフェ・グルスカ)
Jay Gruskaは作曲家やプロデューサーとして活躍するNY生まれのミュージシャン。Maxusの中心人物としても知られています。本作はセカンド・アルバム。ワーナーの「AOR BEST SELECTION 1300」シリーズから2016年10月に高品質CDで再発されました。
- 307: Peter Cupples / Half The Effort Twice The Effect
オーストラリアのブルー・アイド・ソウル・グループ、Stylusのリード・ヴォーカルだったPeter Cupplesの2枚目のソロ・アルバム。Maxusの「Nobody’s Business」をアレンジした「Never Mind」や、Brock Walshの書いた「Do You Still Remember Me」を収録。
- 308: Scott Smith / Face To Face
80年代以降のCCMシーンでアレンジャーやプロデューサーとして活躍するScott Smithの唯一のアルバム。自分は裏方に回り、Michael Ruff, Vonda Sheppard, Howard Smithなどの魅力的なシンガーを起用しています。
- 309: The Front / The Front
Bob Wilson(ds, k)とTommy Funderburk(vo)の2人が結成したCCMのロック・ユニット、The Frontの唯一のアルバム。Tommy Funderburkの強力なハイトーン・ヴォイスをフィーチャした、クールで硬派なロック・アルバムです。
- 310: Amy Grant / Straight Ahead
CCMを代表する女性シンガー、Amy Grantの5枚目のスタジオ・アルバム。Michael W. Smith, Bruce Hibbard, Robbie Buchanan等が曲を提供し、ポップで親しみやすいメロディの曲が揃っています。80年代特有の打ち込み系ではなく、生楽器主体のサウンドも魅力。
- 311: Paul Clark / Out Of The Shadow
CCMの草分け的ミュージシャンの一人であるPaul Clarkの10作目。クールな楽曲、ソウルフルな歌唱、美しいコーラス、シャープな演奏という特徴はPagesを思わせ、実際にPagesの二人もバック・コーラスで参加。Pagesのアルバムが好きな人におすすめの作品です。
- 312: Dan Peek / Doer Of The Word
AmericaのメンバーだったDan Peekの2枚目のソロ・アルバム。CCMの重鎮のChris Christianがプロデュースを担当し、往年のAmericaを思わせるアコースティック基調の爽やかなナンバーと、ソフトでマイルドなAORナンバーの両方を味わえます。
- 313: Kenny Rogers / What About Me?
カントリー・ミュージックの大御所、Kenny Rogersの12作目。David Fosterと共同プロデュースしたAOR路線の作品です。タイトル曲は、Foster, Richard Marxと共作した美しいバラードで、Kim Carnes, James Ingramとの豪華なデュエットにより、全米15位のヒットを記録します。
- 314: Peter Pringle / Fantasies
入手の難しいアルバムです。
AORの名盤 (1985年以降)
17作品の紹介です。それまでのAORの持ち味であった生楽器によるナチュラルな音作りが少なくなる一方で、David Packの『Anywhere You Go …』, Alan Gorrieの『Sleepless Nights』, Chris Eatonの『Vision』などは時流のデジタル・サウンドをセンス良く取り入れており、おすすめです。
- 315: David Pack / Anywhere You Go … (1985年)
LAのロック・バンド、Ambrosiaのリーダーを務めたDavid Packの1stソロ・アルバム。清々しいロック・ナンバーと甘美なバラードを上品にアレンジし、金澤氏の著書では “80年代中盤のAOR低迷期に生まれた最強の名盤" と紹介されています。ワーナーの「AOR BEST SELECTION 1300」から2016年9月に高品質CDで再発されました。
- 316: Boy Meets Girl / Boy Meets Girl (1985年)
George MerrillとShannon Rubicamによる男女のポップ・デュオで、Whitney Houstonへのヒット曲提供でも知られるBoy Meets Girlのデビュー作。ポップ・センス溢れる爽やかな曲が多いです。ソニーの「AOR CITY 1000」から2016年に2作目の『Reel Life』(88年)が再発されました。
- 317: Alan Gorrie / Sleepless Nights (1985年)
Average White Bandの創設メンバー、Alan Gorrieの唯一のソロ・アルバムです。MaxusのJay Gruskaとの共同プロデュース。長らくCDの入手が困難でしたが、2020年12月にUnivarsal Musicの「AOR Light Mellow 1000」シリーズから再発されました。
- 318: Rick Riso / Gotta Have The Real Thing (1985年)
70年代後半のCCMグループ、Messengerでリード・ヴォーカルとギターを担当したRick Risoの最初のソロ・アルバム。エレガントで艶っぽいメロディの曲が多く、演奏・アレンジともに洗練。ゴージャスな聴き心地のあるアルバムです。
- 319: Bill Withers / Watching You Watching Me (愛の情景)(1985年)
ソニー・ミュージックの「AOR CITY 1000」シリーズから2016年7月にCDが再発されました。 また、9CDのBOXセット『Complete Sussex & Columbia Album Masters』(2012年10月発売)や、3CDの『Original Album Classics : Bill Withers』にも収録されています。
- 320: Howard Smith / Totally Committed (1985年)
- 321: Peter Cetera / Solitude/Solitaire (1986年)
Chicagoのメイン・ヴォーカルだったPeter Ceteraのソロ2作目。「Glory of Love」と、Bobby Caldwell等の書いた「The Next Time I Fall」の2曲のバラードが全米1位を獲得。ワーナーの「AOR BEST SELECTION 1300」シリーズから2016年9月に高品質CDで再発されました。
- 322: Brett Raymond / Only Love (1986年)
80年代に日本でテレビCMの作曲などを手がけていたBrett Raymondの日本・アジア地域限定リリースのデビュー作。MaxusのJay Gruskaとの共同プロデュースになっており、LAの実力派が参加。ミディアム~スロー系を中心に、メロティの良さをじっくり聴かせるタイプの曲が多いです。
- 323: Chris Eaton / Vision (1986年)
CCMシーンで活動したイングランド生まれのシンガー・ソングライター、Chris Eatonのファースト・アルバム。メロディアス・ハード系のサウンドで、ドライヴ感溢れる爽快な曲が多いです。少しハスキーで情熱的なChris Eatonのヴォーカルも魅力。
- 324: Richard Marx / Richard Marx (1987年)
80’s屈指のヒット・メイカー、Richard Marxのソロ・デビュー作。「Hold On To The Nights」(全米1位)のほか、「Endless Summer Nights」が2位、「Don’t Mean Nothing」と「Should’ve Known Better」が3位となり、4曲のTop10ヒットが生まれています。
- 325: Glenn Medeiros / Glenn Medeiros (変わらぬ想い)(1987年)
ハワイのカウアイ島生まれのシンガー、Glenn Medeirosが17歳になる年に発表されたデビュー・アルバム。バラードの「Nothing’s Gonna Change My Love for You / 変わらぬ想い」が全米12位となるヒットを記録し、甘いマスクのGlennはアイドル的な人気を獲得します。
- 326: Chris Rea / New Light Through Old Windows (1988年)
渋いハスキー・ヴォイスとスライド・ギターを持ち味に、ダンディでロマンティックな曲を作り続ける英国のシンガー・ソングライター、Chris Rea。本作は、Max Middleton(k)を含む5人のバンドで代表曲を録り直したベスト盤。それが “古い窓から差す新しい光" という素敵なタイトルに表れています。
- 327: Glenn Frey / Soul Searchin’ (1988年)
Eaglesの創設メンバーの一人、Glenn Freyの3作目。モータウン・サウンド発祥の地であるデトロイトに生まれ、ソウル・ミュージックの影響を身近に受けたGlenn Freyのソウルフルな魅力に溢れたアルバムです。「True Love」が全米13位のヒットを記録しました。
- 328: Linda Ronstadt / Cry Like A Rainstorm (1989年)
60年代後半からのアメリカのポピュラー・ミュージック・シーンを牽引した女性シンガーの一人、Linda Ronstadtが80年代の最後に出した名作。Aaron Nevilleとデュエットした「Don’t Know Much」(全米2位), 「All My Life」(同11位)がヒットしています。
- 329: Koinonia / Koinonia (1989年)
ベーシストのAbraham Laborielを中心に80年に結成され、91年まで活動したフュージョン・グループ、Koinoniaのラスト・アルバム。収録曲の半分がヴォーカル曲で、後にChicagoのメンバーとなるLou Pardiniがマイルドで伸びやかな声で歌っています。
- 330: Bryan Duncan / Anonymous Confessions Of A Lunatic Friend (1990年)
Bryan Duncanは、CCMシーンを代表するロック・バンドの一つであるSweet Comfort Bandの中心メンバー。Bill ChamplinやGino Vannelliなどと肩を並べる卓越した歌唱力の持ち主です。本作はソロの5作目。Jeff Porcaroが全曲でドラムスを担当しているところもポイントです。
- 331: The Fifth Avenue Band / Really (1990年)
The Fifth Avenue Bandは、Jon Lind(vo)、Peter Gallway(vo, g)等によってニューヨークで結成された6人組。本作は彼らの21年ぶりとなるセカンド・アルバムで、Cherが歌ったバラード・ナンバーの「Kiss To Kiss」など、クールで渋い楽曲を収録しています。
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