Boz Scaggsのおすすめのアルバム
Boz Scaggs(ボズ・スキャッグス)はアメリカのブルー・アイド・ソウル~AORシーンを代表するシンガー・ソングライターです。1965年にアルバム『Boz』でデビューし、その後に旧友のSteve Millerが作ったSteve Miller Bandに2年ほど参加しますが、基本的にはソロで活動を続け、これまでに発表したアルバムは20作品を超えています。
ブルースやR&Bに音楽的ルーツをもつミュージシャンですが、次第に洗練されたスタイルを求めるようになり、76年のアルバム『Silk Degrees』では、ファンクやロック、レゲエなどの要素を取り入れた "大人の色気香る洗練されたポップ・ミュージック" を提示して人気を集めます。
このページでは、Boz Scaggsの70年代後半から90年代前半にかけてのアルバムを紹介します。出世作『Silk Degrees』を始め、AORの名盤といわれるアルバムを次々と発表した時期の6作品です。
70年代後半、ブレイク期の3枚
R&Bやソウルに根差した音楽を作っていたBoz Scaggsのターニング・ポイントになったのは、74年の『Slow Dancer』です。Bozはここで、キャッチーで洗練されたソウル・ミュージックを指向し、手応えを掴みます。続く『Silk Degrees』(76年)では、楽曲をよりカラフルに、サウンドをよりスタイリッシュにして、大ブレイク。77年の『Down To Then Left』でも、艶やかに完成されたブルー・アイド・ソウルを提示します。Bozが都会的で洗練されたサウンドを追求し、成功を収めた70年代後半の3作品を紹介します。
『Slow Dancer』(1974年)
モータウン・レコードのスタッフだったJohnny Bristolがプロデュースを手がけたアルバムです。サウンド全体の印象はフィラデルフィア・ソウル。柔らかいストリングスを用いたスウィートなソウル・ミュージックが中心ですが、Allen Toussaint作のファンク・ナンバーの「Hercules」や、ディスコ調の「Angel Lady」、ポップな「You Make It So Hard」、メロウなバラードの「Slow Dancer」など、キャッチーな曲を収めています。タイトル曲は、Bozの艶やかな歌声を堪能できる洗練されたソウル・バラード。シングル・カットこそされていませんが、Bozのキャリア最高の歌唱として、この曲を挙げる人も多いのではないかと思います。
- ●収録曲
- You Make It So Hard (To Say No) / つのる想い
- Slow Dancer
- Angel Lady (Come Just in Time)
- There Is Someone Else / 愛を見つけて
- Hercules
- Pain of Love
- Sail on White Moon
- Let It Happen / 愛の始まり
- I Got Your Number
- Take It for Granted / 愛のあやまち
『Silk Degrees』(1976年, 米2位)
Joe Wissertをプロデューサーに迎えて制作されたBozの出世作。直後にTOTOを結成するDavid Paich(k), Jeff Porcaro(ds), David Hungate(b)が全面的に参加し、ほとんどの曲をDavid Paichと共作しています。ここから「Lowdown」(米3位), 「Lido Shuffle」(米11位)のヒットが生まれ、アルバムも全米2位を記録。76年のグラミー賞では、「Lowdown」が最優秀R&B楽曲賞を受賞します。ラストの「We're All Alone」は、Bozを代表する名バラード。Moshe Brakha(モシャ・ブラカ)氏の撮影したアルバム・ジャケットも大人の色香を感じさせ、トータルにスタイリッシュなアルバムです。
- ●収録曲
- What Can I Say / 何て言えばいいんだろう
- Georgia
- Jump Street
- What Do You Want The Girl To Do / あの娘に何をさせたいんだ
- Harbor Lights
- Lowdown
- It's Over
- Love Me Tomorrow / 明日に愛して
- Lido Shuffle
- We're All Alone
『Down Two Then Left』(1977年, 米11位)
Joe Wissertが引き続きプロデュースを担当しますが、サウンドの印象は少し変わり、ソウル、ファンク色が濃くなります。曲作りでは、前作のDavid Paichの役割をMichael Omartianが担い、5曲(5-9)をBozと共作。Jeff Porcaroが本作でも全曲のドラムスを担当し、心地よい重量感と強力なバネの効いたリズムを生み出しています。「Hard Times」は、重たいドラムスとねばりつくように濃厚なベースライン(Scott Edwards)が病みつきになる傑作。都会的な華やかさのある「Hollywood」も名曲。ブルー・アイド・ソウルを極めたような完成度の高いアルバムです。
- ●収録曲
- Still Falling for You
- Hard Times
- A Clue
- Whatcha Gonna Tell Your Man
- We're Waiting
- Hollywood
- Then She Walked Away
- Gimme the Goods
- 1993
- Tomorrow Never Came/Tomorrow Never Came (Reprise)
80年代~90年代前半、成熟期の3枚
80年代に入るとBozのアルバム制作は寡作になります。その結果、80年代に残したアルバムは『Middle Man』(80年)と『Other Roads』(88年)の2作のみですが、いずれも洗練されたAOR作品です。90年代の最初のアルバムは、92年に他界したTOTOの名ドラマーJeff Porcaroに捧げられた『Some Change』(94年)。円熟味を増す一方、この作品を境に、自身のルーツであるR&Bへ回帰していきます。
『Middle Man』(1980年, 米8位)
前2作のプロデュースを担当したJoe Wissertに代わり、職人的な音作りをするBill Schneeがプロデュースを担当します。曲作りにおいては、前作のMichael Omartianに代わって、当時勢いのあったDavid Fosterが全面的にサポート。演奏面をTOTOのメンバーがリードし、前半は洗練されたAOR、後半はハードで重厚なロック・サウンドを展開します。「Breakdown Dead Ahead」(米15位),「JoJo」(米17位)がヒットし、アルバムも8位を記録。しっとりとしたラヴ・バラードの「You Can Have Me Anytime」では、Carlos Santanaがゲスト・ギタリストとして参加しました。
- ●収録曲
- Jojo
- Breakdown Dead Ahead
- Simone / シモン(僕の心をもてあそぶ)
- You Can Have Me Anytime
- Middle Man
- Do Like You Do in New York
- Angel You
- Isn't It Time
- You Got Some Imagination
『Other Roads』(1988年)
前作から8年振りとなるアルバムです。前作に続いてBill Schneeが中心になってプロデュースを担当し、豪華なミュージシャンが参加しました。特に、Dann Huff, Michael Landau, Steve Lukather, Buzz Feiten, Carlos Rios等、ギタリストが充実しており、エッジの効いたギターの音が印象的なマッシヴな楽曲の多いアルバムです。シングル・カットされた「Heart Of Mine」は、Bobby CaldwellやChicagoのJason Scheff等の書いた名バラードで、全米35位をマーク。ダンディで成熟したAORアルバムです。
- ●収録曲
- What's Number One?
- Claudia
- Heart of Mine
- Right Out of My Head
- I Don't Hear You
- Mental Shakedown
- Soul To Soul
- Crimes of Passion
- Funny
- Cool Running
- The Night of Van Gogh
『Some Change』(1994年)
前作から6年振りとなるアルバムで、92年に他界したTOTOの名ドラマーJeff Porcaroに捧げられています。これまでのアルバムと同様に、高度に洗練され成熟したサウンドですが、穏やかなAORナンバーのほかに原点回帰とも言えるR&Bナンバーが同居する渋い内容です。ほとんどの曲をBozが一人で書いていますが、「Call Me」はRobben FordとMichael Omartian、「Illusion」はMarcus Millerとの共作です。
- ●収録曲
- Some Change
- You Got My Letter
- I'll Be The One
- Call Me
- Sierra
- Fly Like A Bird
- Lost It
- Time
- Illusion
- Follow That Man
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