1980年~1982年のロック名盤

2020年4月25日

のちのアーティストに多大な影響を与え、ヒット・チャートに偉大な記録を残したロック名盤。このページでは、ロックの代表的なアルバムのうち、1980年~1982年に発売された10枚のアルバム(Prince, Talking Heads, Daryl Hall & John Oatesなど)をショート・レビューと共に紹介します。また、関連する他のアルバムや、同じアーティストの他の作品については、参考アルバムとして、アーティスト名とタイトル、発売年をリストします(20作品)。

Prince / 1999

アルバムのセレクションは、渋谷陽一氏の著書『ロック ベスト・アルバム・セレクション』(1988年, 新潮社)に準拠しました。バイヤーズのための決定版と言える名ガイド・ブック。私も愛読しました。

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1980年~1982年を代表する10枚のアルバム

XTC / Black Sea

●367: XTC / Black Sea (1980年)

英国のロック・バンド、XTCを代表する4作目。パンクやロックといった従来の枠に収まらない独自の音楽をストイックに追求した。本作リリース時にはライヴ活動も止め、スタジオでの音楽製作に専念。熱心な音楽ファンでもあり、The Dukes Of Stratosphearという別のバンド名で、自分達が愛した60年代のサイケデリック・アルバムを出している。


<参考アルバム>

○368: Dire Straits / Brothers In Arms (1985年)

○369: Squeeze / East Side Story (1981年)

UB40 / Signing Off

●370: UB40 / Signing Off (1980年)

英国のレゲエ・ポップ・バンド、UB40のデビュー作。白人6名、黒人2名の8人組で結成され、ゆったりとしたビートの洗練されたレゲエ・サウンドで人気を得た。UB40というバンド名は、イギリスの失業者手当申込み用紙の書式番号から取っており、当時、サッチャー政権下で失業に苦しむ若者達からも支持された。


<参考アルバム>

○371: The Beat / Special Beat Service (1982年)

○372: The Specials / Specials (1979年)

Kinks / You Really Got Me

Kinks / You Really Got Me

●373: Kinks / You Really Got Me (1980年, LP)

1980年に発売されたKinksのベスト・アルバム。「You Really Got Me」など、デビューから1970年までのヒット曲を収録。KinksはThe Who、Stones等と並ぶブリティッシュ・ロックの大御所であるが、日本では長らく正統な評価を得ていなかったようだ。Van HalenやThe Jam、Pretendersなどが彼らのヒット曲をカヴァーし、再評価につながった。


<参考アルバム>

○374: Kinks / Face To Face (1966年)

○375: Kinks / Lola versus Powerman & The Moneygoround, Part One (1970年)

Prince / Dirty Mind

●376: Prince / Dirty Mind (1980年)

Princeは80年代以降のロック、ブラック・ミュージック・シーンにおいて最も影響力のあるアーティストの一人。本作はサード・アルバムで、前二作と同様、一人で殆どの楽器を演奏する天才ぶりを発揮。ニュー・ウェイヴからの影響を受けたダンス・ミュージックにJimi Hendrixのようなロック・ギターを織り込むサウンドは斬新。


<参考アルバム>

○377: Prince / 1999 (1982年)

○378: Prince / Sign O The Time (1987年)

Talking Heads / Remain In Light

●379: Talking Heads / Remain In Light (1980年)

Talking Headsはニューヨーク出身のロック・バンド。メンバーが名門美術大学出身であることからインテリ派ロックなどと呼ばれた。4作目の本作はBrian Enoがプロデュースを担当。黒人のゲスト・ミュージシャンを迎えてドラムとベースを二人ずつの構成にし、アフリカ音楽のポリリズムを取り入れて評判を呼んだ。


<参考アルバム>

○380: Brian Eno & David Byrne / My Life In A Bush Of Ghosts (1981年)

○381: Talking Heads / More Songs About Buildings & Food (1978年)

Rockの名盤 (1981年)

Japan / Tin Drum

●382: Japan / Tin Drum (1981年)

David Sylvian(vo)を中心とする英国のロック・バンド、Japanのラスト・アルバム。けだるさやニヒリズムを感じる独特のサウンドを少ない音数で構築し、デザインも含めてトータルに美意識の高い作品となった。David Sylvianのビジュアルの良さやバンド名の効果もあり、Japanは日本でも商業的な成功を収めた。


<参考アルバム>

○383: The Smiths / The Smiths (1984年)

○384: The Cure / Standing On A Beach (1986年)

Public Image Limited / Flowers Of Romance

●385: Public Image Limited / Flowers Of Romance (1981年)

Sex Pistolsを解散したJohn Lydonが結成したロック・バンド、Public Image Ltd(PiL)の3枚目のスタジオ・アルバム。John Lydonは「ロックは終わった」と言ったが、終わった後の音楽をPiLで追求した。それが一つの形になった本作はPiLの代表作。リズムを捉えにくい独特のビートと緊張感のある斬新なサウンドが特徴。


<参考アルバム>

○386: The Pop Group / For How much Longer (1980年)

○387: Gang Of Four / Entertainment! (1979年)

The Pop Group / For How much Longer

Daryl Hall & John Oates / Private Eyes

●388: Daryl Hall & John Oates / Private Eyes (1981年)

70年代前半から活動していたHall & Oatesが、アルバム・チャートで初のTop10入り(5位)を果たしたのが本作。親しみやすい曲を作る彼らなりの方法論を確立した。キャッチーなメロディを軽快なビートに乗せた「Private Eyes」、ソウル・フィーリング溢れる「I Can’t Go for That」がNo.1ヒットを記録。同じ方法論で80年代前半にTop10ヒットを連発した。


<参考アルバム>

○389: Daryl Hall & John Oates / Rock’N Soul Part 1 (1983年)

○390: Todd Rundgren / Something/Anything (1972年)

Rockの名盤 (1982年)

Roxy Music / Avalon

●391: Roxy Music / Avalon (1982年)

1972年にイギリスでデビューしたRoxy Music。デビュー当時のグラム・ロックから、時代に合わせてスタイルやメンバーを変え、常に先鋭的な活動をしてきた。本作はラスト・アルバムで、ヒットした「More Than This」に代表される、奥行きのある洗練されたサウンドが特徴。Roxy Musicが最後に到達した桃源郷のような豊かなアルバム。


<参考アルバム>

○392: Roxy Music / Siren (1975年)

○393: Bryan Ferry / These Foolish Things (1973年)

Joe Jackson / Night And Day

●394: Joe Jackson / Night And Day (1982年)

Joe Jacksonはイギリスのロイヤル・アカデミーでクラシックを学んだ才人。パンク、レゲエ、ジャイヴと、スタイルを変えながら良質なポップ・アルバムを製作。本作はニューヨークに移り住んで製作した5作目で、人種や文化のるつぼであるニューヨークのように多彩な要素を表現。都会的なエレクトロ・ポップの「Steppin’ Out」が大ヒットした。


<参考アルバム>

○395: Tom Waits / Swordfishtrombones (1983年)

○396: Warren Zevon / Sentimental Hygiene (1987年)

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