1971年のロック名盤

のちのアーティストに多大な影響を与え、ヒット・チャートに偉大な記録を残したロック名盤。このページでは、ロックの代表的なアルバムのうち、1971年に発売された15枚のアルバム(Derek & The Dominos, The Rolling Stones, Black Sabbath, T. Rexなど)をショート・レビューと共に紹介します。また、関連する他のアルバムや、同じアーティストの他の作品については、参考アルバムとして、アーティスト名とタイトル、発売年をリストします(30作品)。

Derek & The Dominos / Layla & Other Assorted Love Songs

アルバムのセレクションは、渋谷陽一氏の著書『ロック ベスト・アルバム・セレクション』(1988年, 新潮社)に準拠しました。バイヤーズのための決定版と言える名ガイド・ブック。私も愛読しました。

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1971年を代表する15枚のアルバム

Derek & The Dominos / Layla & Other Assorted Love Songs

●182: Derek & The Dominoes / Layla & Other Assorted Love Songs (1971年)

Blind Faithを解散したEric Claptonが、Delaney & Bonnieのメンバー3人と結成したバンド、Derek & The Dominoesの唯一のアルバム。The Allman Brothers BandのDuane Allmanも参加し、アメリカ南部の音楽(スワンプ)を楽しむといった趣きのリラックスした演奏を披露。


<参考アルバム>

○183: Eric Clapton / 461 Ocean Boulevard (1974年)

○184: Eric Clapton / Crossroads (1988年)

Janis Joplin / Pearl

●185: Janis Joplin / Pearl (1971年)

1970年に急死したJanis Joplinの遺作となったアルバム。「Move Over / ジャニスの祈り」や、全米1位のシングル・ヒットとなった「Me And Bobby McGee」を収録。死を暗示しているかのような「Buried Alive In The Blues / 生きながらブルースに葬られ」は、彼女の死によって演奏だけの収録となった。


<参考アルバム>

○186: Janis Joplin / In Concert (1972年)

○187: Janis Joplin / I Got Dem Ol’ Kozmic Blues Again Mama! (1969年)

Johnny Winter / Johnny Winter &

●188: Johnny Winter / Johnny Winter And (1971年)

ブルース・ギターの名手としてキャリアをスタートしたJohnny Winterが、ハードなロックン・ロールを軸とする新しいスタイルへと転向した最初のアルバム。このアルバムから、もう一人の名ギタリストであるRick Derringerが参加。Rick Derringerは、本作収録の「Rock and Roll, Hoochie Koo」を自身のソロ・アルバムで取り上げ、ヒットさせた。


<参考アルバム>

○189: Fabulous Thunderbirds / Tuff Enuff (1986年)

○190: ZZ Top / Eliminator (1983年)

Emerson, Lake & Palmer / Tarkus

●191: Emerson, Lake & Palmer / Tarkus (1971年)

EL&Pのベストとして挙げられることの多いセカンド・アルバム。A面全体が「Tarkus」と題された組曲となっており、完成度の高い濃密な内容と演奏で聴く者を圧倒する。「Tarkus」はアルバム・ジャケットの異様な怪物として、ヴィジュアルにも表現されている。


<参考アルバム>

○192: Emerson, Lake & Palmer / Brain Salad Surgery (1973年)

○193: Asia / Asia (1982年)

The Rolling Stones / Sticky Fingers

●194: The Rolling Stones / Sticky Fingers (1971年)

1971年に設立した自己レーベル「ローリング・ストーンズ・レコード」の第一作が本作である。 「Brown Sugar」がシングル・カットされ、全米1位のヒットを記録した。有名なアルバム・ジャケットは、ポップ・アートの旗手Andy Warhol氏によるデザインである。


<参考アルバム>

○195: The Rolling Stones / Exile on Main Street (1972年)

○196: The Rolling Stones / Some Girls (1978年)

Black Sabbath / Master Of Reality

●197: Black Sabbath / Master Of Reality (1971年)

Led ZeppelinやDeep Purpleと並び、英国ハード・ロックを代表するバンドに位置づけられるBlack Sabbathのサード・アルバム。本作あたりから、Black Sabbathサウンドとも言える独自のハード・ロック・スタイルを確立。Zeppelinのようなメジャー感、Purpleのような娯楽性はないが、多くのコアなフォロワー・バンドを生んだ。


<参考アルバム>

○198: Blue Cheer / Vincebus Eruptum (1968年)

○199: Ozzy Osbourne / Bark At The Moon (1983年)

Van Morrison / Tupelo Honey

●200: Van Morrison / Tupelo Honey (1971年)

北アイルランド出身のシンガー・ソングライターであるVan Morrison。ソウルフルで個性的なヴォーカルとロマンティシズム溢れる作品は、U2を始め多くのアーティストに影響を与え、尊敬を集めている。本作は5枚目。70年代のVan Morrisonのスタイルを確立したアルバムである。


<参考アルバム>

○201: Them / Them Again (1966年)

○202: Van Morrison / Astral Weeks (1968年)

Aretha Franklin / Live At Fillmore West

●203: Aretha Franklin / Live At Fillmore West (1971年)

R&Bシーン最高の女性シンガーであったAretha Franklinが、サンフランシスコのロックの殿堂として知られたFillmore Westに初出演した際のライヴを収めたアルバム。彼女の代表作の一枚である。たまたま客席にいたRay Charlesをステージに上げてデュエットする「Spirit in the Dark」が聴きもの。


<参考アルバム>

○204: Aretha Franklin / I Never Loved A Man The Way I Love You (1967年)

○205: Aretha Franklin / Lady Soul (1968年)

The Mothers / Fillmore East – June 1971

●206: The Mothers / Fillmore East – June 1971 (1971年)

奇才と言われるFrank Zappaが率いたミュージシャン集団、The Mothers。このアルバムでは、Aynsley Dunbar(ds)やTurtlesのメンバーが参加している。批評と風刺の精神をエネルギー源に、音楽の表現に真面目に取り組む姿勢が斬新で難解なサウンドに表れている。


<参考アルバム>

○207: The Mothers of Invention / Freak Out! (1966年)

○208: Captain Beefhart / Trout Mask Replica (1969年)

T. Rex / Electric Warrior

●209: T. Rex / Electric Warrior (1971年)

David Bowieと共にグラム・ロックを代表するアーティストであったT.Rexのセカンド・アルバム。 シングル・ヒットした「Get It On」、「Jeepster」を収めた彼らの代表作である。ジャケットはHipgnosisが手掛けた。「Metal Guru」、「Telegram Sam」を収録した翌年のサード・アルバム『Slider』も大ヒットした。


<参考アルバム>

○210: T. Rex / Best Of T. Rex (1971年)

○211: T. Rex / Slider (1972年)

Alice Cooper / Killer

●212: Alice Cooper / Killer (1971年)

演劇的なハード・ロックを持ち味とするAlice Cooperを代表する4作目。Alice CooperはFrank Zappa率いるThe Mothersにも一時参加していたが、曲調はMothersのような難解なものではなく、その反動であるかのようにシンプルで明快なロックン・ロールである。


<参考アルバム>

○213: The Stooges / Fun House (1970年)

○214: MC5 / Kick Out The Jams (1969年)

Humble Pie / Performance: Rockin’ The Fillmore

●215: Humble Pie / Performance: Rockin’ The Fillmore (1971年)

Humble Pieは、Small FacesのSteve Marriott(g)とThe HerdのPeter Frampton(g)という二人の才能あるミュージシャンが結成した、いわゆるスーパー・グループ。このアルバムは5作目で、エネルギッシュでハードな彼らのステージの模様を収めたライヴ・アルバム。


<参考アルバム>

○216: Humble Pie / Smokin’ (1972年)

○217: Peter Frampton / Frampton Comes Alive (1976年)

Uriah Heep / Look At Yourself

●218: Uriah Heep / Look At Yourself (1971年)

Uriah Heepは、ZeppelinやPurple、Sabbathと並び、60年代後半に始まった英国ハード・ロック・シーンを代表するバンド。ヨーロッパ的な気品を備えた独特のハード・ロックを、確かな歌唱力と演奏力によって器用に実現した。本作は彼らを代表するサード・アルバム。


<参考アルバム>

○219: Aerosmith / Greatest Hits (1980年)

○220: Kiss / Double Platinum (1978年)

Led Zeppelin / Led Zeppelin Ⅳ

●221: Led Zeppelin / Led Zeppelin Ⅳ (1971年)

Led Zeppelinの4作目。「Black Dog」「Rock And Roll」「Stairway To Heaven / 天国への階段」を収めた彼らの代表作であり、既に商業的な成功を手中にしていたバンドが、自分たちのやりたいロック表現に本格的に向き合い、一つの完成形として示したアルバム。ハード・ロックというスタイルの一つのお手本となり、多数のフォロワーを生んだ。


<参考アルバム>

○222: Led Zeppelin / Physical Graffitti (1975年)

○223: Led Zeppelin / Presence (1976年)

Pink Floyd / Meddle

●224: Pink Floyd / Meddle (1971年)

前作『Atom Heart Mother / 原子心母』と同様に、片面を「Echoes」という1曲の長い組曲で構成したアルバム。「Echoes」はシンプルな旋律の曲であるが、構成のセンスと一音一音の細やかな演出により、見事に成立している傑作。キャッチーなメロディを持つオープニングのインスト曲「One Of These Days / 吹けよ風、呼べよ嵐」は、日本でシングル・カットされた。


<参考アルバム>

○225: Moody Blues / Every Good Boy Deserves (1971年)

○226: Soft Machine / 4 (1971年)

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