1970年のロック名盤

のちのアーティストに多大な影響を与え、ヒット・チャートに偉大な記録を残したロック名盤。このページでは、ロックの代表的なアルバムのうち、1970年に発売された16枚のアルバム(Elton John, Simon & Garfunkel, Neil Young, John Lennonなど)をショート・レビューと共に紹介します。また、関連する他のアルバムや、同じアーティストの他の作品については、参考アルバムとして、アーティスト名とタイトル、発売年をリストします(32作品)。

Simon & Garfunkel / Bridge Over Troubled Water

アルバムのセレクションは、渋谷陽一氏の著書『ロック ベスト・アルバム・セレクション』(1988年, 新潮社)に準拠しました。バイヤーズのための決定版と言える名ガイド・ブック。私も愛読しました。

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1970年を代表する16枚のアルバム

Grand Funk Railroad / Grand Funk

●134: Grand Funk Railroad / Grand Funk (1970年)

ギター、ベース、ドラムスの3人編成のロック・バンド、Grand Funk Railroadのセカンド・アルバム。オーソドックスなハード・ロックであるが、キャッチーな楽曲とパワフルな演奏により、米国のみならず日本でも圧倒的な人気を得た。


<参考アルバム>

○135: Grand Funk Railroad / We’re An American Band (1973年)

○136: Mitch Ryder & The Detroit Wheels / Greatest Hits (1981年) (現在入手困難)

Elton John / Elton John

●137: Elton John / Elton John (1970年)

初期の名曲「Your Song / 僕の歌は君の歌」を収めたセカンド・アルバム。優れた作詞家であるBernie Taupinと、優れたメロディ・メーカーであるElton Johnの相性の良さが実を結んだ最初の作品。


<参考アルバム>

○138: Elton John / Greatest Hits (1974年)

○139: Elton John / Goodbye Yellow Brick Road (1973年)

Leon Russell / Leon Russell

●140: Leon Russell / Leon Russell (1970年)

名曲「A Song For You」を収めたソロ・デビュー作。一流のセッション・ミュージシャンとして既に10年以上のキャリアがあり、その実績から、Mick Jagger、George Harrison、Ringo Starr、Eric Clapton、Steve Winwood、Joe Cocker等、信じられないような豪華ミュージシャンが参加した。


<参考アルバム>

○141: Leon Russell / Best Of Leon Russell (1986年) (LPならば入手可能)

○142: Joe Cocker / Mad Dogs & Englishmen (1970年)

Simon & Garfunkel / Bridge Over Troubled Water

●143: Simon & Garfunkel / Bridge Over Troubled Water (1970年)

「Bridge over Troubled Water / 明日に架ける橋」、「El Condor Pasa / コンドルは飛んで行く」、「Cecilia / いとしのセシリア」、「The Boxer」などの有名曲を収めた、Simon & Garfunkelのラスト・アルバム。多くの国のチャートで大ヒットを記録し、最優秀アルバム賞を含むグラミー賞の6部門を受賞。記録的なセールスをあげた。


<参考アルバム>

○144: Simon & Garfunkel / Bookends (1968年)

○145: Simon & Garfunkel / Greatest Hits (1972年)

Neil Young / After The Gold Rush

●146: Neil Young / After The Gold Rush (1970年)

Buffalo SpringfieldやCSN&Yのメンバーとして活躍したNeil Youngのソロとしての3枚目。キャリアを代表するアルバムであり、率直で荒削りな表現により、根強い男性ファンを数多く獲得した。


<参考アルバム>

○147: Neil Young / Tonight’s The Night (1975年)

○148: Neil Young / Rust Never Sleeps (1979年)

Crosby, Stills, Nash & Young / Deja Vu

●149: Crosby, Stills, Nash & Young / Deja Vu (1970年)

元Buffalo SpringfieldのStephen Stills、元ByrdsのDavid Crosby、元HolliesのGraham Nashが結成したCS&Nに、元Buffalo SpringfieldのNeil Youngが加わり、CSN&Yを結成。米国西海岸のロック・シーンの最高の人気グループとなった。4人の個性が見事にバランスした完成度の高いアルバムであるが、当時のスタジオ・アルバムはこの1枚のみ。その後、1988年と1999年に1枚ずつアルバムを残している。


<参考アルバム>

○150: Crosby, Stills, Nash & Young / 4 Way Street (1971年)

○151: Manassas / Manassas (1972年)

The Who / Live At Leeds

●152: The Who / Live At Leeds (1970年)

英米ではThe BeatlesやThe Rolling Stonesと肩を並べる人気を得ていたThe Who。エネルギッシュで激しいステージ・パフォーマンスで定評のあった彼らの熱いステージの模様を収録した名ライヴ・アルバム。


<参考アルバム>

○153: The Who / Sings My Generation (1965年)

○154: The Who / Sell Out (1967年)

Free / Fire And Water

●155: Free / Fire And Water (1970年)

Paul Rodgers(vo)率いる英国の4人組ハード・ロック・バンド、Freeのサード・アルバム。大ヒット曲「All Right Now」を収録した彼らの代表作である。Paul Rodgersの力量あるヴォーカルと、英国らしい重く沈んだリズムが持ち味。


<参考アルバム>

○156: Free / Heartbreaker (1973年)

○157: Bad Company / Bad Company (1974年)

Santana / Abraxas

●158: Santana / Abraxas (1970年)

Santanaのセカンド・アルバム。ラテンのリズムと音を取り入れた独自のロック・サウンドを開拓した。Freetwood MacのPeter Green作「Black Magic Woman」や、ラテンナンバー「Oye Como Va / 僕のリズムを聞いとくれ」、官能的なバラード「Samba Pa Ti / 君に捧げるサンバ」を収めた人気作。


<参考アルバム>

○159: Santana / Caravanserai (1972年)

○160: Los Lobos / How Will the Wolf Survive (1984年)

Traffic / John Barleycorn Must Die

●161: Traffic / John Barleycorn Must Die (1970年)

1968年に一旦解散するも、Steve Winwoodを中心に、Chris Wood(sax, flute)、Jim Capaldi(ds)の3人で再結成した新生Trafficのアルバム。ソウルやジャズ、R&Bといった、Steve Winwoodが自身のやりたい音楽を追求した渋いサウンド。


<参考アルバム>

○162: Steve Winwood / Arc Of A Diver (1980年)

○163: Steve Winwood / Back In The Highlife (1986年)

Rod Stewart / Gasoline Alley

●164: Rod Stewart / Gasoline Alley (1970年)

Rod Stewartのソロ活動の第二作目。Ronnie Wood(g)やRonnie Lane(b)等、Facesのメンバーが参加し、サウンド的にもFacesのアルバムと似ている。9曲中の6曲が他人の曲であるが、独特の乾いたハスキー・ヴォイスで伸び伸びと歌う、気持ちの良いアルバム。


<参考アルバム>

○165: Rod Stewart / Every Picture Tells a Story (1971年)

○166: Rod Stewart / Atlantic Crossing (1975年)

Pink Floyd / Atom Heart Mother

●167: Pink Floyd / Atom Heart Mother (1970年)

Pink Floydの人気と評価を決定づけた初期の名作。直訳すると “原子心母" となるタイトル曲は、A面全部を占める組曲。25分の長い曲を大げさな演出なく、ストイックに作り込んでいる。B面1曲目の「If」も、Roger Watersの透明な感性が光る名曲である。


<参考アルバム>

○168: Syd Barrett / Barrett (1970年)

○169: Pink Floyd / Piper At The Gates Of Dawn (1967年)

Emerson, Lake & Palmer / Emerson, Lake & Palmer

●170: Emerson, Lake & Palmer / Emerson, Lake & Palmer (1970年)

The NiceのKeith Emerson(key)、King CrimsonのGreg Lake(b, vo)、Atomic RoosterのCarl Palmer(ds)の3人が結成したプログレッシヴ・ロック・バンドのファースト・アルバム。Moog Synthesizer(モーグ・シンセサイザー)を駆使した重厚で攻撃的なサウンドは、当時のロック・ファンに驚きを与えた。


<参考アルバム>

○171: The Nice / Five Bridges Suite (1970年)

○172: Emerson, Lake & Palmer / Pictures At An Exhibition (1971年)

John Lennon & Plastic Ono Band / Plastic Ono Band

●173: John Lennon & Plastic Ono Band / Plastic Ono Band (1970年)

The Beatles解散後のJohn Lennonのファースト・ソロ・アルバム。「Mother」、「Love」、「God」などの重たいテーマをJohnらしい批評性とピュアな感性で切実に歌い、ファンに衝撃を与えた。


<参考アルバム>

○174: John Lennon / Imagine (1971年)

○175: John Lennon / Double Fantasy (1980年)

James Taylor / Sweet Baby James

●176: James Taylor / Sweet Baby James (1970年)

James Taylorのセカンド・アルバム。「Fire And Rain」が大ヒットし、シンガー=ソングライター・ブームのきっかけとなった。翌年に『Tapestry / つづれおり』をヒットさせ、女性シンガー=ソングライター・ブームを牽引することになるCarole Kingも参加している。


<参考アルバム>

○177: James Taylor / JT (1977年)

○178: Carly Simon / No Secrets (1972年)

Jimi Hendrix / Jimi Plays Monterey

●179: Jimi Hendrix / Jimi Plays Monterey (1970年)

1970年に夭折した天才ギタリスト、Jimi HendrixのMonterey Pop Festivalでのステージの模様を収めたライヴ・アルバム(発売は1986年)。最後にギターを燃やすシーンが有名であるが、ギターという楽器が表現できる限界まで、内なる情念を表現しようとした壮絶なライヴ。


<参考アルバム>

○180: Jimi Hendrix / Crash Landing (1975年)

○181: Jimi Hendrix / Live At Winterland (1987年)

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