ベストヒットUSA 80’s オープニング・ジャケット・コレクション
『ベストヒットUSA』は80年代から続く洋楽長寿番組
『ベストヒットUSA』は、1981年4月にテレビ朝日で放送が開始された洋楽番組です。洋楽のミュージック・ビデオを中心に紹介する番組内容に、洋楽好きの私はどっぷりハマりました。だって、それまでレコードのジャケットでしか見ることのできなかったアーティストの動く映像が見られるのですから…。
アメリカでミュージック・ビデオ専門チャンネルの『MTV』が開局したのが1981年8月なので、その先駆けといえます。パーソナリティをつとめるのは小林克也氏。低音の渋い声と、滑らかな英語の発音にも魅了されました。
最新の全米ヒットチャートを紹介する「COUNT DOWN USA」や、話題のアーティストのミュージック・ビデオを紹介する「HOT MENU」、新譜を発売したアーティストや来日したアーチストを取り上げ、時にはスタジオに招いて小林克也氏が流暢な英語でインタビューする「STAR OF THE WEEK」、特定の年のヒット曲を振り返り、その曲にまつわるエピソードと共にミュージック・ビデオを紹介する「TIME MACHINE 」など、内容も充実していました。
スポンサーがブリヂストンであることから、番組の正式名称は『Bridgestone Sound Highway ベストヒットUSA』。1989年9月までの8年間放送された、80年代を代表する洋楽番組です。また、2000年代に復活し、現在もBS朝日で放送が続いている長寿番組でもあります。
ドミノ倒し風にジャケットが流れるオープニング映像が魅力
番組のオープニングでは、Vaipour Trails(ヴェイパー・トレイルズ)の「Don't Worry Baby / サーフ・サイド・フリーウェイ」の軽快なサウンドに乗って、「洋楽のアルバム・ジャケットがドミノ倒し風にパラパラと流れていく映像」が使われています。
洋楽好きの興味を惹く美味しい映像です。それぞれのジャケットは一瞬しか見えないので判別は難しいですが、いずれも見覚えのある名盤ばかり。ドミノ倒し風にジャケットが流れる映像は、現在の番組でも使われていますが、80年代と現在とでは、使われるジャケットが異なっています。
この映像に使われているアルバム・ジャケットを知りたいなぁ…と、漠然と思っていたのですが、80年代の映像に関しては、『音楽生活 2001 Vol.5』(バーン・コーポレーション発行)の特集記事「ベストヒットUSA オープニング・ジャケット・コレクション」に、その答えがありました。
記事では、使われているアルバム・ジャケットのタイトルとアーティスト、発売年が見開き2ページで紹介されています。
この情報をもとに、アルバムに関するショート・レビューを独自に加えてみました。20タイトルずつ、6ページに分けて紹介しますので、番組をリアルタイムで見た人は懐かしみながら、あるいは呆れながら(?)、ご笑覧ください…。
なお、No.64のジャケット(黄色地に歌舞伎の隈取りのようなデザイン)に関しては、タイトル、アーティストが不明です。特集記事では「読者クイズ」になっているのです…。分かる方がいたら、是非教えてください。
ベストヒットUSA 80's オープニング・ジャケット (1-20)
001:Black Sabbath / Vol.4 (1972年, 英8位, 米13位)
Led ZeppelinやDeep Purpleと並び、英国ハード・ロックを代表するバンドに位置づけられるBlack Sabbathの4作目。邦題は『ブラック・サバス4』。
002:Manhattans / After Midnight (1980年, 米24位)
アメリカのR&Bヴォーカル・グループであるThe Manhattansの通算11作目のスタジオ・アルバム。邦題は『マンハッタン・ミッドナイト』。「Shining Star」(米5位)がシングル・ヒットした。
003:Chuck Mangione / Feels So Good (1977年, 米2位)
アメリカのジャズ・トランペット/フリューゲル・ホーン奏者であるChuck Mangioneの代表作。邦題は『ユートピア』。タイトル曲が米4位のシングル・ヒットを記録。
004:Double Fantasy / John Lennon (1980年, 英1位, 米1位)
John Lennonの5年ぶり、7作目のソロ・アルバムであり最終作。「Starting Over」(米1位)、「Woman」(2位)、「Watching the Wheels」(10位)の3曲のシングルがTop10入りし、1982年のグラミー賞では「Album of the Year」を受賞した。
005:Electric Light Orchestra / A New World Record (1976年, 英6位, 米5位)
Jeff Lynne率いる英国のロック・バンドであるELOの6作目のスタジオ・アルバム。邦題は『オーロラの救世主』。「Telephone Line」(米7位)がシングル・ヒット。
006:Steely Dan / Gaucho (1980年, 米9位)
Donald FagenとWalter Beckerによるユニット、Steely Danの7作目。「Hey Nineteen」(米10位)がシングル・ヒット。参加ミュージシャンの個性が薄れるほどに磨き抜かれたサウンドは圧巻で、77年の前作『Aja / 彩(エイジャ)』に匹敵する高い評価を獲得した。
007:America / America (1971年, 米1位)
実はロンドン生まれのバンドであるAmericaのデビュー作。邦題は『名前のない馬』。「A Horse with No Name」(米1位)、「I Need You」(米9位)がシングル・ヒットし、アルバムもデビュー作にして米1位を獲得した。
008:Supertramp / Indelibly Stamped (1971年)
英国のロック・バンド、Supertrampのセカンド・アルバム(アメリカではファースト・アルバム)。邦題は『消えない封印』。まだメンバーも固まっておらず、ヒット曲も生まれていないが、次作以降のバンドの飛躍の布石となった。
009:Jackson Browne / Late For The Sky (1974年, 米14位)
アメリカのシンガー・ソングライター、Jackson Browneのサード・アルバム。ヒット・シングルは生まれていないが、タイトル曲や「Before the Deluge」などの名曲を揃えた代表作。
010:Rickie Lee Jones / Rickie Lee Jones (1979年, 米3位)
アメリカの女性シンガー・ソングライター、Rickie Lee Jonesのデビュー作。邦題は『浪漫』。
「恋するチャック」(米4位)がシングル・ヒットし、翌年のグラミー賞では「Best New Artist」を受賞した。
011:Steve Miller Band / Book Of Dreams (1977年, 米2位)
アメリカのロック・バンド、Steve Miller Bandの10作目のスタジオ・アルバム。邦題は『ペガサスの祈り』。「Jet Airliner」(米8位)、「Swingtown」(17位)がシングル・ヒット。アルバム・チャートでは彼らの最高位を記録した。
012:Deep Purple / Machine Head (1972年, 英1位, 米7位)
英国のハード・ロック・バンド、Deep Purpleの6作目のスタジオ・アルバム。「Highway Star」「Smoke on the Water」(米4位)といったハード・ロック史に残る名曲を生んだ彼らの代表作。
013:The Beatles / Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band (1967年, 英1位, 米1位)
コンサート活動を止め、スタジオでのアルバム制作に専念するようになったビートルズが生みだした歴史的な名作。斬新なアイデアをつめ込んだ「A Day In The Life」など、後世の音楽シーンに多大な影響を与えた。
014:Peter Frampton / Frampton Comes Alive! (1976年, 英6位, 米1位)
英国のロック・ミュージシャン、Peter Framptonを代表する名ライヴ。2枚組の大作でありながらスタジオ・アルバムよりも売れた。「Show Me the Way」(米6位)、「Do You Feel Like We Do」(10位)、「Baby, I Love Your Way」(12位)がシングル・ヒット。
015:The Band / The Last Waltz (1978年, 米16位)
Bob Dylanのバック・ミュージシャンが結成したロック・バンド、The Bandが16年間の活動に終止符を打ったラスト・コンサートを収録した3枚組のライヴ・アルバム。Bob Dylanも参加し、記録映画も作られた。
016:Santana / Abraxas (1970年, 米1位)
ラテンのリズムと音を取り入れた独自のロック・サウンドを開拓したSantanaのセカンド・アルバム。邦題は『天の守護神』。「Black Magic Woman」(米4位)、「Oye Como Va / 僕のリズムを聞いとくれ」(13位)がシングル・ヒットし、アルバムは初の米1位を獲得。
017:Vapour Trails / Vapour Trails (ジャケ違い) (1979年)
英国のセッション・ミュージシャン3人が結成したグループ、Vapour Trailsの唯一のアルバム。邦題は『オータム・ブリーズ』。ジャズ・ギタリストのLarry Carltonがプロデュースを担当。「Don't Worry Baby」は番組の冒頭曲になった。このジャケットは出所不明で、オリジナルはこちら。
018:James Taylor / One Man Dog (1972年, 米4位)
アメリカのシンガー・ソングライター、James Taylorの4作目のスタジオ・アルバム。「Don't Let Me Be Lonely Tonight」(米14位)がシングル・ヒット。バック・ヴォーカルに参加したCarly Simonとこの年に結婚している。
019:Linda Ronstadt / Mad Love (1980年, 米3位)
邦題は『激愛』。シングル・ヒットした「Hurt So Bad」(米8位)、「How Do I Make You」(米10位)の他に、Elvis CostelloやThe Cretonesの曲を歌ったロック色の強いアルバム。
020:Paul McCartney / McCartney II (1980年, 英1位, 米3位)
Paul McCartney名義のソロ・アルバムとしては10年ぶり、2作目となるスタジオ・アルバム。ディスコ調の「Coming Up」(英2位, 米1位)がシングル・ヒットした。翌年にWingsを解散。
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