Bobby Caldwell / Heart Of Mine (1989年) – アルバム・レビュー

2020年2月8日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Bobby Caldwellの1989年のアルバム『Heart Of Mine』の紹介です。

Bobby Caldwell / Heart Of Mine (1989年) フロント・カヴァー

Bobby CaldwellはNYのマンハッタン生まれ、マイアミ育ちのシンガー・ソングライター。トレードマークのソフト帽姿で哀愁のバラードを甘くソウルフルに歌うスタイルは大人の魅力に溢れていて、Boz Scaggsと並んで日本のAOR人気の火付け役。金澤寿和氏の『AOR Light Mellow』の初版(99年)では "ミスターAOR" と呼ばれているが、その増補改訂版(2001年)では "キング・オブ・AOR" に格上げされている。

この『Heart Of Mine』は5枚目のアルバムで、83年の前作『August Moon』からは6年ぶり。この間、Bobby Caldwellは他のアーティストへの楽曲提供を積極的に行っていて、本作の収録曲の半分(1, 3, 4, 6, 9)は、そのセルフ・カヴァーになっている。

タイトル曲の「Heart Of Mine」は、Boz Scaggsの88年のアルバム『Other Roads』に収録されたバラードの名曲。ChicagoのJason Scheff等と共作した曲で、BozのバージョンはBillboard Hot 100チャートの35位をマークした。

「Next Time」もバラードの名品。Peter Ceteraの86年のアルバム『Solitude/Solitaire』に収録され、Amy GrantとのデュエットでBillboard Hot 100チャートの1位を獲得している。「Stay With Me」もPeter Ceteraへの提供曲で、こちらは87年の日本映画『竹取物語 (Princess from the Moon)』の主題歌。どちらの曲も、Bobby Caldwellの歌声がPeter Ceteraとよく似ている。

ムードのあるR&Bナンバーの「All Or Nothing At All」は、Al Jarreauの88年のアルバム『Heart's Horizon』の収録曲で、Alのバージョンは米R&Bチャートの59位をマーク。「In The Name Of Love」は、サックス奏者のRichard Elliotの89年のアルバム『Take to the Skies』に収録された。

新曲もカヴァー曲と遜色ない出来。スロー~ミディアム・テンポのバラード系が中心で、綺麗なメロディの曲が多い。バラードの「Real Thing」はシングル・カットされ、米ACチャートの41位を記録しているが、個人的にはクールなR&Bナンバーの「First Time」がお気に入り。

Bobby Caldwellはアルバムのプロデュースを自ら担当し、曲作りとアレンジに加えて、ギター、ベース、キーボードの演奏も一人でこなすマルチ才能ぶりを発揮している。

その反面、サウンドの印象はシンプルなので、腕のあるバック・ミュージシャンたちの演奏の妙を味わうようなタイプのサウンドが好みだと、物足りなさを感じるかも。ジャケットの空の美しいグラデーションを眺めながら、Stevie Wonder譲りのヴォーカルの素晴らしさと、楽曲の良さを味わう内容になっている。

●収録曲
  1. Heart Of Mine - 4:49
  2. Real Thing - 5:33
  3. Next Time (I Fall) - 3:40
  4. All Or Nothing At All - 3:50
  5. Saying It's Over - 4:06
  6. In The Name Of Love - 3:56
  7. Even Now - 5:05
  8. First Time - 3:45
  9. Stay With Me - 4:29
  10. China - 3:46

◆プロデュース: Bobby Caldwell(vo, ar, g, k, b)

◆参加ミュージシャン: Michael Landau(g), Jimmy Haslip(b), Mike Fisher(per), Dave Koz/Richard Elliot/Bobby Martin(sax), etc

スポンサーリンク