Brownsmith / Brownsmith (1975年) – アルバム・レビュー

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Brownsmithの1975年のアルバム『Brownsmith』の紹介です。

Brownsmith / Brownsmith (1975年) フロント・カヴァー

Brownsmithは、Don BrownとGarrett Smithによる男性デュオ・グループ。フロント・カヴァーに写る向かって左がDonで、ヴォーカルとアコースティック・ギターを担当。右がGarrettで、ベースとバック・ヴォーカルを担当している。

今日紹介する『Brownsmith』は彼らの唯一のアルバム。First American( "American First" ではない)という米シアトルのインディ・レーベルから発売されているので、彼らはきっとシアトルを拠点に活動していたのだろう。

アルバムは1973年に発表されたが、大手のCapitol Recordsが権利を買い取り、75年に再発している。木漏れ日を思わせる淡いグリーンで縁取られたフロント・カヴァー(上の画像)はCapitol盤で、First American盤はモノクロのデザインだ。日本では今年6月に紙ジャケット仕様で久しぶりにCDが再発されたが、First American盤のデザインが採用されている。

内容はアコースティック基調のAORで、Capitol盤の淡いグリーンのような涼やかなサウンドを満喫できる。ここから、おすすめの3曲をピック・アップ。

まずは、1曲目の「Lightning Lady」。微睡のように淡いメロディ、優しいヴォーカルとコーラス、それを包む穏やかな演奏と繊細なストリングス。アルバム全体のトーンを象徴する静かな楽曲だ。この曲を始め、ほとんどの曲をDon Brownが一人で書いている。

6分を超える長尺のナンバーが2曲あるので、それぞれ紹介。まずは「July Moon」。虫の音が流れるなかで静かに幻想的に曲が始まるが、途中からサックスやトランペットによる即興的な演奏が加わって起伏のある展開になっていく。Kenny Logginsの「Nightwatch」あたりを思い出させるミステリアスなナンバーだ。

もう一曲は「Gold And Mellow」。グルーヴ感のある爽やかなナンバーだが、中盤に「July Moon」同様のジャジーな間奏が組み込まれ、スリリングなアンサンブルが披露される。DonとGarrett以外の主なプレイヤーは、Martin Lund(k, sax), Chris Leighton(ds), Luis Peralta(per)で、この5人のスナップショットがバック・カヴァーになっている。曲は71年に書かれており、収録曲の中では恐らく最も古い。彼らの原点は案外こうした即興的な演奏にあるのかもしれない。

意外なところでは、後にBoy Meets Girlを結成する美人で美声のShannon Rubicamが参加し、「Forever」でDon Brownと爽やかにデュエットしている。

Don Brownはソロ・アルバムも出している。特に77年発表のソロ1作目『I Can’t Say No』は本作の流れを汲む瑞々しい内容。相方のGarrett Smithも参加していて、おすすめだ。

●収録曲
  1. Lightning Lady - 4:00
  2. Circus Ride - 3:35
  3. Friends Of Mine - 4:55
  4. Yukon Lady - 3:27
  5. July Moon - 6:40
  6. Forever - 3:43
  7. Only Love - 3:37
  8. Sunrise To Sunset - 2:52
  9. Gold And Mellow - 6:40
  10. Summer Afternoon - 2:34

◆プロデュース: Jim Bredouw(ar)

◆参加ミュージシャン: Don Brown(vo, ag), Garrett Smith(b, bv)
with Shannon Rubicum(vo), Martin Lund(k, sax, flute, ar), Stacy Christenson(k), Michael Kinder(ds), etc

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