Alan Gorrie / Sleepless Nights (1985年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Alan Gorrieの1985年のアルバム『Sleepless Nights』の紹介です。
Alan Gorrieはスコットランド出身のミュージシャン。1972年に結成されたAverage White Bandの中心メンバーであり、バンドではギターとベース、ヴォーカルを担当した。今も活動しているが、創設メンバーのうち残っているのはAlan Gorrieだけだ。
Funk/R&BグループのAverage White Bandは「Pick Up the Pieces」(74年, 米1位)や「Let's Go Round Again」(80年, 英12位)などのヒット曲を残している。1982年に一度解散するが、89年に再結成しており、今日紹介する『Sleepless Nights』はその間に発表されたアルバムになる。Alan Gorrieにとっては唯一のソロ・アルバムだ。
アルバムをプロデュースしたのは、Alan Gorrie本人とJay Gruska。Jay GruskaはMaxusの中核メンバーとして知られるが、プロデューサーとしてもJoseph Williamsの『Joseph Williams』(82年)やBrett Raymondの『Only Love』(86年)などのAOR作品を手がけている。
収録された9曲のうち、Alan Gorrieの自作は7曲で、その全てが共作。残りをJay Gruska等が書いている。80年代の真ん中ということもあり、生楽器による従来のサウンドと、コンピューターによりプログラミングされた新しい響きのサウンドが上手くブレンドされている。
では、このアルバムから4曲をピック・アップ。
まずは、Alan Gorrie - Leslie Smith共作の「Electric Between Us」。シャープなアップ・テンポ・ナンバーで、Dann Huff & Michael Landauによる華やかなギターや、Joe Pizzulo, Joseph Williams等によるハイ・トーンのバック・ヴォーカルが気持ちいい。なお、本作のほとんどの曲ではドラムスをJohn Robinsonが、ベースをAlan Gorrieが演奏している。
次いで、センチメンタルなバラードの「Diary Of A Fool」を。好きな人が去った後の心境をせつなく綴った歌詞だが、時の移ろいを4月、6月、7月、そして9月と数える一節は、Simon & Garfunkelの「4月になれば彼女は」を思わせる。このロマンティックな曲はNed Dohenyの93年のアルバム『Between Two Worlds』でカヴァーされた。
3曲目は、Alan Gorrie - Jay Gruskaの共作した「Tha Kinda Girl」。R&Bタイプのメロウで落ち着いた好ナンバーだが、途中からホーン・セクションが加わると活気に溢れてAverage White Bandらしくなる。ここでも、Joe Pizzulo, Joseph Williams等によるバック・コーラスが爽やかだ。
そして、本作のタイトル曲「Sleepless Nights」。ムード溢れるスロー・ナンバーで、Steve Tavaglioneの演奏する滑らかなウィンドシンセの響きが何とも魅力的だ。翌年には、Smokey Robinsonがアルバム『Smoke Signals』でカバー。スムース・ジャズのサックス奏者、Marion Meadowsも90年のデビュー・アルバム『For Lovers Only』でこの曲を取り上げている。
Average White Bandのアルバムの中では、David Fosterをプロデューサーに起用した80年の『Shine』がAOR好きにおすすめ。また、Jay Gruskaの前年のアルバム『Which One Of Us Is Me』も生楽器と時流のプログラミング・サウンドをうまく組み合わせた好盤になっている。
- ●収録曲
- Up - 3:57
- Electric Between Us - 3:50
- Diary Of A Fool - 3:44
- That Kinda Girl - 4:24
- I Can Take It - 4:55
- The Girl Upstairs - 4:12
- Sleepless Nights - 4:29
- The Age Of Steam - 4:04
- In The Jungle - 4:16
◆プロデュース: Alan Gorrie(vo, b, k, prog, ar), Jay Gruska(k, prog, bv, ar)
◆参加ミュージシャン: Dan Huff/Michael Landau(g), Dennis Herring(g, ds prog), Larry Williams(k, sax), Randy Kerber/Jai Winding(k), Jeff Bova/Michael Boddicker(k, prog), Nathan East(b), John Robinson(ds), Paulinho Da Costa(per), Ernie Watts(sax), Jerry Hey(tp), Gary Chang(prog), Joseph Williams/Marc Jordan/Alex Ligertwood/Joe Pizzulo(bv), etc
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません