David Pack / Anywhere You Go (1985年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、David Packの1985年のアルバム『Anywhere You Go』の紹介です。

David Pack / Anywhere You Go (1985年) フロント・カヴァー

David Packはカリフォルニア生まれのミュージシャン。LAのロック・バンドであるAmbrosiaの創設メンバーであり、リード・シンガーとギタリストを担当しながら1982年の解散までバンドを牽引した。

結成当初のAmbrosiaはプログレッシヴ・ロックを指向していたが、次第にコンテンポラリーな作風に変わり、「How Much I Feel」(78年, 米3位)、「Biggest Part Of Me」(80年, 3位)、「You're The Only Woman」(80年, 13位)という名バラードを生んでいる。これらを書いた優れたソングライターがDavid Packである。

本作はDavid Packの初のソロ・アルバム。清々しいロック・ナンバーと甘美なバラードを揃え、80年代らしい音をさり気なく取り入れた上品なアレンジで仕上げている。

何と言っても、「I Just Can't Let Go」と「That Girl Is Gone」の2曲のバラードの出来がよい。「I Just Can't Let Go」では、David Pack/Michael McDonald/James Ingramというスモーキー・ヴォイス・トリオが極上のハーモニーを披露。一方の「That Girl Is Gone」では、David Packらしいメランコリックなメロディが光る。ACチャートでは各々13位と16位を記録した。

1曲目の「Anywhere You Go」も爽やかな風が吹くような気持ちのよいロック・ナンバー。TOTOのMike Porcaro(b)が曲作りに参加しているところが珍しい。

全曲がDavid Packの作/共作であり、共作メンバーはRandy Goodrum(3)、Michael McDonald/James Ingram(6)、James Newton Howard(3, 8)など。

バック・ミュージシャンにはAmbrosiaのメンバーのほか、同じ米国プログレッシヴ・ロックの代表格であるKansasのKerry Livgren(g, k)とJohn Elefante(bv)が参加しており、AOR路線に傾いた時期のKansasが好きな人にもお薦め。また、ジャズ・ベーシストのStanley Clarkeが「Do Ya」でファンキーなベースを弾いている。

「Prove Me Wrong」は同年の映画『White Nights』の挿入曲として使われた。シングル・カットもされたが、Billboard Hot 100チャートの95位どまり。この曲ではTOTOのJeff Porcaroがドラムスを叩いている。

このアルバムは、ワーナーの「AOR BEST SELECTION 1300」シリーズから2016年9月に高品質SHM-CDで再発された。金澤寿和氏の著書『AOR Light Mellow』では、"80年代中盤のAOR低迷期に生まれた最強の名盤" と紹介されている。

●収録曲
  1. Anywhere You Go - 5:00
  2. I Just Can't Let Go - 4:54
  3. Won't Let You Lose Me / 愛を消さないで - 3:37
  4. My Baby - 4:17
  5. That Girl Is Gone - 4:46
  6. She Don't (Come Around Anymore) - 5:26
  7. Do Ya - 4:48
  8. Prove Me Wrong - 4:20
  9. No Direction (No Way Home) - 5:46
  10. Just Be You - 4:15

◆プロデュース: David Pack(vo, g, k, prog), Michael Verdick

◆参加ミュージシャン: Kerry Livgren(g, k), James Newton Howard/Jai Winding(k), Hawk Wolinski(sy), Joe Puerta(b, bv), Stanley Clarke/Mike Porcaro(b), Jeff Porcaro/John Robinson/Prairie Prince/George Perilli(ds), Burliegh Drummond/Paulinho Da Costa(per), Ernie Watts(sax), Michael McDonald/James Ingram/John Elefante/Jennifer Holliday(bv), etc

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