Michael McDonald / No Lookin’ Back (1985年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Michael McDonaldの1985年のアルバム『No Lookin' Back』の紹介です。

Michael McDonald / No Lookin' Back (1985年) フロント・カヴァー

Michael McDonaldは甘いハスキー・ヴォイスとソウルフルな歌い口で人気のあるシンガー・ソングライター。70年代にSteely DanとThe Doobie Brothersという、アメリカの東西海岸のメジャー・グループを渡り歩き、1982年からはソロで活動をしている。

この『No Lookin' Back』は、Michael McDonaldの2枚目のソロ・アルバム。82年のソロ1作目『If That's What It Takes / 思慕(ワン・ウェイ・ハート)』からは3年のブランクがあり、この間にMichael McDonaldはAmy Hollandとの結婚生活をスタートしている(83年)。

本作のプロデュースは、前作も担当したベテラン・プロデューサーのTed TemplemanとMichaelの共同で行われた。ほとんどの曲が共作で、共作者は、Kenny Loggins/Ed Sanford(1)、Chuck Sabatino(3-5), David Pack(4, 6)、奥様のAmy(7)、Grady Walker(8)、Randy Goodrum(9)となっている。

私はMichael McDonaldの作る、ほろ苦いけど爽やかなサビのメロディが好きで、そうした曲を聴くのは幸せ。このアルバムでは、「By Heart」や「Any Foolish Thing」のサビのメロディにMichaelらしさを感じる。ここからメロウで優美なバラードの「Our Love」を経て、奥様との共作「On Your Every Word」へと続く流れはなかなかいい。

The Doobie Brothersの「What A Fool Believes」(MichaelとKenny Logginsの共作)の大ヒットをきっかけに、70年代終わりから80年代初めにかけて、「キーボードで軽快にリズムを刻む、キャッチーで洗練されたスタイル」が流行り、"Michael McDonaldスタイル" などと呼ばれた。このアルバムでも、奥様と共作した「On Your Every Word」にその面影がある。この曲は、奥様の83年のアルバム『恋に焦がれて』のタイトル曲だ。

演奏面では、TOTOのJeff Porcaroが1曲(6)を除く全曲でドラムを叩いており、重厚感のある手堅い演奏で貢献している。80年代特有の電子的なサウンドも取り入れているが、全体としては生楽器が主体。また、EaglesのJoe Walshが参加しており、「Bad Times」でブルージーな味わいのスライド・ギターを聴かせる。イーグルスとドゥービーズの共演といったところか。

●収録曲
  1. No Lookin' Back - 3:55
  2. Bad Times - 4:21
  3. (I'll Be Your) Angel - 3:57
  4. By Heart - 4:35
  5. Any Foolish Thing - 4:23
  6. Our Love - 4:32
  7. (I Hang) On Your Every Word - 3:22
  8. Lost In The Parade - 3:48
  9. Don't Let Me Down - 4:01

◆プロデュース: Michael McDonald(vo, k, sy), Ted Templeman

◆参加ミュージシャン: Staff Fieldhouse/George Perilli/Jeff Porcaro/"Roger"(ds), Willie Weeks/Nathan East(b), Randy Goodrum/Mike Hanna/Brian Mann(sy), David Pack(g, sy), Robben Ford/Joe Walsh(g), Cornelius Bumpus(sax), Paulinho da Costa(per), etc

スポンサーリンク