Michael Ruff / Once In A Lifetime (シティ・ウォーキン) (1984年) – アルバム・レビュー

2019年12月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Michael Ruffの1984年のアルバム『Once In A Lifetime / シティ・ウォーキン』の紹介です。

Michael Ruff / Once In A Lifetime (シティ・ウォーキン) (1984年) フロント・カヴァー

Michael Ruffはセッション・キーボード・プレイヤーとして、またソングライター/プロデューサーとして様々なアーティストの活動を支えるアメリカのミュージシャン。数は少ないが、ソロ・アルバムやMichael Ruff Bandのアルバムも残しており、本作はソロでのデビュー・アルバムである。

プログラミング・サウンドが主流の80年代には珍しく、すべて生楽器で演奏されたアルバム。そのサウンドは、洗いざらしのジーンズにナイキのスニーカーを合わせたジャケットのように清潔でナチュラル。上品な味わいは、高級なミネラル・ウォーターのようだ。

プロデュースをTommy LiPumaが担当し、全曲をMichael Ruffが作詞・作曲。このうち、「Dedication / 愛の捧げもの」だけはLarry John McNallyとの共作である。

ちなみに、トップスには生成りのセーターのようなものを合わせている。バック・カヴァーでは腕をまくってあぐらをかいており、その飾らない佇まいがカッコいい。

Michael Ruff / Once In A Lifetime (シティ・ウォーキン) (1984年) バック・カヴァー

Michael Ruffのハイトーンでソウルフルな歌声はとても知的で、どこかRoberta Flackを思わせる。豪華なバック・ミュージシャンも自己主張せず、曲と歌の良さを引き出すことに徹している。一音一音を丁寧に扱う優しい演奏だ。

シンプルで上品な曲を揃えているが、中でも「Let Her Stay」や「More Than You'll Ever Know」のようなしっとりしたバラードは素晴らしい。特に "熱い想い" と題されたラストの「More Than You'll Ever Know」は絶品。優しいメロディを静かに、情感を込めて歌っており、数ある洋楽バラードの中でも最高の1曲だと思う。

●収録曲
  1. Walkin' With Somebody - 3:36
  2. Hometown - 4:27
  3. Let Her Stay - 5:00
  4. Love Go Round - 5:34
  5. Once In A Lifetime / 愛しい女(ひと)へ - 4:20
  6. Don't Ever Say Goodbye / さよならは言わないで - 4:13
  7. Ariel / いとしのアリエル - 4:31
  8. Dedication / 愛の捧げもの - 4:31
  9. More Than You'll Ever Know / 熱い想い - 4:25

◆プロデュース: Tommy LiPuma

◆参加ミュージシャン: Michael Ruff(vo, k), Vonda Shepard(vo), Hugh McCracken/Dean Parks/Mike Miller/James Harrah(g), Abraham Laboriel/Bobby Watson/Jimmy Haslip/Jimmy Johnson(b), Steve Gadd/Andre Fischer/John Robinson/Ralph Humphrey(ds), Paulinho Da Costa(per), David Sanborn(sax), Brenda Russell/Hamish Stuart/Larry John McNally/Howard Smith(bv), etc

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