Chris Rea / New Light Through Old Windows (1988年) – アルバム・レビュー

2021年10月23日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Chris Reaの1988年のアルバム『New Light Through Old Windows』の紹介です。

Chris Rea / New Light Through Old Windows (1988年) フロント・カヴァー

Chris Reaはイングランドのシンガー・ソングライター。渋いハスキー・ヴォイスとスライド・ギターを持ち味に、ダンディでロマンティックな曲を作り続けている。風貌がいいので、俳優もこなす。大の車好き。さぞやモテるだろうが、10代で出会ったJoanとの結婚生活を続け、娘も二人。音楽に対する姿勢も誠実でストイック。あえてアメリカには進出せず、英国中心に活動しながらも人気が衰えない。そういう素敵な67歳だ。

この『New Light Through Old Windows』は、Chris Reaのベスト・アルバム。だが、ただのベスト盤ではない。Max Middleton(k)を含む5人のバンドで、未発表の「Working On It」を除く全曲をレコーディングし直しており、それが "古い窓から射す新しい光" という素敵なタイトルに表れている。

実際に聴いた感想としては、"Old Light Through New Windows"(新しい窓から射す古い光)でもいいのではないかと思う。古い光のようなノスタルジーのある楽曲を新しい装いで聴かせてくれる。

原曲の収録アルバムは次のとおり。デビュー作『何がベニーに起ったか』(78年)から1曲 [7]、『Water Sign』(83年)から2曲 [5, 8]、『Wired to the Moon』(84年)から1曲 [3]、『Shamrock Diaries』(85年)から4曲 [4, 9, 10, 13]、『On the Beach』(86年)から1曲 [6]、『Dancing with Strangers』(87年)から2曲 [1, 11]、そして87年に日本だけで発売されたミニ・アルバム『Snow』から1曲 [12] となっている。※[ ] 内の番号は本作の中での曲順

特に「Driving Home for Christmas」は、私の大好きなクリスマス・ソング。ダンディなChris Reaがクリスマス・ソングを歌うところが意外だけれど、これが実に渋くてチャーミング。家路を急ぐ車の渋滞にはまりながら、待ち人に早く会いたいじれったさと、会える幸せが混ざり合う。かっこよすぎます。

クリスマス・ソングでは、Wingsの「Wonderful Christmas Time」と、Eaglesの「Please Come Home for Christmas」もお気に入り。Eaglesとクリスマス・ソングの組み合わせもChris Reaと同じくらい意外だけれど、ブルース調の渋い味わいの曲で、Don Henleyのハスキーな声にとても合っている。

●収録曲
  1. Let's Dance - 4:14
  2. Working on It - 4:24
  3. Ace of Hearts - 4:52
  4. Josephine - 4:33
  5. Candles - 4:44
  6. On the Beach - 6:51
  7. Fool (If You Think It's Over) - 4:03
  8. I Can Hear Your Heartbeat / ハート・ビート - 3:23
  9. Shamrock Diaries - 4:12
  10. Stainsby Girls - 4:06
  11. Windy Town - 4:05
  12. Driving Home for Christmas - 3:58
  13. Steel River - 6:48

◆プロデュース: Chris Rea(vo, g), Jon Kelly

◆参加ミュージシャン: Robert Ahwai(g), Max Middleton(k), Eoghan O'Neill(b), Martin Ditcham(ds)

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