Brock Walsh / Dateline:Tokyo (1983年) – アルバム・レビュー

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Brock Walshの1983年のアルバム『Dateline:Tokyo』の紹介です。

Brock Walsh / Dateline:Tokyo (1983年) フロント・カヴァー

Brock Walshは、NY生まれのソングライター。Pointer Sisters、Robbie Nevil、The Manhattan Transfer、EW&F、Gino Vannelliなど、多くのアーティストに曲を提供し、プロデューサーとしても、Andrew Goldの1978年のアルバム『幸福を売る男』をAndrewと共同プロデュースするなどの活動をしている。実は、ハーバード大学を卒業した才人である。

この『Dateline:Tokyo』は、Brock Walshの唯一のアルバム。日本のみで発売されたアルバムで、タイトルには "Tokyo" の名前が入っている。プロデュースは、Andrew GoldとBrock Walshの共同。曲は全てBrockのオリジナルで、そのうちの6曲は他のライターとの共作だ。

タイトル曲の「Dateline:Tokyo」は、80年代のテクノ・ポップの雰囲気のあるキャッチーなナンバーで、本作からのファースト・シングルになった。「Mystery Girl」も同じ路線の軽快な曲で、こちらはThe Kazu Matsui Projectの84年のアルバム『Is That The Way To Your Heart』でカヴァーされている。ちょっと意外。

「After The Lights Go On」は重厚でドラマティックな曲。曲の後半では、Steve Lukatherのギター・ソロがいつもながらに情熱的でかっこよく、Jeff Porcaroと思しき重たいドラムスも印象的。Brock自身も本作の中で一番のお気に入りらしい。

「Mystified」は、メロディのひと際美しいドリーミーなバラード。Michael Jacksonに歌ってもらうことをイメージして書いたものらしいが、実現には至らず、アメリカのTV番組『The Other Woman』のテーマ曲に使われた。ラストの「Our Special Love」も、この曲と肩を並べる美しいバラードで、こちらは奥様のJoy Walshとの共作になっている。

「Paper Doll」も、アメリカの同名のTV映画(84年)の主題歌になった曲。メロディアス・ロック調のキャッチーなナンバーで、幻想的で哀愁味のあるサビのメロディが優れている。

「Getting Over Losing You」は、ソングライターのMartin Brileyと共作したバラード。Barry Manilowが82年のアルバム『Here Comes The Night』でこの曲を歌っているが、Barry Manilowが歌うと確かに似合いそうなスケール感のあるバラードだ。

こうしたバラード系で実力を発揮するBrock Walshのバラード中心のデモ集がある。『Songs From The Moon Room』というロマンティックなタイトルでCool Soundから2001年に発売されており、おすすめ。

●収録曲
  1. Dateline: Tokyo
  2. After The Lights Go On
  3. Mystery Girl
  4. Mystified
  5. This Time
  6. Paper Doll
  7. Radical Moves
  8. Sweet Emotion
  9. Getting Over Losing You
  10. Our Special Love

◆プロデュース: Andrew Gold(g, k, b, per, bv), Brock Walsh(vo, g, k, per)

◆参加ミュージシャン: Steve Lukather/Dennis Herring(g), Bill Elliott(k), John Van Tongeren/Tom Faragher(sy), Kenny Edwards/Scott Chembers/Bryan Garofalo/Brad Palmer/Davey Faragher(b), Jeff Porcaro/Michael Botts/Beau Segal(ds), Mathew Wilder(bv), etc

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