Marilyn Scott / Without Warning! (1983年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Marilyn Scottの1983年のアルバム『Without Warning!』の紹介です。

Marilyn Scott / Without Warning! (1983年) フロント・カヴァー

Marilyn Scottはアメリカの女性ジャズ・シンガー。70年代から活動しており、ソウルフルで力強い歌声を持ち味とするセッション・シンガーとして、Tower Of PowerやYellowjacketsを始めとする数々のアルバムのバック・ヴォーカルを担当したのち、90年代の後半にジャズ・シンガーに転向した。

ソロ・アルバムも発表しているが、その多くはジャズ・シンガーに転向後の作品なので、それ以前の "ブルー・アイド・ソウル歌手" としての彼女をフィーチャしたアルバムは数枚しかない。デビュー・アルバムは79年の『Dreams Of Tomorrow』で、彼女のソウルフルな歌声を楽しめる好盤になっている。

この『Without Warning!』はセカンド・アルバム。収録された10曲のうち、9曲はMichael Sembelloによるプロデュースで、残り1曲(7)は、Russell Ferrante(Yellowjacketsのキーボード奏者)とMarilyn Scottの共同プロデュース。Sembelloはこの年に『Bossa Nova Hotel』(全米1位を記録した「Maniac」を収録)で華々しくデビューしており、そのアルバムから「First Time」がカヴァーされている。

フュージョン・グループのYellowjacketsからは、Russell Ferrante以外のメンバーのJimmy Haslip(b), Ricky Lawson(ds), Robben Ford(g)も参加。曲作りでも7曲(3-8, 10)をMarilyn Scottと共作していて、これらの曲には "女性ヴォーカルをフィーチャしたフュージョン" の趣きがある。MarilynのR&BスタイルのヴォーカルとRobben Fordのブルージーなギターを味わえる「This Side Of The Rainbow」など、素敵な曲が多い。

残り3曲はMichael Sembello色の出たモダン・ポップ。先の「First Time」と「Hold On」はDavid Batteau等の作で、ダンサブルな「Only You」はSembello等の作になる。

Marilyn Scottの歌の魅力は、しなやかさと強さを兼ね備えているところ。女性らしい柔らかさと華やかさがありながら、ソウルフルで力強い。例えば「If You Let Me Love You」は、Sylvia St. Jamesの81年のアルバム『Echoes And Images』で一足先に歌われているが、Marilynの歌の方がパンチがあるように思う。

ジャズ・シンガーの彼女も素晴らしい。96年のアルバム『Take Me With You』は、私が初めて聴いたMarilyn Scottのアルバムでおすすめ。クールな質感がありながら、大人の女性の色香を感じる歌声に魅せられる。

●収録曲
  1. Only You - 3:40
  2. First Time - 3:15
  3. Where Is The Key - 4:10
  4. You Can Do It - 4:38
  5. Say Goodbye - 4:26
  6. 10 X 10 - 3:46
  7. If You Let Me Love You - 4:18
  8. This Side Of The Rainbow - 4:10
  9. Hold On - 3:30
  10. I'll Be Lovin' You - 4:38

◆プロデュース: Michael Sembello(g, b, bv), Russell Ferrante(k), Marilyn Scott(vo)

◆参加ミュージシャン: Robben Ford(g), Dan Sembello(k), Jimmy Haslip(b, k), Nathan East(b), Ricky Lawson/John Robinson/James Stroud/Art Rodriguez(ds), Sheree Brown/Cruz Sembello(bv), Paulinho Da Costa(per), Tower Of Power(horn), etc

スポンサーリンク