Marilyn Scott / Dreams Of Tomorrow (1979年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Marilyn Scottの1979年のアルバム『Dreams Of Tomorrow』の紹介です。

Marilyn Scott / Dreams Of Tomorrow (1979年) フロント・カヴァー

Marilyn Scottはロサンゼルス生まれの女性ジャズ・シンガー。70年代中盤から音楽活動をスタートし、ブルー・アイド・ソウルのスタイルを持ったセッション・ヴォーカリストとして、Tower of PowerやYellowjacketsを始めとする様々なアーティストの活動を支えたのち、90年代後半にジャズ・シンガーに転向した。

彼女はソロ・アルバムも制作しているが、その多くはジャズ・シンガーに転向後の作品。従って、それ以前の70年代、80年代のアルバムは1枚ずつしかない。

本作は彼女のデビュー作。心地よいグルーヴを持ったクラブ受けしそうな曲が多く、ソウルフルで堂々とした彼女の歌声もたっぷり味わえる。また、サウンドや演奏にフュージョン的な味付けがあるところも良い。

収録曲の多くはカヴァー曲や他作の曲で、彼女が曲作りに関わったのは2曲(5, 8)のみ。
1曲目の「Let's Be Friends」は、The Yellowjacketsのキーボード奏者であるRussell Ferranteの作。高揚感のあるグルーブがとても爽やかなナンバーだ。

タイトル曲の「Dreams Of Tomorrow」もノリの良い曲。この曲はフィリー・ソウル系のソングライターであるDexter Wanselの作。メロウな「You Are All I Need」もDexterの作だが、こちらはJean Carnが76年のアルバム『Jean Carn』で最初に歌った。

リラックスした「Highways Of My Life」は、The Isley Brothersの73年のアルバム『3+3』の収録曲のカヴァー。続く「Why-Oh-You」は軽快なポップ・ナンバーで、後にMaxusを結成するJay Gruskaの作だ。

「You Made Me Believe」は、Pieces(ピーセス)のJeff Leibの作で、彼らの79年のアルバム『Pieces』の収録曲。金澤寿和さんの『AOR Light Mellow』に紹介されたAORの名盤だが、入手がなかなか難しい。

ラストの「Yes I Can」は、"5番目のビートルズ" と呼ばれたBilly Prestonの作。メロディに優しさがあり、Marilyn Scottの歌には強さと包容力がある。弱った背中をしっかりと押してくれるような素晴らしい曲だ。

彼女のセカンド・アルバムは83年の『Without Warning!』。Michael Sembelloがプロデュースを担当しており、こちらもお薦めだ。

●収録曲
  1. Let's Be Friends - 3:39
  2. Dreams Of Tomorrow - 4:39
  3. Highways Of My Life - 3:58
  4. Why-Oh-You (Y - O - U) - 3:33
  5. Let's Not Talk About Love - 3:13
  6. You Are All I Need - 5:53
  7. You Made Me Believe - 4:00
  8. The Beach - 4:00
  9. Yes I Can (I Can Get Along Without Them) - 5:00

◆プロデュース: James Stroud

◆参加ミュージシャン: Dan Ferguson/Ray MacCarty(g), Russell Ferrante(k), Steve Porcaro(sy), Chip Benson(b), Mark Sanders(ds, per), Chuck Wike(per), Tower Of Power Horn Section(horns), etc

スポンサーリンク