Keane / Keane (ドライヴィング・サタデイ・ナイト) (1981年) – アルバム・レビュー

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Keaneの1981年のアルバム『Keane / ドライヴィング・サタデイ・ナイト』の紹介です。

Keane / Keane (ドライヴィング・サタデイ・ナイト) (1981年) フロント・カヴァー

Keaneは、Tom(vo, k)とJohn(ds)のKeane兄弟に、ギタリストのMark MoulinとベーシストのMike Millwoodを加えた4人組のロック・バンド。彼らは2枚のアルバムを発表しており、この『Keane / ドライヴィング・サタデイ・ナイト』はデビュー・アルバム。

Keane兄弟は、これより前に「The Keane Brothers」という兄弟ユニットでやはり2枚のアルバムを残している。1作目の『The Keane Brothers』は、Tomが13歳、Johnが12歳になる77年の発表で、プロデュースを手がけたのはDavid Foster。79年発表の2作目『Taking Off』のプロデュースには、Foster以外にTOTOのDavid Paichとモータウン・レコードのヒット・メーカーであるLamont Dozierも加わっていて、この兄弟の才能がいかに注目されていたかが分かる。

この状況が窮屈だったのか、二人が自らのロック・バンドを作り、伸び伸びとアルバムを作ったのが本作。フロント・カヴァーの二人は爽やかな少年だが、アルバムを聴いてみると、ワイルドで分厚い音に驚く。楽曲はクールでエモーショナル。演奏技量は高く、ヴォーカルも熱く成熟している。

このアルバムは日本のみのリリースで、"TOTOの弟分" として売り出されている。ハードな曲と演奏は、弟分というよりTOTOと肩を並べるレベル。Johnのグルーヴ感満点のドラムスについては、その力量をJeff Porcaroも絶賛したとか。ギタリストのMark Moulinの腕も相当なもので、Steve Lukatherのようにエモーショナル。ちなみにMarkは30歳で、Keane兄弟よりひと回り以上も年上。

Markの書いたバラード曲の「My Special Way」を除いて、曲作りは兄のTomを中心に行われている。曲のタイトルに "Kill" とか "Dead" とか "Bad" などがあるのを見ると、"New Wave Of British Heavy Metal" の影響やLAメタル前夜の雰囲気が感じられる。

Tomも「Lorelei」というバラードを書いている。「My Special Way」が明るいメロディであるのに対し、「Lorelei」の方は哀愁味のあるメロディ。経験を重ねたバラード歌手のような深みのある歌声とはいかないけれど、いいムードで歌っている。

バック・カヴァーにはメンバー4人が仲良さそうに写っているが、少年二人が強面の大人二人に囲まれているように見えなくもない。

Keane / Keane (ドライヴィング・サタデイ・ナイト) (1981年) バック・カヴァー
●収録曲
  1. Tryin' To Kill A Saturday Night - 3:26
  2. Bad Little Baby Girl - 3:52
  3. You Got The Better Of Me - 3:18
  4. Kill Or Be Killed - 3:57
  5. My Special Way - 4:34
  6. Baby I'm Dead - 3:28
  7. I Love My Life - 3:02
  8. Anything Less Than Love - 3:12
  9. Lorelei - 4:16
  10. Judy - 3:56

◆プロデュース: Tom Keane

◆参加ミュージシャン: Tom Keane(vo, k), John Keane(ds, per), Mark Moulin(g, vo), Mike Millwood(b, vo)

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