Engelbert Humperdinck / Don’t You Love Me Anymore? (1981年) – アルバム・レビュー

2023年5月5日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Engelbert Humperdinckの1981年のアルバム『Don't You Love Me Anymore ? / この熱き腕の中に』の紹介です。

Engelbert Humperdinck / Don't You Love Me Anymore? (1981年) フロント・カヴァー

Engelbert Humperdinck(エンゲルベルト・フンパーディンク)はイギリスのポップス・シンガー(生まれはインド)。バラード・ナンバーを得意としており、甘いルックスということもあって、"King Of Romance" と呼ばれるほどの人気を得ていた。

アルバム・デビューは1967年で、これまでに多くのアルバムとシングルを出している。この『Don't You Love Me Anymore?』は、AORテイストのアルバム。Nick DeCaroとGary Kleinがプロデュースを担当しており、Nick DeCaroの得意とする美しいストリング・アレンジも随所で光る。バラード主体の選曲だが、上品にアレンジされており、甘すぎないところがいい。

タイトル曲の「Don't You Love Me Anymore?」は、Bruce RobertsとCarole Bayer Sagerの共作曲。優しくて、どこか懐かしさのあるメロディに安らぐ。ミュージシャンのクレジットを見ると、David Foster(k), Jay Graydon(g), Jeff Porcaro(ds), Richard Page(bv), …と、ものすごく豪華だ。Debby Booneも78年のアルバム『Midstream』で、この曲を歌っている。

「I Don't Break Easily」もBruce Robertsの曲だ。この曲は、Bruce Robertsの77年のデビュー作『Bruce Roberts』からのセレクト。寂しげなメロディの曲だけど、ストリングスとJay Graydonのギターが優しい。

「Stay Away」はKim Carnesの作で、彼女の79年のアルバム『St Vincent's Court』からの選曲。「When the Night Ends」と「Say Goodnight」の2曲はGary Portnoyの唯一のアルバム『月影のロング・ナイト』(80年)の収録曲。こうしたシンプルで、親しみやすいメロディの曲をカヴァーしている。

Henry Gaffneyの書いたバラード「Maybe This Time」もいい。ゆったりとしたストリングスをバックに、Engelbert Humperdinckが雄大に歌う。やはり、オーソドックスなスタイルの曲を歌うと様になる。

カントリー調の「Baby Me Baby」ですら、リズム・アレンジはJay Graydon。曲ごとのミュージシャンのクレジットを見ると飽きない。日本ではソニーの「AOR CITY 1000」シリーズから初CD化されているが、83年の同じくAORテイストのアルバム『You and Your Lover』とカップリングした『2 in 1の輸入盤』もあって、おすすめだ。

●収録曲
  1. Don't You Love Me Anymore? / この熱き腕の中に - 2:47
  2. Stay Away - 3:09
  3. When The Night Ends / 夜が終わりを告げる時 - 4:01
  4. I Don't Break Easily / 君去りしあとに - 3:28
  5. Say Goodnight - 3:38
  6. Maybe This Time - 3:18
  7. Baby Me Baby - 3:14
  8. Heart Don't Fail Me Now / 移りゆく愛の季節 - 2:21
  9. Come Spend The Morning / 二人で朝を - 2:26
  10. Till I Get It Right - 2:27

◆プロデュース: Nick DeCaro(string ar), Gary Klein

◆参加ミュージシャン: David Foster(k), Jay Graydon(g), David Hungate(b), Jeff Porcaro/Ed Greene(ds), Richard Page/Steve George/Tom Kelly(bv), etc

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