Dionne Warwick / Heartbreaker (1982年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Dionne Warwickの1982年のアルバム『Heartbreaker』の紹介です。
Dionne Warwickは60年代始めから活動しているアメリカの黒人女性シンガー。Whitney Houstonの従姉妹としても知られている。かなりの枚数のスタジオ・アルバムを制作しており、1年に2作以上をリリースすることも少なくない。
この『Heartbreaker』は、Bee GeesのBarry Gibbを中心とするプロデュース作品。この年にも2枚のアルバムが発売されており、Jay Graydonプロデュースの『Friends In Love』は4月、本作は9月のリリースだ。どちらも甲乙付けがたいクオリティだが、間が5ヶ月しかなかったこともあり、『Friends In Love』のセールスは伸びなかった。
本作の収録曲のほとんどは、Gibb兄弟(Barry, Robin, Maurice)の作品。3兄弟で5曲(1, 3, 5, 6, 9)を、プロデューサーの一人であるAlbhy GalutenとBarryで3曲(2, 4, 8)を、Albhy-Barry-Mauriceで1曲(7)を書いている。ラストの「Our Day Will Come」は、Ruby & the Romanticsの63年のヒット曲(米1位)のカヴァーだ。
Barry Gibbはバック・ヴォーカルも担当し、得意のファルセットでDionne Warwickの歌声を優しく包んでいる。Bee Geesが全面協力しているが、Dionneの歌に確かな存在感がある。
華やかなグルーヴと甘美なメロディを持つ「Heartbreaker」は、Bee GeesとDionneのコラボレーションがとてもいい形で実を結んだメロウ・ソング。私は、Dionne Warwickというと、82年のこの「Heartbreaker」を思い出す。本作からのファースト・シングルとなって、Billboard Hot 100チャートの10位となるヒットを記録。Adult Contemporaryチャートでは1位を獲得した。
「It Makes No Difference」「あなたへの家路」「Misunderstood」も、70年代後半からのディスコ・シーンでヒットを飛ばしたBee Geesらしい、エレガントなノリの曲。
バラード系では、「All the Love in the World」に癒される。甘くてメロウなサビのメロディは、Bee Geesの名バラード「愛はきらめきの中に」(77年)のようでもある。この曲はサード・シングルになり、米ACチャートの16位、UKチャートでは10位をマークした。
Ruby & the Romanticsのカヴァー、「Our Day Will Come」もラヴリーな曲。うっとりするように柔らかいラテンのリズム、煌めくエレピの音色、間奏の粋なサックス、エンディングのBarry Gibbのファルセット。それらが美しく調和した素敵なラスト・ソングだ。
本作をプロデュースしたBarry Gibb, Albhy Galuten, Karl Richardsonの3人は、2年前にもBarbra Streisandの名作『Guilty』(80年)を共同でプロデュース。とろけるようにロマンティックな、おすすめのAORである。
- ●収録曲
- Heartbreaker - 4:16
- It Makes No Difference - 4:26
- Yours - 4:58
- Take the Short Way Home / あなたへの家路 - 3:47
- Misunderstood - 4:07
- All the Love in the World - 3:25
- I Can't See Anything (But You) - 3:24
- Just One More Night - 3:51
- You Are My Love - 3:50
- Our Day Will Come - 3:47
◆プロデュース: Barry Gibb(bv, ag, ar), Albhy Galuten(k, sy, ar), Karl Richardson
◆参加ミュージシャン: Dionne Warwick(vo), Tim Renwick(g), Richard Tee(k), George Bitzer(k, sy), George Perry(b), Steve Gadd(ds), Joe Lala(per), Gary Brown(sax), etc
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