Dionne Warwick / Friends In Love (1982年) – アルバム・レビュー

2023年5月5日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Dionne Warwickの1982年のアルバム『Friends In Love』の紹介です。

Dionne Warwick / Friends In Love (1982年) フロント・カヴァー

Dionne Warwickは60年代の始めから活動しているアメリカを代表する女性シンガーの一人。80年代、90年代にモデル、歌手、女優として大活躍したWhitney Houstonの従姉妹としても知られている。かなりの枚数のスタジオ・アルバムを制作していて、1年に2枚以上を発表することも少なくない。

この『Friends In Love』は当時勢いのあったJay Graydonによるプロデュース作品。この年にも2枚のアルバムを発表していて、4月発売の本作に続き、9月にはBee GeesのBarry Gibb等のプロデュースした『Heartbreaker』を発売している。クオリティは甲乙つけがたいが、間が5ヶ月しかなかったこともあって、セールス面では本作(全米83位)が『Heartbreaker』(同25位)に食われてしまった。

曲は粒ぞろいだが、その中から5曲を紹介。

1曲目の「For You」は、Jay Graydon - Richard Page - John Bettisによる共作。爽やかでスウィートなメロディ、ソフトで軽やかなビート、煌めくサウンド、Pagesによる美しいコーラスなど、随所にGraydonらしさの光る完成されたAORナンバーだ。米Adult Contemporary (AC)チャートでは14位を記録した。

タイトル曲の「Friends in Love」は、Graydon - David Foster - Bill Champlinによる共作。EW&Fの名バラード「After the Love Has Gone」(79年, 米2位)を書いた3人だ。この曲はファースト・シングルになり、ACチャートの4位を記録。Johnny Mathisとは、メロウなミディアム・チューンの「Got You Where I Want You / 二人の定め」でもデュエットしている。

「Never Gonna Let You Go / もう、はなれない」は、Barry Mann - Cynthia Weilによる共作。シングル・カットされても不思議のない素晴らしいバラードだが、そうはならず。翌年のSergio Mendesのアルバム『Sergio Mendes』からシングル・カットされ、全米チャートの4位を記録した。なお、Stevie Woodsも82年のアルバム『The Woman in My Life』でこの曲を歌っている。

「Can't Hide Love」はEW&Fの75年のアルバム『Gratitude / 灼熱の狂宴』の収録曲で、シャープなホーン・セクションが爽快。AOR好きに人気のあるところでは、David FosterのプロデュースしたJaye P. Morganのアルバム『Jaye P. Morgan』(77年)にも収録されている。

ポップなメロディの「More Than Fascination」はTom Snowの作。Melissa Manchesterも翌年のアルバム『Emergency』において、この曲を「I Don't Care What People Say」というタイトルで歌った。

そして、「With a Touch」はStevie Wonderの作品。優しいメロディをDionneが伸びやかに歌っている。ピアノを弾いているのはStevie Wonder本人だ。

Stevie Wonderはもう1曲を用意していたが、そちらは84年のサントラ・アルバム『The Woman In Red』に「Weakness」というタイトルで収録され、Dionne Warwickとのデュエットが実現している。二人の共演は、翌85年にはDionne - Stevie - Elton John - Gladys Knightの4人による "Dionne & Friends" へと発展。80年代を代表する名バラード「That's What Friends Are For / 愛のハーモニー」が生まれている。

●収録曲
  1. For You - 4:55
  2. Friends in Love - 4:02
  3. Never Gonna Let You Go / もう、はなれない - 4:50
  4. Can't Hide Love - 4:50
  5. Betcha by Golly Wow / ゴーリー・ワウ - 3:28
  6. More Than Fascination - 4:02
  7. Got You Where I Want You / 二人の定め - 3:38
  8. With a Touch - 4:40
  9. What Is This - 3:58
  10. A Love So Right - 3:55

◆プロデュース: Jay Graydon(g, sy, ar)

◆参加ミュージシャン: Johnny Mathis(vo), Steve Lukather/Michael Landau/Larry Carlton(g), Dean Parks(ag), Stevie Wonder(p), David Foster/Michael Omartian/Steve Porcaro/Robbie Buchanan(k), Steve George(k, bv), Abraham Laboriel/Mike Porcaro(b), Jeff Porcaro/Steve Gadd/Mike Baird(ds), Victor Feldman(per), Bill Champlin/Richard Page(bv), etc

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