Jaye P. Morgan / Jaye P. Morgan (1977年) – アルバム・レビュー

2020年4月14日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Jaye P. Morganの1977年のアルバム『Jaye P. Morgan』の紹介です。

Jaye P. Morgan / Jaye P. Morgan (1977年) フロント・カヴァー

Jaye P. Morganはアメリカのポップス・シンガー。1953年にデビュー・シングルを出しており、その後の数年で全米トップ20に入るヒット曲を何曲も生む人気シンガーであった。アルバムも50年代から制作しているが、60年代以降は女優や番組のパネリストの活動が主になり、枚数は多くない。本作は12作目くらいにあたり、David Fosterが全面プロデュースした最初(もしくは2作目)の作品ではないかと言われている。

曲のクオリティが高く、金澤寿和さんは著書の『AOR Light Mellow』において、本作を「70年代のフォスター作品では間違いなく最高の出来」と絶賛。優れた選曲である上に、Jeff Porcaro(ds)やJay Graydon(g), Bill Champlin(bv)等、選りすぐりのミュージシャンのフレッシュな演奏が記録されている。

収録された9曲のうち6曲(2, 3, 5-8)がカヴァー曲になっており、その内容は次のとおり。

「Keepin' It to Myself」はAlan Gorrieの作で、Average White Bandの74年のアルバム『Average White Band』からのセレクト。

「Here Is Where Your Love Belongs」はBill Champlinの作。Sons Of Champlinの76年のアルバム『A Circle Filled With Love』の収録曲だ。

「It's Been So Long」は、Stevie Wonderの72年のアルバム『Music Of My Mind / 心の詩』の収録曲で、原曲は「Seems So Long」というタイトル。

「Let's Get Together」は、Luke Gross - George Kerr - Sidney Barnesの共作ということだが、原曲は不明。「Can't Hide Love」は、EW&Fの75年のアルバム『Gratitude / 灼熱の狂宴』の収録曲だ。

「You're All I Need to Get By」はソウル・クラシックで、Marvin GayeとTammi Terrellの68年のアルバム『You're All I Need』におけるデュエットが有名。本作ではDonny Gerrardとのデュエットになっている。

カヴァー曲以外の作者は、「I Fall in Love Everyday」(Jay Graydon等), 「Closet Man」(David Foster, Donny Gerrard等), 「It All Goes Round」(David Foster)となっている。

私はStevie Wonder作のバラード「It's Been So Long」が好きで、エンディングの "It's Been So Long ..." の壮大なリフレインを聴くたびに感動している。続く「Let's Get Together」は一転してファンキーなナンバーで、Jeff Porcaroのシャープなドラムさばきに痺れる。

なお、Hodges, James & Smithの78年のアルバム『What Have You Done For Love』には本作から3曲(3, 5, 7)がカヴァーされており、ヴォーカル以外のバック・トラックは全く同じとのこと。Jaisunの77年のアルバム『Jaisun』にも4曲(1, 2, 4, 8)のバック・トラックが使い回されている。私はJaisunの4曲をネットで視聴したが、バック・トラックどころか歌声や歌い方までそっくりであった。

●収録曲
  1. I Fall in Love Everyday - 3:14
  2. Keepin' It to Myself - 3:25
  3. Here Is Where Your Love Belongs - 4:30
  4. Closet Man - 3:38
  5. It's Been So Long - 5:36
  6. Let's Get Together - 3:50
  7. Can't Hide Love - 4:51
  8. You're All I Need to Get By - 3:24
  9. It All Goes Round - 6:08

◆プロデュース: David Foster(k, ar)

◆参加ミュージシャン: Jay Graydon(g, sy), Lee Ritenour/Ray Parker Jr.(g), David Hungate(b), Jeff Porcaro/Harvey Mason/Ed Greene(ds), Tower Of Power(horns), Ernie Watts(sax), Bill Champlin/Kenny Loggins/Donny Gerrard(bv), etc

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