The Sons of Champlin / A Circle Filled With Love (1976年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、The Sons Of Champlinの1976年のアルバム『A Circle Filled With Love』の紹介です。

The Sons of Champlin / A Circle Filled With Love (1976年) フロント・カヴァー

The Sons Of Champlinは60年代から70年代にかけてサン・フランシスコのベイ・エリアを中心に活動したロック・バンド。バンド名はリーダーのBill Champlinの名前から取っている。

Bill Champlinはカリフォルニア生まれの実力派シンガー。The Sons Of Champlinを率いて65年から77年まで活動したのちにソロとなり、セッション・シンガーやソングライターとして精力的に活動した。81年にはChicagoのメンバーとなり、2009年の脱退までキーボード、ギター、ヴォーカルを担当している。

本作はThe Sons Of Champlinの6枚目のアルバム。彼らは6人編成で、ホーン・セクションを擁する点はChicagoと似ている。R&B、ファンク、ブラス・ロック、ブルー・アイド・ソウルといった要素をミックスしながら、わりと洗練された音を出すグループである。

「Slippery When It's Wet」はCommodoresの75年のアルバム『Caught In The Act』からのカヴァーだが、それ以外は彼らのオリジナル。ギタリストのTerry Haggertyが2曲(3, 6)、ゲスト・ミュージシャンのRob Moitoza(b)が1曲(5)、残りを共作も含めてChamplinが書いている。また、3曲(4, 6, 11)はインスト曲だ。

メロウで洗練された「Here Is Where Your Love Belongs」は本作一押しのナンバー。Jaye P. Morganが翌年のアルバム『Jaye P. Morgan』でこの曲を歌った他、Pointer Sistersも80年のアルバム『Special Things』でカヴァーした。

「You」「For A While」「Helping Hand」も同じ路線の心地よい曲。特に、ドリーミーな「Helping Hand」の美しさは格別。この曲では若きDavid Fosterがピアノを弾いており、これがFosterとChamplinの最初の仕事らしい。

また、美しいバック・ヴォーカルには女性シンガーのLaura Allanが参加。Allanは2年後にアルバム『Laura Allan』で爽やかにデビューし、Champlinも同じ年にFosterのプロデュースするアルバム『Single / 独身貴族』でソロ・デビューを果たしている。

●収録曲
  1. Hold On - 3:01
  2. Here Is Where Your Love Belongs - 3:34
  3. Follow Your Heart - 2:30
  4. Knickanick - 3:06
  5. Imagination's Sake - 2:41
  6. Still In Love With You - 3:37
  7. Circle Filled With Love - 3:23
  8. To The Sea - 3:00
  9. You - 3:57
  10. For A While - 3:32
  11. Slippery When It's Wet - 4:19
  12. Helping Hand - 3:45

◆プロデュース: Keith Olsen

◆参加ミュージシャン: Bill Champlin(vo, k, g), Terry Haggerty(g), Geoffrey Palmer(sax, k, vib), Jim Preston(ds, vo, per), Steve Frediani(sax, flute), David Schallock(b)
with Gail Levant(harp), Allen Estes(per), David Foster(k), Laura Allan(bv), Rob Moitoza(b)

2017年にはソニーの「AOR CITY 1000」シリーズから、本作と77年のアルバム『Loving Is Why』のCDが再発。

また73年の『Welcome to the Dance』と75年の『The Sons of Champlin』も加えた4アルバム、2CDのセットが2015年にBGO Recordsから発売されており、デジタル・リマスタリングに加え、分厚いブックレットには英語による解説と参加ミュージシャンのクレジット、歌詞の記載もあり、こちらもお薦めだ。

●CDセットの内容
  1. 『Welcome to the Dance』(1973年)
  2. 『The Sons of Champlin』(1975年)
  3. 『A Circle Filled with Love』(1976年)
  4. 『Loving Is Why』(1977年)

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