Kenny Rankin / Family (1970年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Kenny Rankinの1970年のアルバム『Family』の紹介です。
Kenny RankinはNY出身のシンガー・ソングライター。60年代の終わりからアルバムを制作しており、2009年に他界するまでに15作ほどを残した。このアルバムは2作目で、Kenny Rankinが30歳になった年に発売されている。
『Family』というタイトルのとおり、家族をテーマとしたアルバムで、フロント・カヴァーでは娘2人を抱き、バック・カヴァーでは妻のYvonne(イヴォンヌ)と子供3人に囲まれている。※上の画像はバック・カヴァー
収録曲に関しては、家族を題材にした曲は「Family Theme」という短いプロローグぐらいで、Yvonne夫人と共作した「Soft Guitar」という曲はあるものの、残りは全てカヴァー曲。Carol KingやThe Beatles、Buffalo Springfield、Otis Redding、Donovanなどの曲をカヴァーしており、フォークやポップ、ジャズ、ボサノヴァなどの要素を織り交ぜた巧みなアレンジにより、オリジナルとは雰囲気の異なる洒脱な曲に仕上げている。
カヴァー曲の原曲の収録アルバムとアーティスト、発売年は次のとおり。
- 「Up On The Roof」:The Driftersの62年のヒット曲(米5位, Carole KingとGerry Goffinの作)
- 「Mountains & Marian」:『Did She Mention My Name?』(Gordon Lightfoot, 68年)
- 「While My Guitar Gently Weeps」:『The Beatles』(The Beatles, 68年)
- 「Four Days Gone」:『Last Time Around』(Buffalo Springfield, 68年)
- 「House Of Gold」:Hank Williamsの54年の曲
- 「Dear Prudence」:『The Beatles』(The Beatles, 68年)
- 「Needle Of Death」:『Lucky Thirteen』(Bert Jansch, 66年)
- 「Sittin' On The Dock Of The Bay」:『The Dock of the Bay』(Otis Redding, 68年)
- 「Skip Along Sam」:『A Gift From A Flower To A Garden』(Donovan, 67年)
このうち、「While My Guitar Gently Weeps」と「House Of Gold」の2曲は、77年のアルバム『The Kenny Rankin Album』でも再びカヴァーされた、Rankinお気に入りの曲。ビートルズからはもう1曲、「Dear Prudence」もカヴァーされている。
フォーキーにアレンジされたOtis Reddingの「Sittin' On The Dock Of The Bay」も素晴らしい。アコースティック・ギターを爪弾きながらRankinが軽やかにスキャットするあたり、とてもお洒落。ホーンの音も明るく伸びやかで、自由な雰囲気満点の心地よい曲になっている。
奥様と共作した「Soft Guitar」はボサノヴァ風。アコースティック・ギターだけでなく、ピアノもホーンも歌声も、全部がソフトで優しい。続くDonovanの「Skip Along Sam」もソフトにさっぱりと歌い、平和な余韻を残してくれる。
家族愛に満ちたアルバムを残したKenny Rankinだが、のちに新しいパートナーを得ている。88年のアルバム『Hiding In Myself』は、その新しいパートナーと思しきAimeという女性と一緒に制作されており、Aimeに捧げられている。
- ●収録曲
- Family Theme - 0:40
- Up On The Roof - 3:23
- Mountains & Marian - 3:22
- While My Guitar Gently Weeps - 3:47
- Four Days Gone - 3:35
- House Of Gold - 2:33
- Dear Prudence - 5:50
- Needle Of Death - 4:06
- Sittin' On The Dock Of The Bay - 3:47
- Soft Guitar - 2:24
- Skip Along Sam - 1:17
◆プロデュース: Monte Kay, Jack Lewis
◆参加ミュージシャン: 記載なし
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