Leah Kunkel / I Run With Trouble (1980年) – アルバム・レビュー

2024年9月21日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Leah Kunkelの1980年のアルバム『I Run With Trouble』の紹介です。

Leah Kunkel / I Run With Trouble (1980年) フロント・カヴァー

Leah Kunkelはアメリカの女性シンガー・ソングライター。彼女の姉は「夢のカリフォルニア」のヒットで知られるThe Mamas & The PapasのCass Elliot。夫は売れっ子セッション・ドラマーのRuss Kunkelである。

彼女には2枚のソロ・アルバムがあり、本作『I Run With Trouble』はセカンド・アルバム。1作目の『Leah (リア)』(79年)では、夫のRuss Kunkelが全曲のドラムスを担当し、プロデュースにも関わったが、本作のクレジットには名前がない。

収録された10曲のうち、彼女のオリジナルは「The Only Man On Earth」と「Temptation」の2曲で、残りはJimmy Webb(1, 5)、Peter McCann(4)、Harlan Collins(8)などのライターが曲を提供している。また、「Dreaming As One」はWilliam D. Smith等の作で、本作より早く、Blood, Sweat & Tearsの77年のアルバム『Brand New Day』や同じ年のPointer Sistersのアルバム『Priority』で歌われた。

Jimmy Webb作の「Let's Begin」はとても清々しい曲。透き通ったメロディはLeah Kunkelのナチュラルな歌声にぴったりだ。Jeff Porcaro、Mike Porcaro、Steve Lukather等の演奏は柔らかく、Tom Scottの爽やかなサックスや、ストリングスの美しさも印象に残る。Jimmy Webbのもう1曲「Never Gonna Lose My Dream Of Love Again」も、タイトルどおりの颯爽とした曲だ。

Leah Kunkelの書いた「Temptation」は落ち着いたミドル・テンポの曲。憂いのあるメロディと相まって、Carly Simonの「You Belong To Me」あたりを思わせる。この曲は『The Ladies Of Too Slow To Disco』(2016年)という珍しいコンピレーション・アルバムの1曲に選ばれている。

Harlan Collins作の「Heart Of Stone」も気持ちのいい曲。Jimmy Webbが作って、Art Garfunkelが歌いそうな爽やかなメロディの曲だ。Harlan Collinsは1作目でも「Losing In Love / また恋を失って」という素晴らしいメロディの曲を提供している。

このアルバムのCDは、ソニーの「AOR CITY 1000」シリーズから2017年夏に再発される予定だったが、どういう訳か、発売延期未定の状態になっている。Leah Kunkelの顔が透けて写るフロント・カヴァーがちょっと怖いが、内容のほうは、彼女の穏やかな歌声を満喫できる癒しと安らぎのアルバムだ。

●収録曲
  1. Let's Begin - 3:43
  2. The Only Man On Earth - 3:27
  3. Temptation - 3:24
  4. Hard Feelings - 3:03
  5. Never Gonna Lose My Dream Of Love Again - 2:48
  6. Someone On Your Mind - 3:02
  7. Dreaming As One - 3:26
  8. Heart Of Stone - 2:59
  9. Fast Asleep - 3:20
  10. I Run With Trouble - 3:50

◆プロデュース: Henry Lewy, Leah Kunkel(vo, k, sy)

◆参加ミュージシャン: Steve Lukather/Stephen Bishop/Mitch Holder(g), John Jarvis/Craig Doerge(k), Matt McCauley(sy), Mike Porcaro/Abraham Laboriel(b), Jeff Porcaro/John Guerin(ds), Lenny Castro/Steve Foreman(per), Tom Scott(sax), Graham Nash/David Lasley/William D. Smith(bv), etc

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