Leah Kunkel / Leah Kunkel (リア) (1979年) – アルバム・レビュー

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Leah Kunkel(リア・カンケル)の1979年のアルバム『Leah Kunkel / リア』の紹介です。

Leah Kunkel / Leah Kunkel (リア) (1979年) フロント・カヴァー

Leah Kunkelはアメリカの女性シンガー・ソングライター。夫は売れっ子セッション・ドラマーのRuss Kunkelであり、姉は「California Dreamin' / 夢のカリフォルニア」のヒットで知られるThe Mamas & The PapasのCass Elliot(1974年に夭逝)である。

彼女は1979年と80年にソロ・アルバムを出しており、本作はその1枚目。夫のRuss Kunkelが全曲のドラムスを担当し、プロデュースにも関わった。収録された10曲のうち、彼女のオリジナルは「Under The Jamaican Moon / ジャマイカの月の下で」と「Souvenir Of The Circus / サーカスの贈り物」の2曲で、それ以外は他のアーティストの曲をセンス良くセレクトしている。

「ジャマイカの月の下で」はStephen Bishopとの共作。Nick DeCaroの74年の名作『Italian Graffiti』に提供した曲のセルフ・カヴァーで、Joe Farrellの歌心あふれる素晴らしいSaxソロが印象に残る。

ラストの「Fool At Heart」もStephen Bishopの作。Bishopの前年の名作『Bish / 水色の手帖』に収録されたナンバーで、Stephen Bishopらしい切なく美しくメロディがほろ苦い余韻を残す。

爽やかな「Step Right Up」はPeter McCannの作で、McCannも同年のアルバム『One On One』に収録。この曲は、「サーカスの贈り物」とのカップリングで本作からシングル・カットされた。

それ以外の曲の情報(原曲の収録アルバムとアーティスト、発売年など)は次のとおり。良曲揃いである。


  • 「If I Could Build My Whole World Around You / あなたと私の世界」:『United』(Marvin Gaye & Tammi Terrell, 67年)
  • 「Down The Backstairs Of My Life」:『A Good Feelin'』(William D. Smith, 76年)
  • 「Losing In Love / また恋を失って」:Harlan Collinsの書き下ろし
  • 「Step Out」:『People Like Us』(The Mamas & the Papas, 71年)
  • 「Don't Leave These Goodbyes」:Jules Shearの書き下ろし
  • 「I've Got To Get A Message To You / 獄中の手紙」:『Idea』(Bee Gees, 68年)

Leah Kunkelの歌声はナチュラルで暖かい。切ない「サーカスの贈り物」にしても、Jackson Browneがバック・ヴォーカルに参加した甘酸っぱい「また恋を失って」にしても、自然体の歌い方が曲の魅力を最大限に引き出している。ゲスト・ヴォーカルとしてクレジットに名前を見ることは多く、Art Garfunkelの一連のアルバムを始めとする多くのアーティストの作品に参加し、穏やかで爽やかな歌声を提供している。

●収録曲
  1. Step Right Up - 3:28
  2. Under The Jamaican Moon / ジャマイカの月の下で - 3:49
  3. Souvenir Of The Circus / サーカスの贈り物 - 3:31
  4. If I Could Build My Whole World Around You / あなたと私の世界 - 2:45
  5. Down The Backstairs Of My Life - 3:25
  6. Losing In Love / また恋を失って - 3:22
  7. Step Out - 3:37
  8. Don't Leave These Goodbyes - 3:30
  9. I've Got To Get A Message To You / 獄中の手紙 - 3:16
  10. Fool At Heart - 4:55

◆プロデュース: Val Garay, Russ Kunkel(ds)

◆参加ミュージシャン: Leah Kunkel(vo, ag, k), Stephen Bishop(ag, bv), Andrew Gold(ag), Steve Lukather/Danny Kortchmar(g), Craig Doerge/James Newton Howard(k), Lee Sklar(b), Joe Farrell/Jim Horn(sax), Jackson Browne/Renee Armand/Rosemary Butler/Penny Nichols(bv), Matthew McCauley(strings), etc

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