Stephen Bishop / Bish (水色の手帖) (1978年) – アルバム・レビュー

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Stephen Bishopの1978年のアルバム『Bish / 水色の手帖』の紹介です。

Stephen Bishop / Bish (水色の手帖) (1978年) フロント・カヴァー

Stephen Bishopは知的でロマンティックなラヴ・ソングを作ることで人気のあるシンガー・ソングライター。映画音楽も手がけていて、1985年の映画『White Nights』では、Stephenの書いた挿入曲「Separate Lives」をPhil CollinsとMarilyn Martinが歌って全米1位になっている。また、82年の映画『トッツィー』では、主題歌の「It Might Be You」を自ら歌って25位をマーク。ハンサムな顔立ちなので、俳優としても70年代、80年代の映画に何本か出演している。

デビュー・アルバムは76年の『Careless』で、ここから「On and On」(米11位)、「雨の日の恋」(米22位)の2曲がヒットした。この『Bish』は2作目で、自分の愛称がタイトルになっている。

1曲目の「If I Only Had A Brain」は、ミュージカル『オズの魔法使い』の挿入歌。この曲と5曲目の「Guitar Interlude」、8曲目前半の「Prelude」がインスト曲になっており、映画のサウンドトラックみたいな構成をしている。フロント・カヴァーも映画のパンフレットみたいなデザインだ。

アップ・テンポな曲は「Everybody Needs Love」, 「Vagabond from Heaven」, 「I've Never Known a Nite Like This」の3曲くらいで、ほとんどが詩情豊かなしっとりした曲。静かな恋愛映画を観ているような雰囲気になる、ロマンティックなアルバムだ。

甘酸っぱいメロディの「Everybody Needs Love」はシングル・カットされ、Billboard Hot 100チャートの32位をマーク。この曲のイントロのギターを聴くと、東京ラブストーリーの主題歌「ラブ・ストーリーは突然に」を思い出してしまう。ギターを弾いているのは、Michael SembelloとRay Parker Jr.。

しっとりとした「Looking for the Right One」は、Art Garfunkelの75年のアルバム『愛への旅立ち』に提供した曲のセルフ・カヴァー。同じ路線の「A Fool at Heart」は、Leah Kunkelの79年のデビュー作『リア』で歌われている。曲の後半の元気な女性ヴォーカルは、Chaka KhanとNatalie Coleだ。

シングルにはなっていないが、このアルバムのベスト・トラックは「Losing Myself in You」。前作で大ヒットした「On And On」のような繊細なメロディに、David Fosterの優しいエレピの音やGreg Phillinganesの幻想的なシンセ、そしてMichael McDonaldの柔らかいバック・ヴォーカルが重なり合い、何ともいえない美しい世界を演出している。

ジャケットの美しい女性は "Sara" という名前のモデルで、Stephenが40人のモデルの中から選んだらしい。Fleetwood Macの79年のアルバム『Tusk』に収録されたヒット曲「Sara」(米7位)は、この女性のことを歌ったものだとか。そんな素敵な話が、長門 芳郎氏のCD解説に書かれていた。

●収録曲
  1. If I Only Had a Brain / 私は脳味噌が欲しい - 1:40
  2. Losing Myself in You - 3:58
  3. Looking for the Right One - 3:50
  4. Everybody Needs Love - 3:42
  5. Guitar Interlude / 間奏曲 - 0:27
  6. A Fool at Heart - 5:34
  7. What Love Can Do - 2:53
  8. Prelude~Vagabond from Heaven / 天からのならず者 - 4:24
  9. Bish's Hideaway - 3:57
  10. Only the Heart Within You - 4:11
  11. Recognized - 0:53
  12. I've Never Known a Nite Like This - 4:24
  13. When I Was in Love - 4:32

◆プロデュース: Stephen Bishop(vo, g, tb), Dee Robb

◆参加ミュージシャン: Michael Sembello/Steve Cropper/Ray Parker Jr.(g), David Foster/Greg Phillinganes/Steve Porcaro(k), David Hungate/Nathan Watts/Abraham Laboriel(b), Rick Shlosser(ds), Michael McDonald/Chaka Khan/Natalie Cole/Art Garfunkel/Leah Kunkel(bv), Marty Paich(strings ar), etc

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