Art Garfunkel / Breakaway (愛への旅立ち) (1975年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Art Garfunkelの1975年のアルバム『Breakaway / 愛への旅立ち』の紹介です。
Art GarfunkelはNY生まれのシンガー・ソングライター。幼なじみのPaul Simonと組んだSimon & Garfunkelの活動が有名だが、70年代以降はソロ活動に専念し、高音の美しいテナー・ヴォイスを生かした良質なアルバムを作っている。
この『Breakaway / 愛への旅立ち』は、Art Garfunkelの2枚目のソロ・アルバム。カヴァー曲や外部のライターの書き下ろしのみで構成されたアルバムで、収録曲のプロフィールは次のとおり。
- 「1. I Believe」:Stevie Wonder。72年のアルバム『Talking Book』から。
- 「2. Rag Doll」:Steve Eaton。74年のアルバム『Hey Mr. Dreamer』から。
- 「4. Disney Girls」:Bruce Johnston。The Beach Boysの71年のアルバム『Surf's Up』から。
- 「5. Waters of March」:Antônio Carlos Jobim。73年のアルバム『Jobim』から。
- 「7. I Only Have Eyes for You」:Al Dubin, Harry Warren。ジャズ・スタンダード。
- 「9. 99 Miles From L.A.」:Albert Hammond。75年の同名アルバムから。
- 「3. Break Away」:Gallagher and Lyle。76年のアルバム『Break Away』でセルフ・カヴァー。
- 「6. My Little Town」:Paul Simon。Paulの同年のソロ・アルバム『時の流れに』に収録。
- 「8. Looking for the Right One」:Stephen Bishop。78年のアルバム『水色の手帖』でセルフ・カヴァー。
- 「10. The Same Old Tears on a New Background」:同上。76年の作品『Careless』でセルフ・カヴァー。
このうち、「I Only Have Eyes for You」「Break Away」「My Little Town」「I Believe」の4曲がシングル・カットされ、最初の3つはBillboard Hot 100チャートの各々18位、39位、9位をマーク。また、アルバムもBillboard 200チャートの9位に到達している。
本作のハイライトはやはり、Paul Simonと久しぶりにデュエットした「My Little Town」だろう。Simon & Garfunkelの歌声には独特の凛々しさがあって好きなのだが、この爽やかなナンバーにも同じ空気が流れているようで、懐かしい。
また、ロマンティックなバラードの名手として知られるStephen Bishopの書き下ろした2曲も素晴らしい。Stephen Bishopも甘く美しいテナー・ヴォイスの持ち主で、自身のアルバムでもこの2曲をセルフ・カヴァーしている。
Albert Hammond作の幻想的な「99 Miles From L.A.」や、Steve Eaton作のセンチメンタルな「Rag Doll」も魅力的。Art Garfunkelの声は "天使の歌声" と呼ばれるだけあって、穏やかに澄んでいる。
フロント・カヴァーを撮影したのは、写真家のNorman Seeff。クールに煙草を吸う左側の女性は女優のHelena Kallianiotes。Art Garfunkelにしなだれかかる右側の女性は、恋人のLaurie Birdである。Artの次のアルバム『Watermark』(77年)では、Laurieの撮影した海辺の写真がフロント・カヴァーに使われている。
- ●収録曲
- I Believe (When I Fall In Love It Will Be Forever) / 永遠の想い - 3:48
- Rag Doll / 悲しきラグ・ドール - 3:06
- Break Away / 愛への旅立ち - 3:35
- Disney Girls - 4:32
- Waters Of March / 春の予感 - 3:37
- My Little Town - 3:50
- I Only Have Eyes For You / 瞳は君ゆえに - 3:39
- Looking For The Right One / めぐり会い - 3:21
- 99 Miles From L.A. / L.A.より99マイル - 3:30
- The Same Old Tears On A New Background / ある愛の終りに… - 3:45
◆プロデュース: Richard Perry, Art Garfunkel(vo)
◆参加ミュージシャン: Stephen Bishop(g, bv), Paul Simon(g, vo), Pete Carr/Andrew Gold(g), Bill Payne/Bruce Johnston/Barry Beckett(k), Jim Keltner/Jim Gordon/Russ Kunkel(ds), Joe Osborn/Max Bennett(b), Joe Clayton(per), Toni Tennille/Graham Nash/David Crosby(bv), etc
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