Jimmie Spheeris / Ports Of The Heart (1976年) – アルバム・レビュー

2023年5月5日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Jimmie Spheerisの1976年のアルバム『Ports Of The Heart』の紹介です。

Jimmie Spheeris / Ports Of The Heart (1976年) フロント・カヴァー

Jimmie Spheerisは、アメリカのシンガー・ソングライター。柔らかいアコースティック・サウンドを基調に、ロック、ジャズ、R&Bなどの要素を取り入れた音作りをするミュージシャンで、Jackson Browneとも親交がある。この『Ports Of The Heart』は、"心の港" という素敵なタイトルの4作目。

プールに浮かべたビーチ・マットの上で陽を浴びるジャケットからは、夏の開放的なサウンドを連想するけれど、いつもの穏やかなアコースティック・サウンドです。

1曲目の「Child From Nowhere」は静かな美しい曲で、繊細な演奏とストリングスに感動する。この1曲のみの参加だが、Chick Coreaがピアノを、Stanley Clarkeがベースを弾いていて、演奏にはほのかにジャズの香りがする。Chick Coreaは前作の『The Dragon Is Dancing』(75年)にも参加。8曲目の「Whirlpool」も、この曲に似た味わいの美しいナンバーだ。

「It's You They're Dreaming Of」には、友人のJackson Browneがバック・ヴォーカルで参加している。アコースティック・ギターの音が優しく響く静かな曲で、ときおり寂しげになる繊細なメロディ・ラインとハーモニーの美しさが絶品。

カヴァー曲が2曲(6, 12)あり、「It's All In The Game」はポップス・スタンダードになった1958年のヒット曲。もう一方の「I'm So Lonesome I Could Cry」は、カントリー・シンガーのHank Williamsの1949年の曲。2曲とも、Jimmie Spheerisのオリジナルであるかのようにアルバムに収まっている。

Jimmieの次のアルバムは、8年のブランクを経て制作された『Spheeris』(84年)。だが悲しいことに、アルバムを作り終えた数時間後に、Jimmieは交通事故により他界してしまう。

『Ports Of The Heart』のCDは、ソニーの「AOR CITY 1000」シリーズから2017年8月に再発された。また、前作の『Dragon Is Dancing』とカップリングした2CDの輸入盤『The Dragon Is Dancing / Ports Of The Heart』も2014年頃に発売されていたけれど、今はちょっと高いかな・・・。

●収録曲
  1. Child From Nowhere - 3:17
  2. Emerald And The Dream Dance - 3:18
  3. It's You They're Dreaming Of - 2:54
  4. Captain Comes Cold - 2:31
  5. Bayou Eyes - 3:33
  6. It's All In The Game - 3:10
  7. Hills In My Head - 3:50
  8. Whirlpool - 3:14
  9. Sweet Separation - 3:07
  10. So Darkly Fall The Shadows - 3:28
  11. Nightingale Come Sail - 2:41
  12. I'm So Lonesome I Could Cry - 4:10

◆プロデュース: David Campbell(strings ar, viola)

◆参加ミュージシャン: Jimmie Spheeris(vo, ag, p), Geoff Levin(g), Chick Corea(k), Stanley Clarke(b), Johnny Pierce(b, bv), John Guerin/Bart Hall(ds), Jim Cowger(sax, flute), Jackson Browne(bv), etc

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