Erik Tagg / Smilin’ Memories (1975年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Erik Taggの1975年のアルバム『Smilin' Memories』の紹介です。
Erik Taggは、AORやフリー・ソウル・シーンで高い人気を集めるミュージシャン。アメリカ生まれだが、20歳の時にオランダに渡ってBeehive(ビーハイヴ)というバンドのメンバーになり、音楽活動をスタートした。
この『Smilin' Memories』は、Erik Taggの最初のソロ・アルバム。Erikのソロ・アルバムは4枚あって、最初の2作品はオランダでリリースされている。セカンド・アルバムの『Rendez-Vous』も本作同様、AORの名盤と呼ぶにふさわしい内容。
Erik Taggの魅力は、フレッシュな楽曲と歌声にある。このアルバムの最初の2曲、「Tell-Tale Eyes」と「Love To Love You」も、穏やかに晴れた日のドライブのように気持ちのいいナンバー。軽やかなグルーヴに乗って明るいメロディが颯爽と流れ出すと、心のモヤモヤが消えていく。
Erikの歌声は独特のテンダー・ヴォイス。ナチュラルな温もりと湿度があって、どこか蒼くてナイーヴ。歌唱力で惹きつけるというよりは、声そのものに唯一無二のフレッシュな魅力がある。
本作は参加ミュージシャンにも恵まれた。LAで録音されており、全曲のドラムスをJeff Porcaroが担当したほか、Jeffの弟のMike Porcaroがベースを担当。また、後に親交を深めるLee Ritenourがギタリストとして参加し、David Fosterも3曲(1, 10, 11)で鍵盤を弾いている。みな若く、歳の順に並べると、Mike(20), Jeff(21), Erik(22), Lee(23), David(26)となっている。
「In December's Cold」という知られざる名クリスマス・ソングが収録されているのも、このアルバムの魅力。初めて聴いたとき、その清らかで美しいメロディに感動した。
バック・カヴァーいっぱいに広がるErikの笑顔を見ると、幸せな気分になる。気の合う仲間と音楽を創る爽やかな歓びにあふれた名作です。
- ●収録曲
- Tell-Tale Eyes - 2:56
- Love To Love You - 3:02
- Castle Of Loneliness - 4:28
- Steamboat - 4:08
- Sandman (Bring Me A Dream) - 4:12
- The Only Thing You Said - 4:09
- A Fantasy - 2:28
- After All - 4:34
- In December's Cold - 3:33
- Never Had The Feelin' - 3:25
- Hang On - 3:22
◆プロデュース: John D'Andrea(flute, bv)
◆参加ミュージシャン: Erik Tagg(vo, k, sy, b, flute), Michael Porcaro(b), Jeff Porcaro(ds), Lee Ritenour(g), David Foster(k), etc
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