George Benson / Breezin’ (1976年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、George Bensonの1976年のアルバム『Breezin'』の紹介です。

George Benson / Breezin' (1976年) フロント・カヴァー

George Bensonは60年代から活躍しているアメリカのジャズ・ギタリスト。1964年から現在に至るまでに多数のアルバムを制作しており、本作はスタジオ・アルバムとしては15作目ぐらいにあたる。この年にWarner Bros. Recordsに移籍しており、その第1弾としてリリースしたのが本作である。

このアルバムは、プロデュースをTommy LiPuma、エンジニアをAl Schmittが担当した。二人は、Nick DeCaroの『Italian Graffiti』(74年)やMichael Franksの『The Art Of Tea』(75年)など、AORやフュージョンの名作を数多く手がけた黄金のコンビとして知られており、本作も二人の代表作の一つ。

タイトル曲の「Breezin'」はBobby Womackの作。ジャケットの畏まった印象と裏腹に、メロディとサウンドはライト&メロウそのもの。Harvey Masonの刻む硬質なビートの上をGeorge Bensonのギターが軽やかにそよぐ感じが心地よい。

続く「This Masquerade」は、Leon Russellの72年のアルバム『Carney』の収録曲。この1曲はヴォーカル曲となっており、George Bensonのソウル・フィーリングたっぷりの歌声と洒落たスキャットを聴くことができる。ギターだけでなく、歌も抜群に巧い。この曲はファースト・シングルとなり、Billboard Hot 100チャートの10位を記録した。

ファンキーな「Six To Four」はPhil Upchurchの作。Phil Upchurch自身も92年のアルバム『Whatever Happened to the Blues』でセルフ・カヴァーしている。

「Affirmaton / 私の主張」は盲目のギタリスト、Jose Feliciano(ホセ・フェリシアーノ)の作で、Felicianoの75年のアルバム『Just Wanna Rock 'N' Roll』の収録曲。哀愁味あるソウルフルなナンバーを都会的なアレンジでエレガントに仕上げており、とてもムードがある。

「So This Is Love / これが愛なの?」は、本作唯一のオリジナル曲。流麗なストリングスに包まれて、George BensonのギターとRonnie Fosterのエレピが絡む華やかなナンバーだ。

ラストの「Lady / 愛するレディ」は、そのRonnie Fosterの作。映画音楽を思わせる美しいストリングスに始まり、George Bensonのギターが軽やかに歌いだす。

本作の成功により、77年のグラミー賞ではGeorge Bensonが「Best Pop Instrumental Performance」を、Al Schmittが「Best Engineered Album, Non-Classical」を受賞。また、シングル「This Masquerade」のヒットにより、LiPumaとBensonは「Record of the Year」を受賞した。

このアルバムと同じ年にBoz Scaggsは『Silk Degrees』を、Ned Dohenyは『Hard Candy』をリリース。76年はライト&メロウ豊作の年であった。

●収録曲
  1. Breezin' - 5:40
  2. This Masquerade - 8:03
  3. Six To Four - 5:06
  4. Affirmation / 私の主張 - 7:01
  5. So This Is Love / これが愛なの? - 7:03
  6. Lady / 愛するレディ - 5:49

◆プロデュース: Tommy LiPuma

◆参加ミュージシャン: George Benson(g, vo), Phil Upchurch(g, b), Ronnie Foster/Jorge Dalto(k), Stanley Banks(b), Harvey Mason(ds), Ralph MacDonald(per), Claus Ogerman(orch ar), etc

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