David Batteau / Happy In Hollywood (1976年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、David Batteauの1976年のアルバム『Happy In Hollywood』の紹介です。

David Batteau(バトー)はニューヨーク生まれのソングライター。ヒット・メイカーというよりは、Valerie Carterの歌った「Wild Child」(78年)のような印象深い曲を作るライターで、Danny Deardorffの「Teach Me To Dance」(81年)、Sérgio Mendesの「Rainbow's End」(83年)、Michael Sembelloの「Automatic Man」(83年)、などもBatteauの作。この『Happy In Hollywood』は、David Batteauの唯一のアルバム。
プロデュースを手がけたKen Scottは、The BeatlesのアルバムのエンジニアやDavid Bowieのアルバムのプロデュースなどを手がけた大物。収録曲は全てBatteuのオリジナルで、「Walk In Love」のみ、サックス奏者のJohn Klemmerとの共作になっている。
タイトル曲の「Happy In Hollywood」はゆったりとしたリラックス・ナンバー。サンバ調の「Festival Of Fools」やレゲエ調の「Oh, My Little Darling」などもあって、前半は異国情緒のある内容。「Happy In Hollywood」は、Curt Boettcher(カート・ベッチャー)のグループ「Carifornia」も76年に取り上げている。
アルバム後半の「Walk In Love」や「Dancing On Atoms」も穏やかな曲調で、時間がゆったりと流れる。メロウな「Walk In Love」は、The Manhattan Transferのアルバム『Pastiche』(78年)や、共作者のJohn Klemmerのアルバム『Arabesque』(78年)でカヴァーされた。
一流のセッション・プレイヤーが参加した演奏は、派手さはないけれど堅実。Jeff Porcaroが全曲でドラムスを演奏しており、「Spaceship Earth」ではファンキーで引き締まったリズムを演出。バック・ヴォーカルにはWatersの女性陣やDeniece Williamsが参加して、David Batteuの素朴な歌声を支えている。ラストの「The Gates In Your Heart / 心の扉」の雄大なスケール感は、Jeffのドラムスの技とたおやかな女性ヴォーカルに支えられている感じがする。
長門 芳郎氏のCD解説によると、David Batteuの父はハーバード大の教授を務めた多才な人で、イルカとのコミュニケーション研究の先駆者でもあったとのこと。73年の映画『イルカの日』は、その父をモデルにしたものらしい。
- ●収録曲
- Happy In Hollywood - 4:22
- Festival Of Fools - 4:25
- Oh, My Little Darling - 2:43
- My Morning Glory - 5:20
- Orphee (Or-Fäy) - 5:08
- Walk In Love - 3:35
- Spaceship Earth - 5:05
- Dancing On Atoms - 4:09
- You Need Love - 3:42
- The Gates In Your Heart / 心の扉 - 4:32
◆プロデュース: Ken Scott
◆参加ミュージシャン: David Batteau(vo, ag), Richard Hewson(ar), David Paich(ar, k), David Spinozza/Robert Ahwai(g), Roy Davis(k), Willie Weeks/Kenny Altman(b), Jeff Porcaro(ds), Milt Holland(per), Deniece Williams/Julia Tillman Waters/Maxine Willard Waters(bv), etc
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