Danny Deardorff / Chameleon (1981年) – アルバム・レビュー

2019年12月14日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Danny Deardorffの1981年のアルバム『Chameleon』の紹介です。

Danny Deardorff / Chameleon (1981年) フロント・カヴァー

Danny Deardorffは、車いすのシンガー・ソングライター。幼少期にポリオを患ったことで車いすの生活となるも、そのハンディを乗り越えてプロのミュージシャンになった。

23歳になる1975年には早くもアルバム・デビュー。奥様のJoyceとの "Danny & Joyce" 名義のアルバム『Ma La Lady』が、Dannyのデビュー作になる。さらに翌76年には、シンガー・ソングライターのMarcus Josephと "Deardorff And Joseph" を組んで、アルバム『Deardorff And Joseph』を発表する。だが、Deardorff And Josephは長続きせず、1枚でユニットを解散してしまう。

『Chameleon』は、その5年後にリリースされたDannyのソロ・アルバム。口髭を生やしたやんちゃそうな微笑みを見ると、ブラック・コンテンポラリー系のディープな音を想像するが、聴こえてくる声は意外にも少年のようにピュアな美声。サウンドも、Air Supplyのように爽やかで甘い。

収録曲は、ミュージカル『オズの魔法使い』の劇中歌である「虹の彼方に」を除いてDannyのオリジナル。このうち、Dennis Yadonと2曲(1, 3)、David Batteauと1曲(2)を共作している。

David Batteauと共作した「Teach Me To Dance」は、そよ風のように爽やかなメロウ・チューン。「I Want To Give You My Dreams」や「Songs From The Planet Earth / The Spaceman Song」のメロディの美しさにも感動する。ドリーミーな「虹の彼方に」が、違和感なくアルバムの1曲になっている感じ。

バック・ミュージシャンは、Gregg Mathieson/Bill Cuomo(k)やCarlos Vega(ds)など、LAの実力派。また、前2作でプロデュースを手がけたLouis Sheltonがギタリストとして全面参加したほか、Dannyを見い出したSeals & Croftsの名前もある。

本作は2012年にヴィヴィド・サウンドから世界初CD化された。そのボーナス・トラックには、クリスマスのコンピレーション・アルバム『Christmas in the Northwest, Vol. 1』(85年)と『Vol. 2』(87年)から、Dannyの歌った曲が1曲ずつ収録されており、クリスマス(もう過ぎたけど・・・)らしい天使の歌声を聴くことができる。

●収録曲
  1. Do You Want To Win - 4:00
  2. Teach Me To Dance - 3:34
  3. I Want To Give You My Dreams - 2:56
  4. Get Me On The Radio - 3:20
  5. Songs From The Planet Earth / The Spaceman Song - 5:10
  6. Chameleon - 2:52
  7. Gypsy Wind - 4:27
  8. Somewhere Over The Rainbow - 3:27
  9. Don't Bring Me Down (With Your Steel Guitar) - 3:14
  10. The Songbird's Promise - 5:15
  11. Christmas Town (Bonus Track) - 3:56
  12. The Peace Child (Bonus Track) - 4:45

◆プロデュース: Joe Bogan, Danny Deardorff(vo, harmonica, mandolin)

◆参加ミュージシャン: David Campbell/Greg Mathieson/Bill Cuomo(ar, k), Louis Shelton(ar, g), John Hobbs(k), Dennis Belfield/Les Hurdie(b), Carlos Vega(ds), Paulinho Da Costa(per), Seals & Crofts/Penny Nicholas(bv), etc

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