Marcus Joseph / Things I Meant To Say (1978年) – アルバム・レビュー

2019年11月18日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Marcus Josephの1978年作『Things I Meant To Say / 伝えたかった言葉』の紹介です。

Marcus Joseph / Things I Meant To Say (1978年) フロント・カヴァー

本作は、アメリカのシンガー・ソングライターであるMarcus Josephの唯一のアルバム。
Joe Walshを彷彿とさせるいかつい顔だが、歌声は繊細で優しい。

本作のプロデュースはParker McGeeが担当した。
収録された10曲のうち6曲(1, 2, 4, 5, 7, 10)が自作曲、残りはカヴァー曲である。

自作曲のうち、2曲(1, 4)はプロデューサーのParker McGeeとの共作。
アコースティックな響きの中にParker McGeeらしい素朴さと温かさのある、優しいナンバーだ。

なお、2曲目の「Nice Guys / Runaway」は完全なオリジナルではなく、曲のフェード・アウトの部分がDel Shannonのヒット曲「Runnaway」になっている。
「Runnaway」は1961年にBillboard Hot 100チャートの1位を獲得した有名曲だ。

カヴァー曲のうち、仄かに哀愁を帯びた「I Don't Want To Get Over You」はRupert Holmesの曲。
Rupert Holmesの1976年のアルバム『Singles』に収録されている。

「Take Me There」は、Wavesというグループの1977年のアルバム『Waves』の収録曲。
程よい甘さがある爽やかなメロウ・チューンで、とても心地よい。

「Trapeze」はTony Sciuto作のロック・チューンで、Tony Sciutoも2年後のファースト・アルバム『Island Nights』でこの曲を歌っている。

タイトル曲の「Things I Meant To Say」は、ピアノとアコースティック・ギターの静かな音色に包まれて、Marcus Josephがしっとりと歌う静謐なナンバー。Simon & Garfunkelのような透明感があり、メロディの美しさでは本作ナンバー・ワンだろう。

ラストの「Isreal」も、タイトル曲のような静かな歌い出しだが、途中からBilly Joelの「イタリアン・レストランにて」のようなドラマティックな展開になる。

このアルバムは、ワーナーの「AOR BEST SELECTION 1300」シリーズから、9月21日に高品質SHM-CDで再発された。ブックレットには歌詞・対訳の他、金澤寿和さんが書き下ろした最新の解説が掲載されており、とても満足度が高い。同様のCD再発企画に、ソニーの「AOR CITY 1000」シリーズがあり、歌詞・対訳はないが、諸氏の解説付きで税抜き1,000円。どちらも素晴らしい企画である。

●収録曲
  1. Before The Night Is Over / 夜が終わる前に - 3:21
  2. Nice Guys / Runaway - 3:52
  3. I Don't Want To Get Over You / 忘れたくない - 3:04
  4. One Of These Days - 3:30
  5. Things I Meant To Say / 伝えたかった言葉 - 3:28
  6. I've Got You Where I Want You - 2:54
  7. Rock Me Baby - 2:54
  8. Take Me There - 3:18
  9. Trapeze - 2:51
  10. Isreal - 5:56

◆プロデュース: Parker McGee(bv)

◆参加ミュージシャン: Marcus Joseph(vo, g), Marty Walsh/Steve Gibson(g), Steve Porcaro/Shane Keister(k), Mike Porcaro/Jack Williams(b), Ralph Humphrey/Larry Londin(ds), Dan Seals/Leslie & Kelly Bulkin(bv), etc

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