Jerry Corbetta / Jerry Corbetta (1978年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Jerry Corbettaの1978年のアルバム『Jerry Corbetta』の紹介です。

Jerry Corbetta / Jerry Corbetta (1978年) フロント・カヴァー

Jerry Corbettaはデンバー生まれのシンガー・ソングライター。地元で結成されたロック・バンドのSugarloafでソングライターとリード・シンガーを担当し、「Green-Eyed Lady」(70年, 米3位)、「Don't Call Us, We'll Call You」(74年、米9位)という2曲のTop10ヒットを生んでいる。

1978年にSugarloafを解散してソロ活動をスタートし、その年にリリースした最初かつ唯一のソロ・アルバムが本作である。バック・ミュージシャンにはSugarloafのメンバーのBob Webber(g)、Rusty Buchanan(b)、Myron Pollock(ds)が参加し、同じくメンバーのRobert Yeazel(g)と「Caribbean Lady」「Free Man」の2曲を共作している。

全曲がJerry Corbettaのオリジナルで、その全てが共作。軽やかなシティ・ポップスの「Sensitive Soul」や、Jay Graydonのギターが美しい「If I Never Had Your Love」「I Wish I Was Makin' Love」など、ポップで品の良い曲が揃っている。Jerry Corbettaの歌声は初期のBilly Joelのように若々しく、爽やかだ。

白眉の出来は哀愁漂うメロウ・バラードの「Caribbean Lady」。カリビアンというタイトルのとおり、南国の風が香るようなロマンティック・ムード溢れるナンバーだ。

「I Wish I Was Makin' Love」は、翌年のAlessiのアルバム『Words And Music』でカヴァーされた。また、「Green-Eyed Lady」はSugarloaf時代のヒット曲のセルフ・カバー。サイケデリックでファンキーなロック・ナンバーなので、本作の中では少々浮いているが、ちょうど良いアクセントになっている。

このアルバムで3曲(1, 2, 9)を共作したBob Creweは、Frankie Valliの最大のヒット曲である「Can't Take My Eyes Off You / 君の瞳に恋してる」の作詞家。そうした縁から、Jerry Corbettaは80年に "Frankie Valli and The Four Seasons" にメンバーとして誘われ、84年まで活動している。

AORのリイシュー・ブームに乗って、2016年10月にワーナーの「AOR BEST SELECTION 1300」シリーズから本作のCDも再発されたが、直前の9月16日にJerry Corbettaは68歳で他界。ご冥福をお祈りしたい。

●収録曲
  1. Sensitive Soul - 3:35
  2. If I Never Had Your Love - 3:43
  3. I'm A Lover, Not A Fighter - 4:45
  4. Caribbean Lady - 5:31
  5. Free Man - 3:46
  6. I Wish I Was Makin' Love (To You Tonight) - 3:33
  7. Green-Eyed Lady - 5:24
  8. Celebrate Our Love - 3:38
  9. Between A Rock And A Hard Place - 8:23

◆プロデュース: Steve Barri, Jerry Corbetta(vo, k)

◆参加ミュージシャン: Jay Graydon(g, ar), Bob Webber(g), Michael Omartian/Greg Mathieson(k), Rusty Buchanan/Mike Porcaro(b), Myron Pollock/Mike Baird(ds), Victor Feldman/Chef McCracken(per), Chuck Findley(tp), Jim Horn(sax), Ernie Watts(flute), Bill Champlin(bv), etc

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