Lauren Wood / Cat Trick (1981年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Lauren Woodの1981年のアルバム『Cat Trick』の紹介です。

Lauren Wood / Cat Trick (1981年) フロント・カヴァー

Lauren Woodはアメリカの女性シンガー・ソングライター。60年代から活動しており、いとこのNovi Novog、ベーシストのErnie Eremita等と組んだ「Rebecca And The Sunny Brook Farmers」というグループで69年にアルバムを1枚、70年代にはNovi, Ernieと組んだ「Chunky, Novi and Ernie」で73年と77年にアルバムを残している。"Chunky" は彼女の愛称だ。

ソロになってからは79年に最初のアルバム『Lauren Wood / 恋のトライアングル』をリリース。本作『Cat Trick』はセカンド・アルバムで、リチャード・ギアとジュリア・ロバーツが共演した90年の映画『プリティ・ウーマン』で使われた「Fallen」を収録している。

プロデュースをCrackin'のメンバーであったPeter BunettaとRick Chudacoffが担当。二人は前年にRobbie Dupreeのデビュー作『ふたりだけの夜』をプロデュースし、ヒットさせている。

共作も含めて収録された全曲がLauren Woodの作。どの曲もポップで可愛らしく、また暖かいメロディと寛いだ雰囲気を持っている。Lauren Woodの声は陽だまりのような温もりのあるアルト・ヴォイス。少しハスキーなところがチャーミングで、とても親密な響き方をする。

ポップな「Breakin' Too Many Hearts / ハートの痛手」はNicolette Larsonの79年のアルバム『In The Nick Of Time / 愛の季節』への提供曲。同じアルバムに「Fallen」も収録された。

メロウでソウルフルな「In The Dark」は、アメリカの女性シンガーのLani Hallへ提供された。80年のアルバム『Blush』に、この曲と「Ain't Got Nothin' For Me / 虚ろなふたり」の2曲が収録されている。

「Work On It」ではRobbie Dupreeとロマンティックなデュエットを披露。イギリスの女性ソウル・シンガーのMaxine Nightingaleが80年のアルバム『Bittersweet』でこの曲を歌った。続く「Half As Much / 想いを寄せて」も切ない余韻を残すロマンティックなナンバーだ。

そして、本作のハイライトは「Fallen」。ポップでキュート、エレガントな香りが立ち上るようなこの名曲は前出のNicolette Larsonのほかに、Nicole Willsも83年のアルバム『Tell Me』でカヴァー。女性シンガーだけでなく、男性のJohnny Mathisも88年のアルバム『Once in a While』で歌っている。

Norman Seeffの撮影したセピア調のジャケットにはネコの眼差しのLauren Woodが写る。よく見ると、瞳は緑色。バック・カヴァー(下の画像)では、Lauren Woodの抱く猫が同じ色の瞳をしている。

Lauren Wood / Cat Trick (1981年) バック・カヴァー
●収録曲
  1. Breakin' Too Many Hearts / ハートの痛手 - 3:28
  2. In The Dark - 4:00
  3. Work On It - 3:22
  4. Half As Much / 想いを寄せて - 3:34
  5. Never Been So In Love / あなただけに - 3:55
  6. What I'd Give For Love / ギヴ・フォー・ラヴ - 4:59
  7. Fallen - 3:41
  8. We're On To Something / 愛はサムシング - 3:39
  9. Ain't Got Nothin' For Me / 虚ろなふたり - 3:18
  10. Dark December Night / 12月の暗い夜 - 2:36

◆プロデュース: Peter Bunetta(ds, per), Rick Chudacoff(b, k)

◆参加ミュージシャン: Lauren Wood(vo, k), Robbie Dupree(vo), Brian Ray(g), Bill Elliot(k, orch ar), Michael Boddicker(sy), Airto Moreira(per), Jerry Hey(tp), Novi(viola), Arno Lucas/Leslie Smith/Tommy Funderburk/Arnold McCuller/Tata Vega(bv), etc

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