Nicole Wills / Tell Me (1983年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Nicole Willsの1983年のアルバム『Tell Me』の紹介です。

Nicole Wills / Tell Me (1983年) フロント・カヴァー

本作は、女性シンガーNicole Willsの唯一のソロ・アルバム。Nicole Willsは、80年代の初めにThe Johnny Average Bandというポップ・ロック・バンドのヴォーカルを担当しており、70年代にはその前身となるローカル・バンドのThe Falconsで活動していた。

The Johnny Average Bandは、1980年にアルバム『Some People』を1枚残している。リーダーのJohnny Averageは、彼女の当時の夫である。

この『Tell Me』はアメリカではヒットしなかったが、選曲の良さとNicole Willsの歌声の美しさから、日本では人気を集めたアルバム。収録曲は、AORやポップスの名曲からセンス良く選ばれている。

キュートなメロディの「Fallin'」はLauren Woodの作。アルバム『Cat Trick』(81年)に収録された名曲で、90年の映画『プリティ・ウーマン』に使われて注目された。

「Some Guys Have All The Luck」は、The Persuadersのアルバム『Best Thing That Ever Happened To Me』(74年)の収録曲。Robert Palmer、Rod Stewart、Maxi Priest等のカヴァーもあり、Rod Stewartのカヴァーは、84年にBillboard Hot 100チャートの10位を記録している。

「It Wouldn't Have Made Any Difference / 所詮は同じこと」は、Todd Rundgrenの名作『Something / Anything? (ハロー・イッツ・ミー)』(72年)の収録曲。繊細で甘酸っぱいメロディが絶品。

「Tenderness On The Block」は、Jackson BrowneとWarren Zevonが共作したアメリカン・ポップス。Warren Zevonの78年のアルバム『Excitable Boy』に収録されている。続く「What You Do To Me」は、John Hall作の軽快なロック・チューン。The John Hall Bandのアルバム『All Of The Above / 夢の部屋』(81年)の収録曲だ。

「Isn't It Always Love」はKarla Bonoff作で、彼女のデビュー作『Karla Bonoff』(77年)に収録された爽やかな曲。Nicole Willsの温かい声質と、ビブラートをほとんど使わない歌い方はKarla Bonoffと似ており、Karla本人が歌っているようにも聴こえる。

ラストの「Never Take The Place Of You」は、NRBQの80年のアルバム『Tiddlywinks』に収録された穏やかなナンバーだ。

このアルバムは日本でしかCD化されていないが、CDにはボーナス・トラックが2曲収録されており、そのうちの1曲はThe Beatlesの「Hold Me Tight」。The Beatlesの数ある名曲から「Hold Me Tight」を選ぶところが面白いが、これを元気一杯という感じで歌っており、微笑ましい。

●収録曲
  1. Fallin' - 4:07
  2. Tell Me How To Make You Love Me - 3:48
  3. Some Guys Have All The Luck - 3:10
  4. It Wouldn't Have Made Any Difference / 所詮は同じこと - 3:30
  5. Tenderness On The Block - 3:03
  6. What You Do To Me - 3:47
  7. Isn't It Always Love - 3:23
  8. Maybe - 4:12
  9. It'll Be Me - 1:47
  10. Never Take The Place Of You - 3:32

◆プロデュース: John Holbrook(g, k, per, ar)

◆参加ミュージシャン: Shane Fontayne(g), Murray Weinstock(k, ar), Leigh Fox(b), Mike Braun(ds, per), Arno Lucas/Wells Kelly(per), George Young(sax), John Hall/John Tray/Bob Leinbach/Ann Lang(bv)

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