Karla Bonoff / Karla Bonoff (1977年) – アルバム・レビュー

2023年5月4日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Karla Bonoffの1977年のアルバム『Karla Bonoff』の紹介です。

Karla Bonoff / Karla Bonoff (1977年) フロント・カヴァー

Karla Bonoffはカリフォルニア生まれのシンガー・ソングライター。Linda Ronstadtの1976年のヒット・アルバム『Hasten Down the Wind / 風にさらわれた恋』(Billboard 200チャートの3位を記録)にKarlaの曲が3曲取り上げられたことにより、優れたソングライターとしてその名を知られるようになった。

本作はKarla Bonoffのデビュー・アルバムで、その3曲(「Someone To Lay Down Beside Me」「Lose Again」「If He's Ever Near」)が収録されている。

Karlaは60年代の終わりにBryndleという4人組のフォーク・ロック・バンドを組んでいたが、本作にはBryndleのメンバーであるKenny Edwards, Andrew Gold, Wendy Waldmanが全員参加し、プロデュースをKennyが担当している。Kenny Edwardsは本作に続く彼女の2枚のアルバムもプロデュースした。

10曲の収録曲は、「Faces In The Wind」(Craig Safan作)と「Flying High」(Steve Ferguson作)の2曲を除いて彼女のオリジナル。Linda Ronstadtの『Hasten Down the Wind』に提供した3曲以外に、Bonnie Raittが同年のアルバム『Sweet Forgiveness』で「Home」を歌っている。

Karla Bonoffの歌声は穏やかで落ち着いており、独特の爽やかさがある。しっとりと歌い聴かせるタイプの曲が多いが、特にピアノの弾き語りで歌う「Lose Again / またひとりぼっち」は、もの悲しいメロディと彼女の無垢な歌声にしみじみとした感動を覚える。

また「If He's Ever Near」では、Glenn FreyとJ.D. Southerの二人によるバック・コーラスの美しさに感動する。せつなさや優しさをコーラスで巧みに表現する技は繊細にして芸術的。

79年のセカンド・アルバム『Restless Nights / ささやく夜』も、彼女の歌声に聴き惚れる名作。彼女は寡作でスタジオ・アルバムを4枚しか出していないが、そうしたところに(勝手ながら)奥ゆかしさを感じてしまう。

●収録曲
  1. Someone To Lay Down Beside Me / 誰かわたしの側に - 4:03
  2. I Can't Hold On / わたしは待てない - 3:11
  3. Lose Again / またひとりぼっち - 3:41
  4. Home / 故郷 - 4:17
  5. Faces In The Wind / 風の中の顔 - 3:06
  6. Isn't It Always Love / 恋じゃないかい - 3:07
  7. If He's Ever Near / 彼にお願い - 3:18
  8. Flying High / 高く舞い上がって - 3:26
  9. Falling Star / 流れ星 - 3:27
  10. Rose In The Garden / 庭のバラ - 4:42

◆プロデュース: Kenny Edwards(g, b, bv)

◆参加ミュージシャン: Karla Bonoff(vo, k, ag), Andrew Gold(g, k, bv), Jai Winding(k), Waddy Wachtel(g), Leland Sklar(b), Russ Kunkel/Mike Botts(ds), Steve Forman(per), Dan Dugmore(steel g), Linda Ronstadt/Wendy Waldman/Glenn Frey/J.D. Souther/Brock Walsh(bv), etc

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