Libby Titus / Libby Titus (1977年) – アルバム・レビュー

2023年5月5日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Libby Titusの1977年のアルバム『Libby Titus』の紹介です。

Libby Titus / Libby Titus (1977年) フロント・カヴァー

Libby TitusはNY生まれのミュージシャン。デビュー・アルバムは1968年の『Libby Titus』で、そこでは歌手として、The BeatlesやBee Gees、Joni Mitchellなどの曲をカヴァーしている。その後にオリジナル曲も書くようになり、Eric Kazと共作した「Love Has No Pride」をBonnie RaittやLinda Ronstadtが歌ったことで、ソングライターとして評価されるようになった。

私生活では、19歳のときに小説家のBarry Titus氏と結婚するも、3年で離婚。その直後にThe BandのドラマーだったLevon Helmと恋仲になり、娘のAmyを授かっている。また80年代の終わりには、カレッジ時代の同窓生だったDonald Fagenと出会い、93年に結婚した。

さて、1作目と同じタイトルが付けられた本作は、彼女のセカンド・アルバム。プロデュースを担当したのはPhil Ramoneで、曲によってPaul Simon, Carly Simon, Robbie Robertsonが共同プロデュースをしている。

アルバム前半には他のミュージシャンとの共作曲と、ビートルズも歌ったR&Bスタンダードの「Kansas City」を収録。共作者は、Al Kooper(1)、Carly Simon(3)、Hirth Martinez(4)、Eric Kaz(5)となっている。

後半は、Carly Simonの書き下ろし3曲(7, 9, 10)と、カヴァー2曲(6, 8)という構成。カヴァー曲のうち「Yellow Beach Umbrella」は、Three Dog Nightの76年のアルバム『American Pastime』の収録曲で、「Miss Otis Regrets」は1930年代の曲(Cole Porter作)である。

1曲目の静かな「Fool That I Am / バカなわたし」を聴くと、その独特の声の魅力に惹き込まれる。まるでKate Bushのような神秘的な声だ。Eric Kazと共作した素朴で穏やかなバラードの「Love Has No Pride」も、Libby Titusが歌うと物憂げなヴェールに包まれる。

Carly Simonの書いた曲が多いが、その中では「Wish I Could」がLibbyの声にとても合っている。甘い郷愁を誘う間奏の口笛もいい。二人は親交があり、Carly Simonの76年のアルバム『Another Passenger』に収録された「Libby」という曲は、Libby Titusのことを歌っている。

Donald Fagenの93年のアルバム『Kamakiriad』は、Libbyと結婚した年のアルバム。二人は「Florida Room」という最高に気持ちのいい曲を共作しており、そこには(Levon Helmとの間の)娘のAmyもバック・ヴォーカルで参加している。Donald Fagenはスクール時代、美しいLibbyを遠くから見ているだけだったというから、この時、最高に幸せだったのだろう。

●収録曲
  1. Fool That I Am / バカなわたし - 3:48
  2. Kansas City - 3:27
  3. Can This Be My Love Affair / 情事 - 2:32
  4. The Night You Took Me To Barbados In My Dreams / 夢の中のバルバドスの夜 - 2:46
  5. Love Has No Pride - 3:53
  6. Yellow Beach Umbrella - 4:18
  7. Can't Believe You're Mine - 2:23
  8. Miss Otis Regrets - 3:45
  9. Wish I Could - 3:00
  10. Darkness 'Til Dawn - 3:45

◆プロデュース: Phil Ramone(1-3, 5-7, 9), Paul Simon(1, 2), Carly Simon(3, 7, 9, 10), Robbie Robertson(4, 8)

◆参加ミュージシャン: Libby Titus(vo), Hugh McCracken/John Tropea/Joe Beck(g), Don Grolnick/Garth Hudson(k), Tony Levin/Will Lee(b), Ricky Marotta/John Guerin/Christopher Parker(ds), George Young(sax), Paul Simon/Patti Austin/Carly Simon/James Taylor(bv), etc

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