Barry Manilow / This One’s For You (想い出の中に) (1976年) – アルバム・レビュー

2023年5月5日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Barry Manilowの1976年のアルバム『This One's For You / 想い出の中に』の紹介です。

Barry Manilow / This One's For You (想い出の中に) (1976年) フロント・カヴァー

Barry ManilowはNY生まれのシンガー・ソングライター。1973年のアルバム・デビューから一貫してソロで活動を続けており、惚れ惚れするようなテナー・ヴォイスとニューヨーク音楽大学~ジュリアード音楽院で磨いた作曲能力を生かして多くのヒット曲とヒット・アルバムを生みだしている。

本作はBarry Manilowの4枚目のアルバム。デビュー・アルバム以来ずっとRon Danteとの共同プロデュースであり、80年のアルバム『Barry』まで二人のコンビが続く。

本作からは「Looks Like We Made It / 想い出の中に」がBillboard Hot 100チャートの1位を獲得し、「Mandy / 哀しみのマンディ」(74年)、「I Write the Songs / 歌の贈りもの」(75年)に続く3曲目の全米No.1ヒットとなった。また、「Weekend In New England / ニュー・イングランドの週末」が10位、「This One's For You / 愛を歌に込め」は29位を記録。ACチャートでは3曲とも1位となっている。

翌年のライヴ・アルバム『Live』からは本作収録の「Daybreak / 夜明け(デイブレイク)」のライヴ・バージョンがシングル・カットされ、全米23位のヒットを記録した。

「Jump Shout Boogie」と「Riders To The Stars」の2曲はアップ・テンポだが、それ以外はスロー~ミディアムのバラード系が中心。ヒットした「想い出の中に」はRichard Kerr、「ニュー・イングランドの週末」はRandy Edelmanの作曲だが、残りは全てBarry Manilowの作曲である。

「愛を歌に込めて」はBarry Manilow得意のメロディ運びが冴える。しっとりと静かに曲が始まり、中盤からエンディングにかけて熱く歌い上げていき、豊かな余韻を残しながらフェード・アウトする。いつものパターンと分かっていても、聴くたびに爽やかな感動を覚える。

本作はBillboard 200チャートの6位を記録。Barry Manilowの70年代のアルバムはデビュー作を除いて全てチャートのTop 10に入っているが、1位を獲得したのは翌年の『Live』のみ。スタジオ・アルバムの方がチャートの上位になりやすいものだが、Barry Manilowはその逆。最高のステージ・シンガーである証だろう。

●収録曲
  1. This One's For You / 愛を歌に込めて - 3:25
  2. Daybreak / 夜明け(デイブレイク) - 3:10
  3. You Oughta Be Home With Me / 二人のスイートホーム - 3:13
  4. Jump Shout Boogie - 3:03
  5. Weekend In New England / ニュー・イングランドの週末 - 3:43
  6. Riders To The Stars / 星への旅人 - 3:47
  7. Let Me Go - 3:58
  8. Looks Like We Made It / 想い出の中に - 3:33
  9. Say The Words / さよなら恋人 - 2:53
  10. All The Time - 3:15
  11. See The Show Again / 二人でショーを - 4:32

◆プロデュース: Barry Manilow(vo, k), Ron Dante(bv)

◆参加ミュージシャン: Dennis Farac/Richard Resnicoff/David Spinozza/Jerry Friedman(g), Steven Donaghey/Will Lee(b), Alan Axelrod/Paul Shaffer(k), Lee Gurst/Ron Zito(ds), Carlos Martin(per), Debra Byrd/Lady Flash/Monica Burruss(bv), Gerald Atlers/Charlie Calello/Van McCoy/Dick Behrke(orch)

スポンサーリンク