Sergio Mendes / Sergio Mendes (1983年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Sergio Mendesの1983年のアルバム『Sergio Mendes』の紹介です。

Sergio Mendesはブラジル出身のミュージシャン。50年代から音楽活動を始め、60年代にはSergio Mendes & Brasil '66を率いてボサノヴァ・ブームを牽引し、「Mas Que Nada」などのヒット曲を生んだ。ブームの去った70年代もコンスタントに作品を出し続けるが、チャートからは疎遠になる。
そのSergio Mendesを復活させたのは、コンテンポラリー路線を明確に打ち出した本作であり、名バラード「Never Gonna Let You Go / 愛をもう一度」のシングル・ヒットである。
「愛をもう一度」は、Barry MannとCynthia Weilの共作。Joe PizzuloとLeza Millerが素晴らしいデュエットを聴かせるこの曲は、Billboard Hot 100チャートの4位となる大ヒットを記録した。前年のDionne Warwickのアルバム『Friends In Love』や、Stevie Woodsのアルバム『The Woman in My Life』にも収録されているが、Sergio Mendesがこの名曲をヒットさせた。
続く「My Summer Love」は、クラップ(手拍子)が印象的な夏らしい爽やかなナンバー。この曲ではMichael Sembelloが女性シンガーのGracinha Leporaceと歌っている。GracinhaはSergio Mendesの奥様だ。
David Batteau等が提供した「Rainbow's End / 虹を求めて」も曲名のごとく爽やかなAOR。シングル・カットされ、Billboard Hot 100チャートの52位、ACチャートの6位をマークした。爽やかな歌声の男性シンガーはDan Sembello。Michael Sembelloの弟である。
Sembello兄弟はダンサブルでおしゃれなインスト曲「Dream Hunter」も提供。この曲は、David Sanbornの81年のアルバム『As We Speak』に収録されている「Port of Call」の改作である。
女性シンガーLeza Millerのキュートな歌声は、「Love Is Waiting」と「Life In The Movies」でも聴くことができる。「Love Is Waiting」はDavid Batteau等、「Life In The Movies」はMichael Sembello等の作。どちらもメロディがポップでキャッチー。気持ちの良いナンバーだ。
「Carnaval / 恋のカーニヴァル」の陽気なサンバのリズムを聴くと、ブラジルの空気が香る心地がする。スタイリッシュで洗練された曲が並ぶ中ではちょっと異色だが、とても良いアクセントになっている。
- ●収録曲
- VooDoo - 3:55
- Never Gonna Let You Go / 愛をもう一度 - 4:15
- My Summer Love - 4:00
- Carnaval / 恋のカーニヴァル - 3:50
- Rainbow's End / 虹を求めて - 4:03
- Love Is Waiting - 3:47
- Dream Hunter - 3:02
- Life In The Movies - 3:52
- Si Senor - 3:46
◆プロデュース: Sergio Mendes(k, per, ar)
◆参加ミュージシャン: Joe Pizzulo/Leza Miller/Carol Rogers/Dan Sembello(vo), Michael Sembello(vo, g, ar), Michael Landau/Paul Jackson Jr.(g), Robbie Buchanan/Don Freeman(k, ar), Nathan Watts(b, ar), Nathan East/Louis Johnson(b), John Robinson/Teo Lima/Carlos Vega/Vinnie Colaiuta(ds), Steve Forman(per), Ernie Watts(sax), Jerry Hey(tp), Geoff Leib(bv), etc
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