Gordon Michaels / Stargazer (1979年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Gordon Michaelsの1979年のアルバム『Stargazer』の紹介です。
本作は、アメリカのシンガー・ソングライター、Gordon Michaelsの唯一のアルバム。Tommy LiPumaが立ち上げた Horizonレーベルからのリリースであり、ニューヨークを拠点に活動するセッション・ギタリストのHugh McCrackenがプロデュースを担当している。
この『Stargazer』は、Paul McCartneyへの愛すべきオマージュになっている。それは、メロディの運び方や歌いっぷり、サウンドの質感からはっきりと感じ取れる。Paul風に味付けしたというより、これはもう「Paul McCartneyのアルバム」。ジャケットの強い眼差しも、意欲作であることを物語る。
Paulのカヴァー曲は1曲もなく、全曲がGordon Michaelsのオリジナル。曲によっては本家よりも(?)本物っぽい。「Indoor Lovers」などは、まるでPaulの名曲「Another Day」(71年)のよう。でも、しっかりしたオリジナリティのある楽曲になっている。
プロデューサーのHugh McCrackenは、Paul & Linda McCartney名義の71年のアルバム『Ram』でギターを弾いていた。本作のプロデュースを引き受けたのも、縁というよりは、Gordon Michaelsの意欲を汲んでのことだろう。
参加ミュージシャンは、Richard Tee(k), Tony Levin(b), Rick Marotta(ds), Mike Mainieri(marimba), David Sanborn(sax)など、ニューヨークを中心に活動する実力派。「Turnin' Brown」や「Bermuda」のようなトロピカルな曲を演奏しても、サウンドのクールな質感を失わない。
「Ugly Ramona」から始まるラストの3曲は、ブリティッシュやアイリッシュな気品や湿り気を湛えている。深みのあるメロディはPaulも顔負け。本家のPaulのほうは、翌年に『Ram』から9年振りとなるソロ・アルバム『McCartney II』をリリースし、テクノ・ポップにアプローチしている。
- ●収録曲
- Stargazer - 4:07
- Monkey Mother - 3:15
- Indoor Lovers / 窓の外は雨 - 3:36
- This Is Love - 4:32
- Turnin' Brown / 小麦色の娘たち - 3:13
- Find The Angle / 若き日々 - 3:17
- Bermuda / 夢のバミューダ - 3:02
- Ugly Ramona - 3:40
- Danny Dies In Dublin - 3:48
- Favorite Songs / 君の好きなうた - 3:21
◆プロデュース: Hugh McCracken(g, harmonica, ar)
◆参加ミュージシャン: Gordon Michaels(vo, g, k, ar), Richard Tee(k), Tony Levin(b), Rick Marotta(ds), Mike Mainieri(marimba, string ar), David Sanborn(sax), etc
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません