Gordon Michaels / Stargazer (1979年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Gordon Michaelsの1979年のアルバム『Stargazer』の紹介です。

Gordon Michaels / Stargazer (1979年) フロント・カヴァー

本作は、アメリカのシンガー・ソングライター、Gordon Michaelsの唯一のアルバム。Tommy LiPumaが立ち上げた Horizonレーベルからのリリースであり、ニューヨークを拠点に活動するセッション・ギタリストのHugh McCrackenがプロデュースを担当している。

この『Stargazer』は、Paul McCartneyへの愛すべきオマージュになっている。それは、メロディの運び方や歌いっぷり、サウンドの質感からはっきりと感じ取れる。Paul風に味付けしたというより、これはもう「Paul McCartneyのアルバム」。ジャケットの強い眼差しも、意欲作であることを物語る。

Paulのカヴァー曲は1曲もなく、全曲がGordon Michaelsのオリジナル。曲によっては本家よりも(?)本物っぽい。「Indoor Lovers」などは、まるでPaulの名曲「Another Day」(71年)のよう。でも、しっかりしたオリジナリティのある楽曲になっている。

プロデューサーのHugh McCrackenは、Paul & Linda McCartney名義の71年のアルバム『Ram』でギターを弾いていた。本作のプロデュースを引き受けたのも、縁というよりは、Gordon Michaelsの意欲を汲んでのことだろう。

参加ミュージシャンは、Richard Tee(k), Tony Levin(b), Rick Marotta(ds), Mike Mainieri(marimba), David Sanborn(sax)など、ニューヨークを中心に活動する実力派。「Turnin' Brown」や「Bermuda」のようなトロピカルな曲を演奏しても、サウンドのクールな質感を失わない。

「Ugly Ramona」から始まるラストの3曲は、ブリティッシュやアイリッシュな気品や湿り気を湛えている。深みのあるメロディはPaulも顔負け。本家のPaulのほうは、翌年に『Ram』から9年振りとなるソロ・アルバム『McCartney II』をリリースし、テクノ・ポップにアプローチしている。

●収録曲
  1. Stargazer - 4:07
  2. Monkey Mother - 3:15
  3. Indoor Lovers / 窓の外は雨 - 3:36
  4. This Is Love - 4:32
  5. Turnin' Brown / 小麦色の娘たち - 3:13
  6. Find The Angle / 若き日々 - 3:17
  7. Bermuda / 夢のバミューダ - 3:02
  8. Ugly Ramona - 3:40
  9. Danny Dies In Dublin - 3:48
  10. Favorite Songs / 君の好きなうた - 3:21

◆プロデュース: Hugh McCracken(g, harmonica, ar)

◆参加ミュージシャン: Gordon Michaels(vo, g, k, ar), Richard Tee(k), Tony Levin(b), Rick Marotta(ds), Mike Mainieri(marimba, string ar), David Sanborn(sax), etc

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