Wilson Brothers / Another Night (1979年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Wilson Brothersの1979年のアルバム『Another Night』の紹介です。

Wilson Brothers / Another Night (1979年) フロント・カヴァー

Wilson Brothersは、Steve Wilson(兄)とKelly Wilson(弟)のWilson兄弟によるユニット。この『Another Night』は、Wilson Brothersの唯一のアルバムであり、日本ではAORの定盤として根強い人気がある。

収録された10曲は、Wilson兄弟のオリジナルが7曲、カヴァーが2曲(2, 7)、他作が1曲(4)という構成。カヴァー曲のうち、「Another Night」は、The Holliesの75年のアルバム『Another Night』のタイトル曲で、「Can We Still Be Friends」は、Todd Rundgrenの78年のアルバム『ミンク・ホロウの世捨て人』の収録曲だ。特に「Can We Still Be Friends」は、Toddの優しさ溢れるメロディが光る名曲。

このアルバムはまた、Steve Lukatherのギター・ソロが素晴らしいことでも知られる。Lukatherは、タイトル曲以外の全曲でソロを弾いているが、特に「Feeling Like We're Strangers Again」「Just Like A Lover Knows」「Lost And Long Way From Home」の3曲での入魂のソロには、なにか特別なエモーションを感じる。また、「Shadows」におけるクールな早弾きも相当にセクシー。

一方、タイトル曲の「Another Night」ではJon Goinというギタリストがソロを弾いているが、これがまた、Lukatherに勝るとも劣らぬ迫真のフレーズを放つ見事なソロ。こうした聴きどころが多く散りばめられていることが、このアルバムの人気の秘密だと思う。

アルバムの中で最も華やかな曲は、「Take Me To Your Heaven」。Stevie Woodsが81年のアルバム『Take Me To Your Heaven / スティール・ザ・ナイト』でこの曲をカヴァーし、アルバムのタイトルにしている。Wilson兄弟の曲作りのセンスの良さが表れている。

兄のSteveが既に他界しているので、本当にこれが唯一のアルバムになってしまった。日本では何度もCDが再発されており、この夏には、ワーナーの「新・名盤探検隊 紙ジャケ編」から再発される。再発の知らせがあると思い出したように聴くが、最初に聴いたときは地味な印象だったのに、聴くたびに良さが分かってくる。

●収録曲
  1. Feeling Like We're Strangers Again / 愛にひとりぼっち - 4:00
  2. Another Night - 3:56
  3. Thanking Heaven / 愛をありがとう - 3:54
  4. Shadows - 4:25
  5. Just Like A Lover Knows / 恋人たちの予感 - 4:11
  6. Lost And Long Way From Home / 終わりなき旅路 - 4:30
  7. Can We Still Be Friends / 友達でいさせて - 4:01
  8. Ticket To My Heart - 3:05
  9. Take Me To Your Heaven / 君のすべてを今夜 - 3:38
  10. Like Yesterday - 4:22

◆プロデュース: Kyle Lehning

◆参加ミュージシャン: Steve Wilson(vo, g), Kelly Wilson(vo, g, k)
with Steve Lukather/Jon Goin/Steve Gibson(g), Shane Keister(k), Jack Williams/Bob Wray(b), Kenneth Buttrey(ds), Ernie Watts(sax), Denny Henson(bv), etc

スポンサーリンク