Kerry Chater / Love On A Shoestring (1978年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Kerry Chater(ケリー・チェイター)の1978年のアルバム『Love On A Shoestring / ちぎれそうな恋』の紹介です。

Kerry Chater / Love On A Shoestring (1978年) フロント・カヴァー

Kerry Chaterは、カナダのヴァンクーヴァー生まれ、アメリカ育ちのシンガー・ソングライター。60年代の後半に、Gary Puckett & The Union Gapというポップ・バンドのベーシストとして活動しており、その際には、5曲が全米チャートのトップ10入りを果たしている。

70年代に入るとバンドを離れてソングライターの道を歩み、70年代後半に2枚のソロ・アルバムを残した。この『Love On A Shoestring』は2作目で、デビュー作と同じく、プロデュースをSteve Barri、アレンジャーをMichael Omartianが担当している。収録曲は、2曲(8, 9)を除いてKerry Chaterのオリジナルで、その全てが共作曲だ。

ジャケットいっぱいの屈託のない笑顔。素朴さを残しつつ、都会的な洗練をさり気なく纏ったサウンドは、このジャケットのように気さくで気持ちいい。華美なアレンジを抑えて、素材の良さで勝負する感じ。

「Leave Well Enough Alone」はTom Snowとの共作で、Tom Snowらしく、メロディにフックのあるナンバー。Leo Sayerが77年のアルバム『Thunder In My Heart』で、この曲を歌っている。「Quicksilver」の哀愁を帯びた濃厚なメロディもいい。軽快な「Ain't Nothin' for a Heartache」に関しては、Larry Carltonが80年のアルバム『Strikes Twice』でカヴァーし、自ら歌った。

タイトル曲の「Love on a Shoestring」は、Captain & Tennilleの79年のアルバム『Make Your Move』でカヴァーされ、Billboard Hot 100チャートの55位をマーク。"love on a shoestring" は "live on a shoestring" (わずかなお金で暮らす) になぞらえたもの。続けることが難しい二人の関係を歌っており、「ちぎれそうな恋」という邦題がうまい。

77年のファースト・アルバム『Part Time Love』においてTom Snowと共作した「Even a Fool Would Let Go」も、じっくり聴かせる名曲。B.J. Thomas, Kenny Rogers, Dolly Parton, Dionne Warwick, Joe Cockerなどの大物に歌われている。

●収録曲
  1. Well on My Way to Loving You / 愛の途中 - 3:52
  2. Quicksilver - 3:37
  3. No Room in My Life (for Anyone Else but You) - 3:31
  4. Once Is Enough - 3:57
  5. Leave Well Enough Alone - 3:40
  6. Ain't Nothin' for a Heartache - 3:36
  7. Easy Love - 3:02
  8. Say Your Mama Won't Mind - 3:49
  9. Little Girls - 3:20
  10. Love on a Shoestring / ちぎれそうな恋 - 3:15

◆プロデュース: Steve Barri

◆参加ミュージシャン: Kerry Chater(vo, ag), Michael Omartian(k, ar), Tim Weston(g), Peter Freiberger(b, steel g), Mike Botts(ds), Victor Feldman(per), Jim Horn(sax), Jim Haas/Jon Joyce(bv), etc

スポンサーリンク