Tony Sciuto / Island Nights (1980年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Tony Sciutoの1980年のアルバム『Island Nights』の紹介です。

Tony Sciuto / Island Nights (1980年) フロント・カヴァー

Tony Sciutoはアメリカ東海岸出身のシンガー・ソングライター。1965年に音楽活動をスタートし、70年代にはL.A.に移って、作詞家のSammy Egorinとソングライター・チームを組んで活動を続けた。Bay City RollersやMarcus Josephなどが彼らの曲を歌っている。

この『Island Nights』はTony Sciutoのデビュー・アルバム。日本人の琴線に触れるようなメロディを書く人で、このアルバムは本国のアメリカでは売れなかったが、日本ではちょっとしたヒットになったようだ。

本作は、作曲Tony Sciuto、作詞Sammy Egorinの10曲を収録(「Street Dancer」には、Steve Warehimeも参加)。タイトル曲や「You've Got A License」あたりの哀愁漂うメロディには、確かに日本の歌謡曲のような湿度がある。「Island Nights」にはオーケストラによる重厚なプロローグ「Island Nights Theme」もあって、ムード満点だ。

一方、「Hold Back The Night」「Cafe L.A.」「Angel」「Butterfly」などのスロー~ミディアム・テンポの曲は、ライト&メロウの王道という感じ。特に、「Hold Back The Night」は本作一番の爽やかなナンバーで、オーストラリアの歌手Jon Englishによってカヴァーされ、シングル・カットもされた(アルバム『Calm Before the Storm』(80年)に収録)。

風の音で始まるラストの「Butterfly」は、まどろみを誘うように美しいアコースティック・ナンバー。1曲目の重厚なオーケストラとのコントラストを効かせつつ、ロマンティックな余韻を残す。

ポップな「Trapeze」は、Marcus Josephが78年のアルバム『Things I Meant To Say / 伝えたかった言葉』で歌った曲のセルフ・バージョン。Nigel Olssonも80年のアルバム『Changing Tides』でカヴァーしている。

参加ミュージシャンの顔ぶれは、Steve Lukather(g), Bill Cuomo(k), Mike Porcaro(b), Ed Greene(ds), Tom Scott/Jim Horn(sax)と、豪華。私の手元のCDは2000年に初CD化された際の "20th Anniversary Limited Edition" というもので、「Hold Back The Night」と「Cafe L.A.」の日本でのライヴなど、4曲のボーナス・トラックを収録している。

Tony Sciutoは90年代に入ると、Little River Band(90年~97年)、Player(98年~2001年)という名グループのメンバーとして活躍した。いいポジションで仕事をしているな、と思う。

●収録曲
  1. Island Nights Theme - 0:38
  2. Island Nights - 3:56
  3. Hold Back The Night - 4:16
  4. You've Got A License (To Drive Me Crazy) - 3:54
  5. Cafe L.A. - 4:59
  6. Trapeze - 3:31
  7. Angel - 4:09
  8. Captain Wonderful - 4:37
  9. Street Dancer - 4:02
  10. Butterfly - 3:18

◆プロデュース: Steve Dorff(k)

◆参加ミュージシャン: Tony Sciuto(vo, g, k), Steve Lukather/Thom Rotella(g), Bill Cuomo(k), Michael Sciuto(b, bv), Mike Porcaro/Scott Edwareds(b), Ed Greene/Ron Tutt(ds), Tom Scott/Jim Horn(sax), Joe Chemay/Curt Betcher(bv), etc

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