Randy Meisner / One More Song (1980年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Randy Meisnerの1980年のアルバム『One More Song』の紹介です。

Randy Meisner / One More Song (1980年) フロント・カヴァー

Randy MeisnerはEaglesの元ベーシスト。1971年のバンド創設時のメンバーであり、76年の代表作『Hotel Carifornia』まで在籍した。Eaglesの75年のアルバム『One of These Nights / 呪われた夜』からのヒット曲「Take It to the Limit」(米4位)や、『Hotel California』収録の名曲「Try and Love Again」などはRandy Meisnerの作で、高音の少しクセのある声でリード・ヴォーカルも担当している。

Eagles結成前は、同じカリフォルニアのバンドであるPocoに在籍し、バンドの創設からファースト・アルバムの制作までベーシストを担当した。なお、Meisnerの後任としてTimothy B. SchmitがPocoに加入するが、後にMeisnerがEaglesを脱退した際の後任も、やはりTimothy B. Schmitが務めている。不思議な縁である。

本作は、Eagles脱退後の2枚目のソロ・アルバム。Eaglesの平和で穏やかな側面にだけ光を当てたような、温かいウェストコースト・ロックを聴くことができる。ちょうどEaglesの解散する年にあたるが、Don HenleyとGlenn Freyも参加し、タイトル曲「One More Song」のバック・ヴォーカルを担当した。

ラストの「Anyway Bye Bye」はPocoのカヴァーであるが、それ以外は、Meisner, Eric Kaz, Wendy Waldmanの共作が4曲(2, 3, 5, 7)、Meisner, Kazの共作が2曲(1, 4)、Jack Tempchinの作が2曲(6, 8)となっている。

Kazと共作した「Deep Inside My Heart」と「Hearts on Fire」は共にアップテンポの明るいナンバー。シングル・カットされ、Billboard Pop Singlesチャートの各々22位、19位をマークした。「Deep Inside My Heart」では、Kim Carnesがバック・ヴォーカルを担当している。

ラストの「Anyway Bye Bye」は、Meisnerがほろ苦く歌うスロー・バラード。Pocoのセカンド・アルバム『Poco』(70年)に収録された名曲で、Pocoの原曲は7分もあるが、ここではコンパクトにまとめている。

本作のCDは、ソニーの「AOR CITY 1000」シリーズから昨年7月に再発された。ちなみに、このアルバムの元気なバック・バンドの名前はSilverados。Silverado(シルヴァラード)という名前の由来は知らないが、81年に設立されたアメリカのワイナリーの名前でもある。Randy Meisnerが育んだ豊かな "Spirit" を味わえるアルバムだ。

●収録曲
  1. Hearts on Fire - 2:48
  2. Gotta Get Away - 4:03
  3. Come on Back to Me - 3:51
  4. Deep Inside My Heart - 3:29
  5. I Need You Bad - 3:11
  6. One More Song - 3:55
  7. Trouble Ahead - 4:12
  8. White Shoes - 4:11
  9. Anyway Bye Bye - 4:30

◆プロデュース: Val Garay

◆参加ミュージシャン: Wendy Waldman(ag, bv), Craig Hull(g), Bill Cuomo/Sterling Smith(k), Bryan Garofalo(b), Craig Krampf(ds), Don Francisco(per, bv), Michael Jacobsen(sax), Don Henley/Glenn Frey/Kim Carnes(bv)

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