James Lee Stanley / Midnight Radio (1980年) – アルバム・レビュー

2022年5月21日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、James Lee Stanleyの1980年のアルバム『Midnight Radio』の紹介です。

James Lee Stanley / Midnight Radio (1980年) フロント・カヴァー

James Lee Stanleyは、70年代から今に至るまでアメリカのフォーク・シーンで活動しているシンガー・ソングライター。この『Midnight Radio』は4作目で、前作『Three's The Charm』からは6年のブランクが空いている。

"Midnight Radio (真夜中のラジオ)" とは、何ともロマンティックなタイトル。イラスト風のカヴァー・アートもいい雰囲気だ。夜の海辺に停めた車から遠くの月を眺めるブロンドの女性は、カー・ラジオから流れる曲に思いをめぐらしているみたい。期待して1曲目の「Anywhere Love Goes」を聴くと、その甘く切ないメロディと優しいハーモニーにじんわりと感動する。

2曲目の「Just Like Love」も素敵なナンバー。穏やかな曲調や温もりのある声、素朴な歌い方はBill LaBountyのような癒しに溢れている。他の曲も同じようにリラックスしていて、ジャケットのイラストのようにほっこりと温かい。

Stephen Bishopとの親交があるようで、「Rowboat In The Attic」と「In Your Pocket」の2曲はStephen Bishopの作。「Rowboat In The Attic」は、メロディの静けさと優しさが沁み入るアコースティックの名品。一方の「In Your Pocket」は、ブルージーで渋い曲。いなせなバック・ヴォーカルは、妹のPamela Stanleyかな。なお、Stephen Bishopは次作『Eclipse』(82年)にも2曲を提供している。

ラスト・ナンバーの「Even Cowgirls Get the Blues」は、アメリカの小説家のTom Robbinsの小説(76年)と同じタイトル。曲のクレジットを見ると、作者はTom Robbinsになっている。

この小説はGus Van Sant(ガス・ヴァン・サント)の脚本・監督により、93年に映画化もされた(邦題は『カウガール・ブルース』)。そのサントラ盤『Even Cowgirls Get The Blues』では、k.d. langとBen Minkが曲を書いているが、James自身も小説にインスパイアされた同名のアルバムを93年に制作している。

James Lee Stanleyは、80年代中盤に自主レーベル「Beachwood Recordings」(素敵な名前!)を立ち上げ、かなりの枚数のアルバムを制作している。自身のサイト jamesleestanley.com を見ると、今もステージで歌っていることが分かる。

●収録曲
  1. Anywhere Love Goes - 3:57
  2. Just Like Love - 3:57
  3. Midnight Radio - 4:23
  4. Rowboat in the Attic - 3:14
  5. Worry 'Bout You - 4:36
  6. Too Late Now - 2:13
  7. I Don't Care - 4:11
  8. Born to Love You - 5:12
  9. In Your Pocket - 4:52
  10. Even Cowgirls Get the Blues - 4:18

◆プロデュース: James Lee Stanley(vo, ag, k, per)

◆参加ミュージシャン: Bonnie Raitt(g), John Jarvis/Vince Melamed(k), Dale Ockerman(sy), Maurice Cridlin/Veylor Hildebrand(b), Thom Mooney/Scotty Matthews(ds), Sheila Escovido(per), Pamela Stanley(bv), etc

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