Ambrosia / One Eighty (真夜中の晩餐会) (1980年) – アルバム・レビュー

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Ambrosiaの1980年のアルバム『One Eighty / 真夜中の晩餐会』の紹介です。

Ambrosia / One Eighty (真夜中の晩餐会) (1980年) フロント・カヴァー

Ambrosiaは70年代の初めにロサンゼルスで結成されたロック・バンド。プログレッシヴ・ロック・バンドとして活動をスタートするも、次第にコンテンポラリーな作風にスタイルを変えている。結成時のメンバーはDavid Pack(g, vo), Joe Puerta(b, vo), Christopher North(k), Burleigh Drummond(ds)の4人で、後にDavid Cutler Lewis(k), Royce Jones(per, vo)を加えた6人編成になっている。

彼らのデビュー・アルバムは75年の『Ambrosia』で、そこではAlan Parsonsがミキシングを手がけた。Alan Parsonsは76年のセカンド・アルバム『Somewhere I've Never Travelled / ピラミッドの伝説』ではプロデュースも担当し、この頃のAmbrosiaは "L.A.唯一のプログレ・バンド" と評価されている。

この『One Eighty / 真夜中の晩餐会』は彼らの4作目。フロント・カヴァーには、David Pack, Joe, Burleighの3人が写る。ミステリアスな邦題や一部の曲はプログレ風だが、「You're The Only Woman」と「Biggest Part Of Me」という洗練されたバラード・ヒットを生んだAORの人気作だ。

1曲目の「Ready」は、ギターの爽快なリフで始まるロック・チューン。リード・ヴォーカルのDavid Packが、サビではJoe Puertaと高音のハモリを決める。彼らは曲によってリード・ヴォーカルを変えていて、本作ではDavid Packが5曲(1, 4, 6, 8-9)、Joeが2曲(3, 5)、Burleighが1曲(7)、Royceが1曲(2)を担当している。

続く「Shape I'm In」と「Kamikaze / 神風」は、彼らのルーツを感じさせるプログレ風のナンバー。と言っても、どこかウェスト・コースト産の爽やかさが感じられるのがAmbrosiaの持ち味。

「You're The Only Woman / 愛にときめいて」は、AOR屈指のメロウ・バラード。曲のタイトルに相応しいロマンティックなメロディが魅力で、David, Burleigh, Joe, Royceの4人による柔らかいハーモニーも実に洗練されている。この曲は、全米シングル・チャートの13位を記録するヒットになった。

もうひとつのバラード曲の「Biggest Part Of Me」は、もはやAORスタンダードになった有名曲。全米チャートでは3位を記録し、Ambrosiaの代表曲になっている。曲調に合わせた優美なサックス・ソロはゲスト・ミュージシャンのErnie Watts。この曲は、Tom Scottの83年のアルバム『Target』や、Take 6の94年のアルバム『Join The Band』などでカヴァーされた。

David Packは優れたバラード・メイカーで、78年の3作目『Life Beyond L.A. / 遥かなるロスの灯』からも、「How Much I Feel / お前に夢中」という極上のメロウ・バラードを全米チャートの3位に送り込んでいる。

タイトルの "one-eighty" は180度旋回の意味。プログレ路線を180度変えるという意味だったのかも知れないが、5作目となるラスト・アルバム『Road Island』(82年)にもプログレ色を残している。

解散後、David Packはソロに、Joe PuertaはBruce Hornsby and the Rangeの結成メンバーになり、大成功。David Packの85年のソロ・アルバム『Anywhere You Go』も、おすすめだ。

●収録曲
  1. Ready / もう待てない - 4:25
  2. Shape I'm In - 3:29
  3. Kamikaze / 神風 - 4:01
  4. You're The Only Woman / 愛にときめいて - 4:20
  5. Rock N' A Hard Place - 3:59
  6. Livin' On My Own - 4:41
  7. Cryin' In The Rain / 雨に打たれて - 4:37
  8. No Big Deal - 4:25
  9. Biggest Part Of Me - 5:26

◆プロデュース: Ambrosia, Freddie Piro

◆参加ミュージシャン: David Pack(g, vo), Joe Puerta(b, vo), Christopher North/David Cutler Lewis(k), Burleigh Drummond(ds, per, vo), Royce Jones(per, vo)
with Ernie Watts(sax)

スポンサーリンク