Gerard Kenny / Living On Music (1980年) – アルバム・レビュー

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Gerard Kennyの1980年のアルバム『Living On Music』の紹介です。

Gerard Kenny / Living On Music (1980年) フロント・カヴァー

Gerard Kennyはニューヨーク生まれのシンガー・ソングライター。同じニューヨーク出身のBilly Joelと親交があり、1970年から71年にかけてPrimoというバンドで一緒に活動している。

Billy Joelが71年に『Cold Spring Harbor』でデビューしたのに対して、Gerard Kennyはなかなか日の目を見なかった。デビュー作『Made It Thru The Rain』の発表は1979年で、Gerardが32歳になる年。しかも、英RCAレコードからのリリースである。ところが、翌年にこのタイトル曲をBarry Manilowがカヴァーすると、全米チャートの10位となるヒットを記録。ようやくGerard Kennyの名前が知られるようになった。

この『Living On Music』はセカンド・アルバム。レコーディングはアメリカだが、参加ミュージシャンは英国勢。The Bliss BandのPhil Palmer(g)、元AffinityのMo Foster(b)、元StackridgeのPeter Van Hooke(ds)、元PilotのBilly Lyall(sy)などが参加している。その多くは、ファースト・アルバムからの参加だ。

軽快なフィンガー・スナップで始まる「You're The Best / きみが最高」は、邦題のとおり、最高に楽しい一曲。ポップに弾むメロディが気持ちよく、ビーチ・ボーイズ風のコーラスやストーンズの "The Satisfaction風" のメロディも飛び出して、思わず一緒に鼻歌をしてしまいそう。参加ミュージシャンの気質の表れなのか、ブリティッシュな雰囲気が感じられるところもチャーミング。

本作からは、「Getting To Know Each Other」「Fantasy」「Jailbait」「Maggie」がシングル・カットされている。「Jailbait」もビーチ・ボーイズ風のコーラスが飛び出して賑やかだが、それ以外は叙情豊かなナンバー。このうち、瑞々しいバラードの「Fantasy」が英国チャートの34位を記録している。

タイトル曲の「Living On Music」の堂々とした歌いっぷりと厚みのあるコーラスは "Queen風" かな? "Living On Music" というタイトルにはGerard Kennyの意気込みや自信が表れているようで、とても力強い。

食事をしているフロント・カヴァーをよく見ると、テーブル・クロスには五線譜が引かれ、フライド・ポテトは音符の形。マグカップの取っ手はト音記号になっている。アルバム全体に音楽ラヴが溢れていて、とても幸せに聴けるアルバム。

●収録曲
  1. You're The Best / きみが最高
  2. Fantasy
  3. Sucker For Love
  4. Crime That Pays
  5. April's End / 四月の終わり
  6. Southern Comfort
  7. Maggie
  8. Jailbait / 恋のとりこ
  9. Getting To Know Each Other / 知り合えばふたり
  10. Living On Music

◆プロデュース: Christopher Neil(bv)

◆参加ミュージシャン: Gerard Kenny(k, vo), Phil Palmer(g), Peter Van Hooke(ds), Mo Foster(b), Frank Riccotti(per), David Cullen/Billy Lyall(sy), Dominic Bugatti/Allan Carvel(bv), etc

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