Paul Davis / Singer of Songs: Teller of Tales (1977年) – アルバム・レビュー

2023年5月4日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Paul Davisの1977年のアルバム『Singer of Songs: Teller of Tales / アイ・ゴー・クレイジー』の紹介です。

Paul Davis / Singer of Songs: Teller of Tales (1977年) フロント・カヴァー

Paul Davisは、70年代から80年代にかけてアメリカのカントリーやポップ・シーンで活躍したシンガー・ソングライター。1970年にアルバム・デビューし、81年までの約10年間に7枚のアルバムを発表。80年代後半には音楽活動から遠ざかり、2008年に60歳の若さでこの世を去った。

この『Singer of Songs: Teller of Tales』はPaul Davisの5作目で、ここから「I Go Crazy」という名バラードが生まれている。アメリカではBillboard Hot 100チャートの7位となる大ヒットを記録し、日本でも81年の映画『なんとなく、クリスタル』(原作:田中康夫)の主題歌に採用されて広く知られるようになっている。

この曲の甘く切ない旋律やキーボードの美しいリフレインには、一度聴いたら記憶の深いところに残るような良さがある。ちなみに、Styxの79年の大ヒット曲「Babe」(米1位)にも、この曲と同じリフレインを聴くことができる。

収録曲は、The Beach Boysのアルバム『Wild Honey』(67年)からのカヴァー曲「Darlin'」と、Jerry WienerとPaul Shafferの書いた「Never Want To Lose Your Love」を除いて、Paul Davisの自作。「Darlin'」では女性シンガーのSusan Collinsとデュエットし、米チャートの51位をマーク。Susanとはメロウな「Sweet Life」も共作し、こちらはチャートの17位を記録している。

アルバムの後半にはカントリー・ポップ調の曲もちらほら。「Hallelujah Thank You Jesus」と「Editorial」の2曲は、76年の前作『Southern Tracks & Fantasies』からの再録だ。

Paul Davisはもう1曲、「I Go Crazy」に並ぶ名バラードを残した。それは、81年のラスト・アルバム『Cool Night』のタイトル曲。ロマンティックなムード満点の曲で、こちらもチャートの11位になるヒットを記録している。

●収録曲
  1. I Go Crazy - 3:52
  2. I Never Heard The Song At All - 2:39
  3. Darlin' - 3:00
  4. Sweet Life - 3:28
  5. Never Want To Lose Your Love - 2:24
  6. Hallelujah Thank You Jesus - 2:52
  7. I Don't Want To Be Just Another Love / もうひとつの愛 - 3:13
  8. You're Not Just A Rose - 2:37
  9. Bad Dream - 3:07
  10. Editorial - 2:56

◆プロデュース: Paul Davis, Phil Benton

◆参加ミュージシャン: Barry Beckett/Al Feingold(k), Don Barrett/Ed King/Ed Seay(b), Jimmy Johnson/Kenny Mims(g), Nigel Olsson(ds, vo), Roger Hawkins/James Stroud/Roy Yeager(ds), etc

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