Fools Gold / Mr. Lucky (1977年) – アルバム・レビュー

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Fools Goldの1977年のアルバム『Mr. Lucky』の紹介です。

Fools Gold / Mr. Lucky (1977年) フロント・カヴァー

Fools GoldはDan Fogelbergのバック・バンドとして活動をスタートしたウェスト・コーストのグループ。デビュー・アルバムは1976年の『Fools Gold』で、その頃の彼らは4人組であったが、セカンド・アルバムの本作『Mr. Lucky』をリリースする頃には、Tom KellyとDenny Hensonのデュオ・グループになっている。

本作は、爽やかなウェスト・コースト・サウンドが詰まった柑橘系フルーツのようなアルバム。"闇夜に浮かび上がるゴールドのネオン" というジャケットからは想像できない快晴のサウンドを聴くことができる。「Wouldn't I Love To Love You」や「Fly Away」のようなバラードにも、じめっとした湿度はなく、メロディの美しさと二人のハーモニーの爽やかさが印象に残る。

全曲が二人のオリジナルで、Tom Kellyはその全てに貢献。バック・ミュージシャンは、TOTOの面々(Mike Porcaro, Jeff Porcaro, David Paich)やDavid Foster、Bill Champlin等、LAの実力派で固められ、演奏とサウンドはフレッシュで生き生きとしている。

本作を最後に彼らはグループを解散。伸びやかなハイトーン・ヴォーカルを操るTom Kellyは売れっ子のバックアップ・シンガーとなり、『Airplay / ロマンティック』を始めとする多くのアルバムに参加するほか、Billy Steinbergとi-Tenというユニットを組み、83年に唯一のアルバム『Taking A Cold Look』を残している。

このTomとBillyは優れたソングライター・チームとしてその後も活躍し、Madonnaの「Like a Virgin」(84年)を始め、Cyndi Lauperの「True Colors」(86年)、Whitney Houstonの「So Emotional」(87年)、Heartの「Alone」(87年)、The Banglesの「Eternal Flame」(89年)と、80年代に全米No.1ヒットを量産した。

本作のCDは、ソニーの「AOR CITY 1000」シリーズから2016年8月に再発。i-Tenの『Taking A Cold Look』のCDも同時に再発されており、お薦めである。

●収録曲
  1. Sweet Country Air - 4:14
  2. I Can Hear The Whistle Blow / 口笛が聞こえる - 2:54
  3. Wouldn't I Love To Love You / ラヴ・ユー - 4:24
  4. Runnin' And Hidin' - 3:53
  5. Fly Away - 3:54
  6. Gypsy Brew - 2:43
  7. Mr. Lucky - 4:16
  8. Where Did Our Love Go Wrong / ゴー・ロング - 3:58
  9. Captain - 5:57

◆プロデュース: Keith Olssen

◆参加ミュージシャン: Tom Kelly/Denny Henson(vo, g, ar)
with Andrew Gold/Waddy Wachtel(g), David Foster(k, ar), David Paich/Bill Champlin(k), Mike Porcaro(b), Jeff Porcaro(ds, per), Dan Forgelberg(lap steel), Mel Collins/Tom Scott(sax), etc

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